自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

ミイラ取りがミイラになる

娘の大学院は順調に滑り出しましたが、渡のほうはどうなってるか?ということこれが、またスムーズに行ってる訳ではなく。

まず問題に突き当ったったのは、渡の総合体育のクラス。水泳の授業でどんどんレベルが上がってきた彼は、カウンセラーの勧めもあり、総合体育(よーするに筋力トレーニングのクラス)に入りました。大学の授業の体育なんて、みんなやってるのでたいした事はないだろうと思った私が甘かった。

初日から走って、準備運動が腹筋、腕立て50回みたいな、根性クラス。渡にできるのか??という感じです。

先生のシラバスには、

12月の授業が終わる頃には8パウンド強は痩せて(約4kg弱)シックスパックが出来る人もいる。

そうだ。

初日で多くの生徒がクラスを辞めることを決意し、他の授業に移って行った。総合体育の先生からは、

生徒数が足りず授業が成立しません。誰でもWelcomeなので、友達をつれてくる様に。

という緊急メールが配られました。クラスのキャンセル?!?これは困る。職業訓練のスケジュールと大学のスケジュールを必死で合わせてあるので、どこかでズレが出ると渡のスケジュールが一気に崩れます。とりあえず、職業訓練の先生に、大学のほうの授業はキャンセルになるかもしれない話をしました。先生は、キャンセルになったら、他のクラスを取る事もできるし、そこは職業訓練を入れる事ができるというのだけど、渡は、総合体育で運動をする気満々なので、いまさらやめるのは難しそう。かといって、他の授業のグループスポーツは、ルールの理解や相手の先を読めない渡には、非常に無理。個人競技のスポーツしかできません。そのようなことを訴えてみた。

先生いわく、

じゃ、ゆみが総合体育の教授に説得に行ってみるのはどうだろうか?事情が事情だし、教授に説明したら他になにか方法を思いついてくださるかも。けど、体育の先生なので、スーツなんかで行かないほうがいいよ。その場にあった感じの運動できる格好で行った方が好印象だからね。

とアドバイスまでくださいました。優しい!!

早朝、クラスにいくと、教授は、

あっ、渡のママだね。えっ?話?ふんふん…そうかー。ちゃんと話がしたい訳ね。僕は、今から授業だから、授業終了後に話は聞くよ。とりあえず、今日は一緒に参加してみてくれる?ゆみも渡の様子も見れるからね。それから、渡の件は別途話を聞くよ。

やった!!いい教授だ。今日、渡の様子見で参加すれば、個人個人の話を聞いてくださるんだ。と大喜びの私。すると次から次へとマッチョの生徒達がやってきます。女性も完全に逆三角形。ちょっとメタボぎみなお腹なのは、渡だけです。

どんどんと重いセラピーボールなどが大量に用意されていきます。

すごいクラス。

まずは10週走って、ストレッチ。それから、腹筋50回、腕立て50回、かるく筋肉をのばして、縄跳び100回を数セットとか、踏み台昇降4分。ボールを持って走るとか、バスケットボールコートを4往復スクワットとか、まー軍隊じゃないの?というプログラムがどんどん進められます。私は、吐きそうになりながらも、真面目な日本人なので、

話を聞いてくださるんだ。終ったら、渡はスケジュールが変わらないで済むかも。あのスケジュールが変わった時のめんどくささは、もうゴメンだ。

と思い、自閉症の母は、がんばる訳です。ほんと、一生懸命がんばりました。けど、体力の限界があるわけで。

あーこれ以上無理。歩かないと無理。と思ったところで、授業終了。死ぬかと思った。

で、約束の先生とのお話です。汗だくになりながら、私はこの授業がなくなると困る事、渡はスケジュールが崩れると行動しにくい事などを息をあげながら、とぎれとぎれで話しました。

教授はよく聞いてくださり、優しく話してくださいました。

ゆみ、よく聞いてくれるい?このクラスは、キャンセルにならない方法がひとつだけある。

すごー!!相談してよかった。やっぱり教授だ。知恵がある!さすがだ。

このクラスの欠員はあと1名。1名がみつかれば授業は成立だ。ゆみは今日見てたら、問題なくついて来れるので、ゆみがこのクラスに入ればキャンセルはない。

えっーー!教授、私の話、聞いてる??それは…。こんな若いマッチョの中に、上の子が大学院にいっているような年齢の母親は入らないでしょう。ありえないよ。と思っていたのだけど、あまりに意外な解答に言葉を失い。

じゃ、決まりだね。これが書類。学生科にすぐに持って行ってくれる?

みんな、このクラスは来週もあるよ。渡のママのゆみが入ったから。

マッチョ達から拍手で迎えられてしまった私。そういえば、ここに来てる生徒は誰だって、クラスキャンセルは困るわけだ。だってあの早朝の辛い初日を体験してもやめなかったのには、各自事情があるはずだ。

先生のシラバス(授業方針)には6パックができると書いてあったが、すでにみんな持ってるじゃん。

6パックがないのは、私と渡だけ。

よーするに、教授は私に参加させてついて来れるかどうか?テストしていた訳だ。

やっていけるのか?と不安がよぎったけど、みんなの望むクラス存続を覆して、キャンセルにする勇気もなく…。手続きしてしまったので、これから週に2回、若いマッチョの女性男性と運動です。

そういうことだったのねー。

職業訓練の先生が運動着で行った方がいいっていうアドバイスの意味も、今になって理解できたけど、時既に遅し。クラスキャンセルを防ぐ方法は、生徒を増やす以外に無いのでした。私も病気後、運動するように言われていたので、これもそういう運命だったと思うようにしました。

ミイラ取りがミイラになった瞬間でした。