自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

感謝祭前夜の不思議な話

アメリカは今年は11月25日(木曜日)が感謝祭で、4日間連休のところが多いです。

街の感じは日本のお正月にほぼ等しく、車が少なくなっています。クリスマスもこんな感じになります。その日の夜から徹夜でバーゲンが始まります。Black Friday(この日を境に小売業が黒字に転換するため)と言われていて、以前は真夜中12時からのお店が多かったのですが、最近は好景気もあって、木曜日の夕方6時くらいから始めるところが多いです。

この感謝祭の前日は早く帰る人が多いのですが、私たちはお仕事。日本で言ってみれば、大晦日にお仕事してる感じです。

人生なにが起こるかわからないということを最近、体験するのだけど、この感謝祭の前日もそうでした。

開発リーダーと仕事をしていて、夜に

「そろそろご飯を食べよう。感謝祭前だから、お店早く閉まっちゃうかもよ。」

と、近くのサンフランシスコ・ボーディンというパン屋に行ったら、閉まっていた。感謝祭前なので、早終いした模様。

けど、店先で1袋に10kgはあろうか?というパンを6袋くらい置いている女性がいた。その夜は、深々と冷え込み、そんな中、大量のパンの横に立っているわけだ。

私は

「寒い中、介護施設とかグループホームで明日の感謝祭の食事のために大量購入したんだなー。それなのに、お迎えの車が渋滞で遅れてるんだな。」と勝手に思っていた。その女性、私たちに話しかけて来て、

「このパンを一袋持って帰れ」という。

「神様からのものだから、持って帰れ。ここの店は1時間ごとにパンを焼くからまだ暖かい。」と。私はそこで話している間にも、もうジーパンが凍ってしまうじゃないかと思うくらい寒くて、寒くて......。すぐに、

「あぁ。彼女はお店の残りのパンを配っていて、このパンを配り終えるまで、帰宅できないんだ。」ということを理解。マッチ売りの少女を思い出してしまった。

「あなたが通う教会に持って行って。」

というのだけど、開発リーダーは、訳がわからず.....。

「僕は通ってないんだよね。」と速攻断り体制。

うっ、それはだめだ....と思い、リーダーに日本語で、

「この人、このパンがなくなるまでこの寒い中、立ってなきゃいけないんだよ」

ということを話して、どうにか私たちで配れるところを探そうと提案したら、やっと状況を理解した。そうなると動きが早いリーダー。

袋を頂いて、車に乗せました。

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ボーディンの隣で、夕飯をたべながら2人で、一気にソーシャルメディアを使って、パンを引き取ってくれる人を探したら、試験前の学生さんたち等々が捕まって、無事に引き取り先が全て決定。

よかった。お騒がせした皆様、すみませんでした。学生さんや引き取ってくださったお友達たち。ありがとうございます。

パンを配ってて、思ったのは、いろいろな食品の保存方法をしっかりと覚えて、食べ物を大事にすることだなと思いました。配ったアメリカのおばーちゃんの一人から、パンの冷凍の保存方法を教えてもらいました。ラップに包んでから、アルミホイルで包む。それからビニールにいれて、食べるときはオーブンで低温でやけば、焼きたてのパンになるそうです。忙しい年末、こういうことを学ぶ時間がもらえたのもなにかの御縁だと思います。