自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

変質者に声をかけられる渡

今日は、ちょっとすごい体験をしました。

香穂と香穂の友達の学生の男の子と渡と私で、ファミリーレストランに行きました。

みんなが注文を決め、私がお手洗いに。渡は、そこのレストランの暖炉の火を見に、席を立ちました。

私が、座席に戻ると、知らない男の人が、私たちのテーブルの所に立っています。

渡がえらくおびえています。





私は、すぐに

「あっ、渡が暖炉の火を見たときに、踊ったか歌ったので、クレームがついたんだな。」

と思い、話を聞いたら、英語なのでわからない。

香穂がすごくむっとしているのがわかった。



なんか、おかしい。いつものクレームだったら香穂は慣れて対処するし、相手に謝罪し、私に説明するはずだ。

香穂がその人に、むっとして、話しているので、横にいた学生の子に日本語で

「ねぇねぇ、この人、なに言ってるの?渡への苦情?」

と聞くと、

「いえ、違います。渡君は、なにも悪いことはしていません。なんか、渡君が踊りがうまいので、近くの公園にいって、ブレイクダンスを一緒にしようと言っています。

それに、すごく失礼なこと言ってますし。どうも渡君を外につれて出したいみたいですよ。」

と言われて、すぐに

「おっ、誘拐したい訳ね。」

と理解した私。変質者っぽい人は、渡と学生の子、香穂で食べに来ていて、保護者がいないと理解したようだった。



すると、変質者っぽい彼にビールをウェイトレスが運んできたのをみて、すべて理解した私。

「こいつ。自分の飲み物代を私たちの机にチャージした!で、言葉の話せない渡を外に連れ出したいんだ。」

怒り心頭の私。変な人に、英語で笑顔で、

「あなたの机はどこ?わるいんだけど、さっきも話したけど、私の子供は、自閉症で新しい人が苦手なの。自分の机に戻ってくれる?

知らない人が私たちの机にいて、はなしかけると、彼はパニックになるの。それがすごく私たちにとっては、とても嫌なことだし、席をはずしてもらいたい。」

と言ったら

「僕の席はここだ」

と言った。怒り心頭X2 の私。

「あたなの机はここじゃないわよ!」

もう私は言うべきことはいったし、きちんとどこかへ言ってほしいと述べたので、これで誰に助けをもとめてもOK

です。



渡をみると、やはりまだおびえていて(こういうへんな人は、すぐに勘で見抜く渡。)香穂にしがみついています。

渡が

「トイレにいきたい。トイレに行きたい」

というので、

「あっ、いまだ!」

と思い、学生の子に日本語で

「ごめん、渡をトイレに連れていくふりをして、店員さんにヘンな人がいるって言ってくれる?警察に通報してもらっていいから。」

ってお願いしました。

学生さんは、すぐに渡をつれて、はなれたところにいる店員に

「マネージャーを呼んでほしい。ヘンな人が僕たちの机のところにいるので、困っている。」

と説明してくれました。聞いた店員は、すぐに慌てて、(こういう緊急時の対応が早いのはアメリカだ)走ってマネージャーに言いに行きました。

学生さんが立ち上がったのを見て、慌てた変質者っぽい彼。

あわてて私たちの机から離れて、他の机に行っています。



マネージャーがあわてて机にやって来ると、それをみて、変質者っぽい彼は他の机からもはなれて、逃げるように店外へと逃げてゆきました。


マネージャーが私たちの机にきたので、ことのいきさつを説明しました。

私たちのゲストじゃないのに、机で、話し込んで、机から離れてといってもはなれなかったことや、渡を外に連れ出そうとしたこと等を話しました。

マネージャーは平謝り。

「彼はすでに店外に出ました。顔も認識したので、今後こういうことがないようにします。なにかあったら、ぜひすぐに知らせてください。けど、今日は、楽しんで夕飯食べてかえってね。警察が必要ならば呼びます。」

と言われました。私たちのテーブルにつけられたビールもすぐにレシートから削除していただきました。



渡はこういう変質者に声をかけられたときの対応を、小学校の時や今の学校でも訓練しています。IEPでリクエストしているので、やってもらっています。

ところが、犯人役は、いつも知り合いだし、渡はいい人とわるい人はすぐに勘でみやぶるので、いい人から逃げる習慣のない渡は訓練にならない。難しい訳です。けど、今回は、本当に渡が怖いと思う人だったので、いい訓練になりました。

すぐに香穂と私と学生さんで、今回のおさらいです。

渡には、すぐに大人にいうこと、今日のように香穂に助けをもとめたのは、正解とほめました。渡は香穂の耳元で、

「あっちにいけ!嫌だ。こいつ。わるいやつだ。」

と言っていたそうだ。


香穂にも

「あんたもこれから大学生になって、女の子ばかりで食べにいったら、訳のわからん男に話しかけられることがあるだろうから、すぐにマネージャーに通報すること」

を教えました。アメリカでは、そこの場所で不快な思いをしたら店の責任を問われますので、マネージャーは、普通は必死に通報したりの対処をしてくださいます。


香穂には

「それにしても、ゆみちゃん・・。あの変質者に言った長い英語の文章。一点の文法の間違いもなかったし、英語のヘンなアクセントもなく、まるでネーティブスピーカーが話してるようだったよ。子供が危険だと思うとゆみちゃんは、急に英語がうまくなるのは、相変わらず健在だね。」

と言われてしまった。

学生さんにも

「いやー。綺麗な発音で驚きました。すごくクリアだったし。あれだけ聞いたら、英語できる人だと誰でも思いますよ」

そーなんです。私は我が子に危険がせまると急に英語がクリアになり、ガンガン話せてしまうのです。

救急車を呼ばなきゃとか、病院の救急で渡の手当を受けさせるときとか、そういうときは急に英語が出てくる。

とりあえず貴重な体験をした日でした。