自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

オリンピック水泳8冠は、ADHD~マイケル・フェルプスの母~

オリンピックが、行われています。私は、あまりテレビをみませんが、テレピを見ない私でも、アメリカの水泳選手フェルプスの話は耳に入ってきました。7冠あたりから、真剣に、インターネットで見始めて、わかったのですが、マイケル・フェルプスADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意欠陥多動性障害)です。自閉症の子供を持つ親の私にとっては、いったいお母さんは、どうやって、息子を水泳に集中させたのだろう?どうやって育てたのだろう?ということに興味をもったので、記事を読み始めました。


マイケルのお母さんデビィー・フェルプス(Deborah Phelps)は、Windsor mill Middle Schoolの校長先生です。お父さんとお母さんは、マイケルが、9歳の時に離婚しています。

彼女のインタビュー記事が、ADDitude雑誌やそのほかのネットに載っていたので、感動したので、ここにその一部をあげておきます。

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デビーは、息子マイケルについて、教師一人一人から

「全てに焦点があわせられない。集中できることは、何一つない」

と言われ続けます。そんなマイケルに少しでも集中することを教えようと、水泳をさせますが、7歳の時のマイケルは、顔を水につけるのを異常にいやがり、水を怖がります。お母さんとスタッフで、体をひっくり返し、顔を水につけなくていい背泳を教えました。

けど、デビー母さんは、相変わらず学校の先生からは、

「何も集中できないマイケル」

と言われ続け、専門医の指示をあおぎます。9歳の時にADHDの診断がおりました。

そのときの彼女の気持ちは、

「自分の心臓を殴られた」

気分だったと言っています。


デビーは、マイケルを育てていて、

「全ての人に、"マイケルがなにも集中できないという事は、間違っている。"ということを理解してもらわないといけない。と思った。だって、彼は私と協力したら、何でも達成できることを私は、知っていました」

と言っています。


ここから、お母さんは、学校と密に連絡をとり、ほとんどの先生が

「マイケルは、全てに対して、集中できない」

言うのに対し、

「それは、わかりました。で、あなたは、集中しないマイケルに何をしてくださいましたか?」

と聞いていました。


お母さんであるデビーは、読むことが苦手な、マイケルに、落ち着きがなくなると、スポーツの記事を読ませ、

数字が嫌いなマイケルには、

「1メートル進むのに、3秒で、泳げたとして、100mは、何秒で泳げますか?」

という質問に置き換えながら、教えてゆきます。



フェルプス一家は、お正月であってもクリスマスであっても、練習が、最優先です。

マイケルは、一日12000カロリーを食べます。食べるものは、サンドイッチや大量のパスタや、ジャンクフードのハンバーガーや、チョコレートチップクッキー等です。

彼は言います。

「よく食べること、良く眠ること、よく練習すること。これが僕にできるすべてだ。」



8冠を獲ったマイケルは、今、ミシガン大学で、Sports Marketingを専攻しています。

現在、中学で校長先生をしているデビーは言います。

「全ての子供は、私たちに対して、失敗することができます。

私が、マイケルと学んだ十数年のことは、全ての子供に活かすことができます。たとえ、その子供にADHDがあってもなくても。」

All Kids can fail us at times.*1


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以上が記事です。そうなんですよね。子供は、いくら失敗してもいいんですよ。そこから学べば言い訳です。

間違っているということを教えて導いてゆくのが、大人の仕事で、目くじら立てて怒って、子供を信用しないことが、大人の仕事ではない。

今やオリンピックの母といわれているデビー母さんですが、やはり、一人、一人の子供が持つ力を信じることがとても大事ですね。

食べ物にしても、ジャンクフードばかり食べるのは、よくありません。けど、止めさせようと思っている時、

そういうのを食べてしまった日にお母さんが、

「あぁ。食べさせてしまった。」

と落ち込んだり、子供を怒るのではなく、

「ジャンクフード食べてて8冠獲った人もいるんだから、今日は、8冠の金メダリストと同じ食事ということにして、明日からがんばればいいや。」

と思えば、言い訳です。育児は、長距離マラソンのようなものです。ちょっと速度が落ちたり、転んだり、進めなくても、必ず前に進める日はやってきます。周りの大人が子供を理解し、子供の才能をのばしてあげることが、なによりも大事な気がした、私のオリンピック観戦です。

*1:すべての子供は、失敗するものだ。<香穂訳>