渡がきのう大学から帰って来たら、ずーっと笑い続けている。これはおかしい。
どうしたの?と聞くと
"Giggling"(くすくす笑い)
と答えながら笑っている。そりゃ、見れば解るよっ!!
おかしい。なので、
"Why?"
と聞いたら
”I'm giggling."
と答える。口頭での会話が苦手な彼は、普段は3語文で話すので口頭の質問だけだと、詳しい事が解らない。話している最中なのに、すぐに数学の宿題をやり始めたので、ピンときた。
現在渡は数学で苦手なグラフをやっています。渡は視覚情報が得意なわりに、グラフと図形が苦手です。あぁ、参ったな。壁にぶちあたるなー。と思っておりました。けど、ちらっとみていると、どうもグラフが前よりも全然読めるようになっていて、宿題もきちんとこなしています。
けど、おかしいのは、笑いながら宿題をしている事です。それも声をたてて笑いながら数学の宿題をしてる。怖すぎるよ、それ。
再度、
「ねぇ。なんで笑ってるの?」と聞くと
"My brain is giggling." (僕の脳みそが、くすくす笑いをしている)
と答える。脳みそがぁぁ?おかしいだろう、それ。
今度はタイプうちを使いながらVoice4uでアイコンを選んでもらった。渡は笑っている絵を選んで、文章を作成しようと、長い文章を打ち始めた。要約するとこう。
数学でグラフを習った。このグラフの答えができた。解った。頭が笑いだした。
よーするに私でも難しい数学や他の難しい問題がとけたら
「やった!解った!!」
と爽快な気持ちになる事があるのですが、渡が言っているのはこの事で、彼の場合は、それが脳みそ全体がくすくす笑うほど嬉しいことらしい。たぶん、本当に脳みそが「こちょこちょ」されたような感じがするんだと思う。自閉症って身体障害でもある訳で。本当に脳みそが嬉しそうにしているのだろう。感覚が敏感なだけにあるのかもしれないと思う私。
けど、はたと気がついたことは、これは理解した授業の中でも笑ってる可能性があり。今日、すぐに数学の先生のオフィスアワー(先生がわからないところをおしえてくださる指定された時間で、生徒は誰でも出入り自由名もの)に出向いて、会いに行ってきました。
丁度、娘も帰省していたので、いい機会だと思い、一緒に参加。誰もいないだろうと思っていたのに、多くの生徒が学びに来ておりました。私の話は授業の進行とは関係ないので、みんなが終わるまで待ち、先生に面会。私が娘もつれて来たので、最初先生は苦情を言いに来たと思ったようで、すごーくナーバスでしたが、違いますという話をして授業の様子を教えていただきました。やはりきのうは、少しノイズを立てていた様です。そーいえば今期は数学の先生とあまり深く話していなかった事を思い出し、先生に渡の生い立ちから現状まで話しました。
1歳の時からずーっと重度自閉症の専門クラスに居た事。高校で急に数学に目覚めたこと。けど高校では今程、授業態度が良くなかった事。答えるタイミングが難しかったりしたこと。現在の数学は、やる気満々でまだ習っていないところの宿題までしてしまうので、止めるのに非常に苦労してる事。私達家族は渡が数学で自信をもち楽しんでいるの見ると、とても幸せな気分になる事。渡は、どこに行っても「僕は数学が好きだ。数学の先生はすばらしくナイスなんだ!!」と自慢する事。
などを話すと先生も苦情じゃないとすぐに解ってくださりました。渡のような重度な自閉症をみるのは初めてで、先生自体もすこしとまどってらっしゃって、どのようにしたらいいのか?と逆にいろいろ質問してくださいました。先生からでた質問は
僕はランダムにクラスの子供を当てているが、渡をあてても大丈夫?彼は困らない?やる気はあるみたいなんだけど。こちらが言っている事はどれくらいわかるの?あまり言語を使っているように見えないんだけど、彼の答えはいつも正しいんだよね。
みたいな事です。私は渡は当てられると非常にうれしいし、白板に答えを書くなんていうことは大学前期でやって、難しい問題を解いたところから病み付きになっていることなどを話しました。いろいろ話し合ってうまく擦り合わせできました。
あとはならっていない部分を先き先きやってしまって、わからないと困ってしまうことの問題だけですね。と話すと、先生はにっこり笑われて
いや、僕はこの学期は随分渡と仲良くなれそうだ。彼は僕と同じくらい数学が好きだね。充実した学期をすごしてもらいたいので、僕もベストをつくします。
と、うまく褒めていただきました。こういうところ先生ってすごいなーと思います。感動。
やっぱり会ってはなっしてみるとこちら以上に先生もこまってらっしゃいました。
その悩みも綺麗になりまた明日から授業です。
さて、明日から、渡、ガンガン質問されるよぉ!がんばりなねー。と思う私です。