自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

渡の授業をのぞく

甥っ子が来ているので、渡の数学の先生にそのことを話したら

「ぜひぜひうちの授業を受講したら?」

と言われたので、私と甥っ子で参加。

渡は、数日前から授業を受けてるので、甥っ子に先輩風を吹かせてドヤ顔です。

渡もこの数学の授業は張り切っているので、渡だけを見てても面白い。授業中、ずっとニコニコしているのです。

数学の授業をずっとニコニコしながら受けてる生徒を初めて見た。

授業は復習問題から入ります。先生が

「これできる人?」

みたいに生徒に聞いてきたら、なんと渡が一番に手をあげてた。昔だったら、この手をあげるタイミングがあわず、万が一指名されても指名された意味がわからず、ずっと椅子にすわっていたのに。究極は家に戻ってきて、夕飯時にその日の数学の答えを答える事があるくらい。

これは、小学校の高学年時に、人生で最高の先生に受け持って頂いたときは、しつこく白板に書かされていました。こういう時の為の訓練だったんだ!とあのすばらしい先生の教育の成果を今ここで見ることになりました。

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盛り上がっている渡は、どんどん記入していきます。すごーっ。

先生に注意されたことは、

「ちょっと数字を大きく書いてくれますか?」

くらい。指摘されてすぐに大きくした。

やったね。最後まで問題を解いて、先生にほめられて自慢げに座席に戻る渡。

びっくりです。重度の自閉症という診断を受けた頃は、こんな事がおこるなんておもっていなかった。3年前の精神科の検査でさえも

「彼は大学進学っていうのは、違うからね。そういうことを考えないで、生活に密着したことからしっかり身辺自立。今の幸せな渡を継続させてください。」

と言われたのですが。「大学は渡が行く場所ではない。」というのは、あたってなかったかも。

甥っ子の数学の授業をうけた感想は、

「説明が非常にうまく、クリア。すごい授業を見た。」

と感動しておりました。日本で数学を学んだ彼にとっては、簡単な数学なのですが、こんなに綺麗に説明してもらうことはなかったそう。

大学に行ってみて思う事は今までのいろいろな訓練がどんどん大学で生かされているということ。やっぱり積み重ねっていうのは大事で、いつかどこかでその成果が出るものなのでしょう。

けど、たったひとつ嫌だったことは、私も一緒に授業をうけているので、とりあえず練習問題とかノートに書いて計算するのですが、言葉が数学の専門用語なので、一部わからない。まーやってるふりしてればいいかな?と思い、書いていると横から渡が

"Mom,wrong." (ママ、間違ってる。)

といちいち指摘すること。他の人には絶対にせず、私にだけなので、ママが間違って気の毒だ。くらいに思ってるのかも。

最初は素直に聞いて、のらりくらりと逃げていたのだけど、何度も言われるとだんだん腹が立ってきた。

「いいじゃん。私、数学の授業を英語で受けるの初めてなんだからさ。間違いもするよ。渡、自分が解るからってそんなに指摘しないでいいよ。」

と小さな声で逆切れしたら、後ろに聞こえて、後ろの生徒は笑いをかみ殺すのに必死。

なんだか、邪魔したみたい。ごめんねぇ。

けど、楽しい授業でした!