朝7時前に家を出たのにアナハイムのホテル到着が夜の8時。大学に立ち寄ったり、舞台設定で使う生地を買いに行ったり。シリコンバレーで生地をみたら見当たらなくて、ファッション関係の人たちが通う生地屋が連立するロサンジェルスの街に行きました。
生地屋は大阪の船場のようなところで、生地のお店が山のようにあった。
娘は設定で必要な生地をその中でも巨大なデパートのようなお店に入り、たんまり置いてある生地から、あっと言う間に必要な生地を見つけ出した。入っただけでくらくらした私には、大海に泳ぐ小さな小さな魚を空高くから、ペリカンがすごい勢いで間違いなく捕まえる風景のように見えた。
生地を見つけた彼女は、今度はその生地を私に頭の上から足元近くまで垂らして持ってほしいというのでやりました。
生地屋で手を高く揚げて目の前に生地を垂らす私。この確認が座席から見たときに大事だそう。私の立つ位置から香穂が5~10メートル離れてまたチェック。香穂が離れてしまうと、でーーっかい店の中央で、生地を持ち上げて、ぽつんと立つ私という感じになった。
思わず、周りからどう見えるのか?頭の中で想像してしまった。
百貨店の中央で生地を持ち上げて手をあげてじっと立ち、足までたらして、ぽつんとする私
を頭に描いてしまった。やっぱ、なんだかヘン。香穂に言ったら、
毎回、店でやる。そりゃ、そうだよ。舞台の為にはみんな必死なんだよっ!甘えてられない。簡単に妥協もできない。失敗はできないんだよっ!
とのこと。ひょぇぇーーー。
その他にも生地の厚さ、光の通り加減、色と光の反射などなど、すごい項目を全てチェック。それがあっと言う間に終わっていく。
すごぉぉぉーなんだか、職人さんみたいだ。
この生地屋さんに到着するまでにしっかりとロサンジェルスの渋滞に捕まってる私たち。じっと耐えて、つきあう渡も渡だけど、これには訳があります。生地屋さんにくる前に立ち寄った大学にことが起因しています。大学への到着が近くなって来た頃、渡は軽くパニックになった。どうもお姉ちゃんを大学に送りに来たと勘違いしたようだった。
まだクリスマスも来ていないのに、お姉ちゃんが大学に帰っちゃうの?えっーー!!今から旅行に一緒に行くんじゃなかったの?お姉ちゃん大学にもどっちゃうの?
と軽くパニック。お姉ちゃんがちょっとおじょくって、大学に着いたとたん、
バイバイ、渡!!
って言ったら、目に涙がいっぱい溜まって、
ディズニーランドに行こう!大学には行かない!!香穂、戻って!!!早く!!!戻って!!
と詐欺師かなにかにひっかかったお姉ちゃんを説得するかのように、必死に叫んでおりました。
香穂が
「大丈夫だよ。」
と言って、校舎に消えていった。不安げに待つ渡。ほとんど忠犬ハチ公の気分でしょう。じっと校舎を見つめて外で待っていたら、やっとお姉ちゃんがでてきた。すぐに笑顔を取り戻した渡。なんだか、こういう所がまだまだ子どもで笑っちゃう私。
よかったね。
こんなショックな事が生地屋に行く前にあったので、ちょっとくらいお姉ちゃんの買い物につきあわされるのはへっちゃら。我慢しまっせ!という感じです。
お姉ちゃんは、舞台の材料をもっての旅行。ホテルでコツコツを仕上げて行っています。
休みもゆっくりできない毎年の冬休みの我が家の風景です。