自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

ちょっとした工夫でドラマを見れるようになった渡

渡が少しづつドラマを見れるようになってきました。

いままでは、機関車トーマススヌーピーなどを見ておりましたが、どうも見てると同じシーンばっかり見ている。ジェームスが蜂に鼻を刺されるシーンや、ルーシーが転ぶシーンなどです。ストーリーを追っかけている感じがしない。視覚刺激で見ている感じがしてきました。

スピーチセラピストの方にもこの話はしていて、もっとドラマを見せるべきという話になりました。

まず好きだったものは、"Adam"

これは、彼の行動が自分に似ているからか、すごく落ち着いていました。

D

これは、映画の最中にところどこで、

「彼女は、なぜ泣いているのか?」と聞いてみると「悲しいから」と答えます。これはわかってないので、彼女はAdamに謝って欲しかったんだよ。と言うと

「あぁぁ!」

という表情になります。

ところどころで出演者の気持ちと、どうして悲しいのか?を説明してあげると見れる事が判明。

次は、 今年の頭にお姉ちゃんと映画館で見ました。さすがお姉ちゃんで、解説ばっちりなので、最後まで落ち着いて見たけど、最後は

「私でもびっくりしたので、渡もむちゃくちゃビビってた。」

というこれ。

D

怖かったらしく、あまりこの映画の事は言いませんでした。

スピーチセラピストに話すとセラピストの人は

「渡は宇宙が好きだし、爆発が好きだから、アポロ13を見せたら?」

と勧められました....。うっうっう。どうしよう...。実は私が宇宙関係が苦手。というより嫌い。小学校の授業で

「地球の外にまだ宇宙というのがある。」

と言われたときの説明がとてもわかりにくく、地球のことを理解するだけでも手一杯なのに、さらに宇宙??となり、苦手。

もっと苦手なのは、小さい時にテレビでロケット打ち上げをみて、たくさんの火と煙と爆音で大嫌いになりました。実は空港の離発着の爆音も苦手な私。

ということで、まずは私がわからないので、開発リーダーに

「猿でもわかるアポロ13の説明をしてほしい。」

とお願いしました。リーダーは説明がうまいので、さるでもわかるように説明してくれましたが、100%はわからない。さすがにリーダーも

「えっ...。」と、ちょっとあきれておりました。だって嫌いなんだもん。身にならない。

さて付け焼き刃でアポロの解説を聞き、アポロ13をみましたが、まだわからないところがある....。リーダーには

「もう、ゆみさんの理解はあきらめて、そのまま渡君に見せたらいいですよ。彼のほうが理解しますから。」

と言われてみせました。

ところが、最初の人がお話する部分やパーティの部分は渡は苦手。そこは飛ばす事にしました。そこから途中でところどころで解説です。ストーリーが核心に迫ってくると、所々で説明をいれますが、iPadのアプリ (Adobe idea)でこういうのを書きながら説明。

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描いてる間、目がらんらんとしてきた。体も揺れてまえせん。えっーと思ったのですが、こんないい加減な絵も真剣に見ています。

どうもストーリーの半分は確実に理解した模様。見終わると、すぐに自分の誕生日の欲しいものリストを返せと訴えてきました。来月誕生日の彼は早めにリストを私にタイプ打ちして渡していましたが、そこに Apollo 13 DVDと記入しています。

さらに驚いた事に、スピーチに行く前に、感想文をタイプうちしています。到着するなりセラピストへ提出。

すぐにセラピストの人は、

渡、アポロ13を見たのね?私になにか聞く事ない?

そりゃ、無理だよ。と思う私。渡は質問が苦手なので、質問するときのリストはVoice4uにいれて押せばいいだけにしてあります。渡が口頭で他人に質問できるなんて、名前か、元気?か、ちょっと助けてくれない?程度で数日前にみた映画に関する質問なんてなかなかできない。と思った。ところが

あなたは宇宙に行ったことがありますか?

とちゃんと過去完了型で質問した。えっ!!すごい!Voice4uでの質問の過去完了型の文章を覚えている。さらに名詞の部分はきちんと宇宙と入れ替えてる。

行った事はないわ。じゃ、椅子に向かい合って座って話しましょう。

と2人でアポロの話を口頭でし始めた。すごー。渡は、自分が質問したあとに先生の答えを聞くのですが、ここが自閉症。先生の回答もまねしてエコラリアルで言ってしまう。すぐに先生に

私の言葉を盗まないで。

のように言われました。盗むという言葉が嫌いな渡は、(どうも盗みをすると牢屋に入れられると思っている)次から、繰りかえさない。さらに

僕はアポロをみて賢くなった。

と報告しています。

すごー。ほんと、賢くなってるかも。(←これは親ばかと言うものですが。)

セラピストからは、私に説明で

ねっ!言ったでしょう?彼は、ストーリーのちょっとした部分を足してあげるといいのよ。それで最初のみんながお話する部分やパーティーの部分をとばしたことも大正解。この図もいいし、あなたが説明した事故のニュースが入ったときに、ジムラベルの奥さんがどうして自宅で泣いていたか?の説明でも人の感情が何に連鎖して起こったのか?がわかり、ストーリがつかめたのよ。すばらしい!!

とほめられました。

そうかーやっぱり、ストーリーがわかれば集中できるわけね。さらに感情がわかればいいのね。

開発リーダーにもこの事を報告すると

「あっ、ゆみさんより優秀でしたね。ゆみさんは、わからない。えっ?と言うだけで何がどうわからないのか?とか、ちゃんと質問文も作れませんでしたしね。」とにっこり笑われました。たしかに、リーダーが言うように見せたほうが早かったかも。さて一歩前進です。これからどんどんDVDを見せてドラマを見る楽しさ、音の敏感さを克服しながら映画館で見る楽しさがわかれば、彼の週末も充実しそうです。