自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症であることも全てひっくるめて「自慢の弟」

先日の日曜日に姉の香穂が大学に入寮しました。9月から3年生。私は仕事のやりくりがどうしても上手くいかず、日帰りでロサンジェルスシリコンバレー間を往復する事を決めました。

往復の距離は大体、青森から大阪と同じくらいです。

前の日は、香穂は汗まみれになりながら10箱の荷物を詰めて、それらを、台所に置き、自分の部屋のゴミを片付け始めた。そのまま彼女はシャワーに直行。私は

「えっー!ちょっと台所にこの荷物。邪魔なんですけど・・」と言おうと思ったのだけど、シャワーをあびてしまったので、言えない。

「まったくっ!!」と思っていたら、渡が突然、油性のペンをもってお姉ちゃんの箱に

"Pepperdine"

と大きく書き始めた。あぁぁ。。怒られても知らないよ。と思ったのですが。私もバタバタとしていたし、こんなところに放置した香穂が悪い訳で。

まぁ、一番上の箱に書いただけだろうと思っていました。

これはToy story3で、Andyが大学に持っていく箱の上に大学へと書くシーンがあるのですが、渡はこれをまねた訳です。

ほおっておくと、どうも全部に書き込んだようです。

それから突然、渡が箱をガレージに運び始めた。そうです!お姉ちゃんの為に重い10箱を全て車に綺麗に積んだ。

びっくり!誰も頼んでないのに。

すると香穂がシャワーから出て来た。

「えっ?箱は?」

と、すごく驚いている。

「それがさー渡が・・」

「えっ?積んでくれたの?」

とすごく嬉しそう。そりゃそうだよね。空気が読めないと言われている自閉症が、自分の頭で考えて、空気を読んで荷物を車に運んで積んだ訳ですから。香穂いわく

「渡に載せてってお願いしてくれたんだ!」

「いやー言ってない。突然運び出した。なんだか、空気読んだみたい。」

「えっ~!!やった!!助かった!!これ、すっごい重いんだよね。」

と言って大喜び。私が

「けどさー、箱にPepperdineってすっごい汚い字で書いてあるよ。消して持っていけば?」と言ったら香穂は、万遍の笑み。

「なんで消すの?これ、みんなに自慢するんだ。弟が書いてくれたって。みんな驚くぞ!!」

えっーーー。私はそんな当たり前のことを大きく箱に書かれちゃって、(それも汚い字で)それは・・と思ったけど、けど、香穂にしたら、最高にうれしいよね。

私のほうが空気読めなかったよ。ごめんよぉ。香穂。

二人でHi 5をしながら、香穂に「ありがと!」と首根っこをつかまれて、頭をごりごり・・照れてちょっと顔を赤らめながらも、すっごくうれしそうな渡です。

よかったね。

今頃、大学で香穂は

「弟が箱の行き先書いてくれて、荷物詰めてくれたんだ。私たちの大学の名前書けるんだよね!!」

って、さぞかし自慢してる事でしょう。

よかったねぇ。優しい弟が居て。