自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

コロナ時代に対応したVoice4u AAC の新バージョンをリリースしました

自閉症と新型コロナウィルス

自閉症というのは、点と点を結び付けて、一つのストーリーとして理解するということが難しい障害です。

アメリカのCDCが発表した自閉症・発達障害モニタリング(ADDM)ネットワークの推計によると、2016年のデータでは、約54人に1人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)であることが確認されています。

ASDはあらゆる人種、民族、集団経済格差に関係なく発症すると報告されています。

ASDは女の子に比べて男の子の方が4倍以上多い障害です。

2009年~2017年の調査期間中に、3~17歳の子どもの約6人に1人(17%)が、保護者からの報告で発達障害と診断された。その中には、自閉症、注意欠陥・多動性障害、失明、脳性麻痺などが含まれています。


自閉症はスペクトラムというだけあって、全員が全員とも同じ症状があるわけではありません。症状の幅も大変広いです。こう言ってしまうと、雲を掴むよう話になってしまうので、わかりやすいように様々な例から。

 

Aちゃんの日課

Aちゃんの日課は庭の水やりです。今日は大雨が降ってきました。Aちゃんは雨でも傘をさすということが思い浮かびません。そのまま外にでようとしてしまい、お母さんから、

「雨が降っている時は、傘をさすように」と言われたAちゃん。お母さんから長靴もすすめられました。Aちゃんは、傘をさし、長靴を履いて、外にでて、じょうろに水をいれて、日課である水やりをしてしまいます。雨が降っているので、お水は撒かなくていいということが結びつきません。

このように、点と点が結びつかない障害です。

 

Bくんは、数字が大好きです

物事に数字があることがわかり、楽しくてしかたありません。

ある日、お隣のおばちゃんにあったので、いつものように挨拶をしておばちゃんにききます。

「おばちゃん、年はいくつ?」

道をあるいていると、前から高校生の女の子が歩いてきます。Bくんはこの子にも様々な数字があることを知っています。

「お姉ちゃん、体重はいくつ?」

このように、相手の気持ちを組むことができず、自分の興味のある情報だけ聞いてしまいます。

 

Cくんは、視覚の力が強く好きなものに対してはこだわりが大変強いです。

一番好きなものは車です。

 

自閉症には、お話が苦手な人が多いです。お話ができても、共通の話題で会話を楽しむことが苦手です。話をしていても、気になる車の話がでてきたら、その話ばかりしてしまいます。

たとえば、きのう近所で交通事故があった。あつまったみんなで誰が怪我をしたのか?どのくらいの大きな事故だったのか?みんな助かったのか?重症の人がいて、心配だとかなどの話をしているのですが、一人の人が、ぶつかった車種を口にしました。

そのとたん、Cくんは、その車は何色だったのか?何年の製造だったのか?エンジンのモデルはどうだったのか?と車のことばかり気にしてしまいます。周りの人たちはすっかり引いてしまって、事故の話も続けてできなくなりました。


このように興味のあることを点で拾います。

 

このような自閉症の人たちへの課題
さて、この自閉症を持つ人たちが今のコロナ禍をどのように生きているのか?見ていきましょう。テレビでは、ニュースで一番に

「本日の感染者数はXXX人、死者はXX人」ということを言います。そうなると恐怖だけが残り、次の話をの線で捉えることが難しいので、衝撃的な死者の数が頭に残ってしまいます。

感染者数と死者の情報だけでは、コロナが防げるということはわかりませんし、「コロナは死者がでる。うつると死んでしまう」ということだけは理解できる感じです。

さて、新型コロナのことを何も知らないで、コロナは死んでしまう病気だと聞いたら、誰だって、パニックにもなりますし、怖くもなります。こんな世界を自閉症の人たちは日々、生きねばなりません。

これらの報道の後に、マスクはしましょう、手を洗いましょうといわれても、情報の間にCMがはいったりしたり、すっきりとまとまっていないと、点と点がつながりません。予防方法、コロナとは、いったいどのようなものなのか?は伝わりにくくなります。

新型コロナは、感染をしっかりと理解すれば、高い確率で防ぐことができるものです。

各自が気をつければ感染を防げること、他人に罹患させることも減らせることなども自閉症の人たちや発達障害の人たちにも伝えなければなりません。

それらを視覚情報などを使い、情報を得やすい方法で、伝えることが彼らの安心にもつながります。

障害があってもなくても、社会で安心して生きて行くことは人間の最低限の権利です。

自閉症の人たちがこれらの問題解決し、安心して日々をすごせるように、自分でも新型コロナの罹患を防げるように、Voice4u AACは、コロナの解説・理解を促すバージョンを組み込見ました。

 

自閉症の人たちが見てわかりやすいものは、実は誰もがわかりやすいものです。

どうぞ、Voice4u AACを使いコロナ禍を安全にすごし、健康で乗り切りましょう。