昨日の続きです。
渡のボランティア先での問題行動や、支援が必要な部分は支援していただきたくて、成人の職業訓練のサポート担当の方にボランティア先へ付いて行ってあげてください。足りない部分の問題を炙り出してください、とお願いしたのですが、なかなか一緒について行ってくださらないので、これではレポートができあがらないので、私が代わりに一緒に行ってきました。お姉ちゃんも参戦。渡は、
僕が先生になって、お姉ちゃんにもお母さんにもどうやってボランティアをするのか教えてあげる。
と単語、単語を話しながら、嬉々としております。
まずボランティア先に到着。受付の人や、スタッフの人はみんな渡のことを知っていて、
わぁ!渡!!今日は家族をつれてきてくれたのね。なんて、素晴らしいの!!ありがとう。
とたっぷりとお礼を言われて、自慢げ。
名前を張るように渡に指示されて、控え室で待っておりました。パラパラとボランティアの方がやってきます。おばちゃんや、おじちゃん、若い人など、いろいろな人種の人がやってくる。みんな渡のことは、よく知っているようで、適度に距離を開けながら、(渡は人があまりに近くにくると少しひくので)優しく接してくださっている。控え室の壁には、シーザー・チャベスの名言がかかれています。
時間がきて、今日の仕事の説明。今日はどうも区分けをするようで、最初はパンの区分けでした。寄付でいただいたパンなどがなんと、2000袋以上あり、これを6個ずつ小さい箱にいれて区分けします。
仕事をする前には、このパンがどこからきて、どこにいくのか?という説明がなされます。
どうも今回は、ホームレスの方のところに届けられるらしい。
パンは積み上げられているため、ふかふかのパンは下のほうのは形が潰れたものなどがあります。3分の1までつぶれていなければ、箱にいれていいそうです。かかりの方は、
自分がすごくお腹が減っていると考えて、区分けしてください。お腹が減ってても凹んだパンは食べれません。けど、7割食べれれば、お腹は満たされます。けど、あまりに凹んだパンなどは、心も凹んでしまうので、よく考えて、とのこと。
これは判断が難しい。やっているうちに迷うようなパンが出てきてしまいます。7割はすごくきれいだけど、3割が半端なく崩れているとやはり心も凹みそうだしとか。わからなくなってきたので、渡に聞くと、どんどん判断してくれます。
それは、入れて。それは捨てて。
すごー。積まれたパンはどんどん量がへってくると今度はかがんでの仕事。うっ、ちょっと腰に...。けど、いろいろ試行錯誤しながら、どんどんを箱につめていきました。
あっという間に2000袋以上のパンが小さい配られる箱に詰められて、目の前から無くなりました。
あぁ、あのパンたちは、お腹がへったホームレスの方達の元に行くんだなと思うとひたいに滲んだ汗もなんだか、ここちいい。
まだ時間があるので、次は何だろう?と、ふと違う方向をみると山と積まれた人参、なんと3トン分。人参の山に登れそうです。見ただけでめまいが...。
かかりの方が、また説明してくださいます。
この人参は、キングシティという街の少し北の街で収穫された人参です。これらの人参は、老人ホームに運ばれます。ここのところ雨が続くので、スープなどに煮て食べるので、形は少しくらい変でも関係ないです。ただ古いのがでてきたときだけ、捨ててください。25ポンド(11kg)づつ箱につめて、台の上においてください。
あぁ、こうやって獲れた場所の名前をしっかり教えてくれるから、最近渡はやたらと農業が盛んに行われているカリフォルニアの市の名前をしってるんだ。次の仕事は、11kgの箱を次々と運ぶのかー。腰が痛くなりそうだなぁ。と思いながらせっせと箱に詰める私。箱につめて、指定場所まで箱をもって積み上げるのが重い。いやー大変だ!!思ったら、すっと渡がやってきて、指定場所まで運んでくれる。横のボランティアのおばちゃんが、私がしんどそうな嫌そうな顔をしてしまっていたからか、渡の母親が私だと気がつかないで、そっと耳打ちしてくれた。
彼、優しいでしょう?いい子なのよ。
どうも渡に発達障害があることに驚いてはいけないよ、と思っての配慮みたいだ。
なんだか、目の前が見えにくくなって来た。目の前がかすむ..
おばちゃん、涙腺弱くなって来てる私にそんなこと言わないでよ....。泣ける...。
と思っていたら、渡がまた次の箱が満杯になったのをみて、ママと言ってきたので、すぐにバレた。
えっ?あなた、お母さんだったの?あなた、いい子を育てたわね。
ありがとうというのが、やっとの私。下向き加減で、涙腺崩壊。おばちゃん、優しすぎる。おばちゃんは私よりはるかに背が大きい人でよかった。チビでよかったわ、同じ身長だったら、泣き顔見られてたよ。そんなこんなで、2トンの人参をボランティアみんなで小箱に分けた私は、箱にいれるだけの作業でもそれなりに疲れて来た。あぁ、これで職業訓練の方が一緒に来てくれない意味がわかった。見学禁止なので、訓練する方も一緒に働かないといけないんだ。信念がなければ、なかなか大変な仕事だし。
私は少し疲れたけど、爽快な汗をかいたので、ここち良い。ボランティアが終わってから、帰り道で渡に聞いてみた。
いつもあんなに食料を分けるの?
渡はちょっと困った顔をして、
あの仕事もあるし、他の仕事もある。
そうか、人参だったから、今日は大変だったんだ。いつもは、シリアルとか、もっと軽い分けやすいものをやってるんだなと思って、
過去には、どんな物を分けたことがあるの?
と聞いたら、
スイカとか、メロンとか…。
げっ、スイカなんて、人参よりはるかに重いじゃん。今日はスイカじゃなくてよかった。
結構大変なボランティアでした。けど、ここにいつも朝の6時に起きてやって来て、しっかり4時間近く作業して、帰ってきてからまた仕事をする渡の信念ってなんだろう?不思議になって聞いてみた。
ねぇ。どうしてこの飢餓撲滅のボランティアが好きなの?
黙る渡。そうだった。渡はWhy?「なぜ?」という質問が嫌いです。答えられないのでした。なので、あっ、そうかー答えられないんだよなー。と流そうと思ったら、絞り出すように答えた。
感動…。自閉症の人は、人の心がわからないとか言ったの誰だよ...。
この飢餓撲滅のボランティア休憩室の壁に貼ってあったシーザーチャベスの言葉。
もしあなたが、友達を欲しいと思うのなら、誰かの家に行って一緒にご飯を食べなさい。人は食べ物と彼らの温かい心をくれるから。
いい時間を過ごせました。渡は終わってからも疲れた顔は一つも見せず。さっさとデータ入力の仕事を遅くまでやっておりました。こんなひょうきんな子だけど、
結構いいところもあるんだねぇ。