自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

アメリカでの起業についての重要な事~トムスシューズの創業者、ブレーク・ミコスキーの話~

きのうのブログでもあげましたが、香穂の大学の卒業式にスピーカーとして来てくださったのは、トムスシューズの創業者です。日本語のサイトはこちら→トムスシューズ

彼のバイオはこちら→Blake Mycoskie

彼は、2006年にアルゼンチンを旅行して、靴がなく病気に感染する子供、素足で遠くまで歩けないために学校に通えない子供達をみて、愕然とします。この子達に靴を送る方法はないのか?と思った彼は、Tomsの靴が一つ売れたら、一つをアルゼンチンに寄付する。という事で靴を販売する会社を起業します。これが大ブレークして、今はトムスの靴は多くの国で愛用されています。

こんな感じの靴ですね。

非常に履きやすいという評判の靴です。

彼は19歳で起業し、5つの会社を立てて、現在に至っています。

彼のスピーチがあまりに感動したので、要点をここにあげておきます。

1.お金の為に働くな。

大学をでて君たちは働くだろう。けど、お金の為に働くな。自分の信念を持ち、多くの人たちのことを考えて働くのがいい。

2.パッションを大事に。

自分の情熱をつぎ込める事をしなさい。それが、人の為になる事。人に役立つ事だと最高だ。情熱がないのに、お金欲しさに働く事をしてはいけない。

3.あげることを重要に考える

最初の数年は働いたところで、対して大金を貰える訳でもない。そんなお金を気にしないで、とにかく人にあげる事、与える事に重点を置いて考える。自分のブランドを作りたいと思う人は、あげない限りは自分のブランドは作り出せない。

僕の場合は、あげる事を考えていたので、靴をアルゼンチンの子供達にあげるということを人に話し、ラルフローレンが無料でデザインし、AT&Tが無料で宣伝してくれた。人間には人を思いやる心があるので、自分が人に与えようとすると必ず多くの人がついて来てくれる。

僕は、この事業をボランティアでするのではなく、きちんとビジネスとしてアルゼンチンの子供達を助けたかった。情熱を持ち、人にあげるということを考えていれば、お金は後からついてくる。僕が保証する。

これから就職先を探す生徒もいるこの大学。大学院に進む生徒も多い事でしょう。起業をする生徒もいるでしょう。彼等にとってはお金の問題は大事です。この講演は最高のお金の考え方、就職の考え方だと思います。

そういう人たちが聞いて楽しい話だと思いました。

ブレークは、靴をまだ売り始めた頃、少しづつうれる靴を見ながら大金をはたいて宣伝をすべきか?と悩みます。そんな時、NYから西海岸の飛行機にのろうとすると、自分の会社の靴を履いている人を見つけます。彼は自分が創業者である事を隠して、彼女に話しかけます。

「あの、失礼ですが、いい靴をお履きですね。」

彼女はぱっと笑顔になって水を得た魚のように、

そうなのよ!すごくはき心地がいいおしゃれな靴なのよ。この靴は、トムスといって、この靴を買うと僻地へ寄付されるんです。この創業者は、2006年にアルゼンチンに旅行して、愕然としたのね、それで今の会社をたてたの。彼は、サンタモニカの近くのボートハウスに住んでいるのよ生い立ちはね...。

と自分の母親よりも詳しく話してくれたそうです。あまりに真剣に話してくれる彼女だったので、そのときに彼は思わず、

ごめんなさい。実は僕、この靴の会社の創業者なんです

とバラすと彼女は大変おどろいて。

あなた、なんで髪の毛切ったの?髪の毛を切ったから、すぐに気がつかなかった!のばしててくれたら、絶対にすぐに解ったのに。

とはしゃいでいたそう。それを見て。

「あぁ。宣伝をするのはやめよう。こうやって靴を好きになって履いてくれる人たちに届く様にしよう。」と思ったそうです。お金を制作費にかけた方がよっぽど履いてくれる人も幸せだろうと。

アメリカでの起業というと日本では、テクニックが語られたり、シリコンバレーで一旗揚げる事が優先になってしまっている気がしますが、この彼の講演は、昔ながらにあるアメリカのみんなで協力する精神、困った人を助ける精神というこの国のいい部分が出ている起業だと思いました。

アメリカは多くの欠点もありますが、こういう思いやりある人が多く居る事も事実。

うちの製品Voice4uも同じような部分があるので、聞いていてもそうそう!と思う事が多く、非常に楽しい講演でした。


さて、卒業式も終わり、娘の新しい門出です。どういう人生を歩むのか非常に楽しみな将来です。

追記...なぜブレーク・ミコスキーがPepperdine大学の卒業式に来たか?というとTomsは、1年に1度裸足で生活することを勧める日があります。「途上国の子供達の裸足ですごさざるを得ない環境を体験する」というので、ブレークいわく、「靴屋が靴をはくなというのもバカな話ではありますが、そういう体験をする事によってアルゼンチンの子供達にどれくらい靴が必要か?がわかるから。数分でもいいので、裸足で歩いてみてほしい。」というものです。この運動に一番に参加した大学の生徒がPepperdineだったためだそうです。大学の生徒が複数あつまり、この事を周りの生徒に告げ彼等は裸足で過ごすという行動を起こした。そこから大学間に広がったという経緯があり、ブレークとしては、忙しい中、Peppedine大学にくる事は、こういう過去の学生への感謝の気持ちもあったそうです。