自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

親業の難しさ

月曜日です。お弁当を毎日持参する彼は、今日はちょっと私の思い入れが入りました。

きのう作った太巻き。きのうは節分なので、大阪出身の私は太巻きを巻きたいのだけど、我が家の子どもたちは太巻きが苦手なので、いつもはあまり作りません。けど、せっかくだしなぁ...。先日ご招待されて仕事が忙しくて伺えなかったお宅にも気持ちお裾分けと思い、少しですが作りました。

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さて、今朝は、この一切れを渡のお弁当にいれてみました。お弁当に野菜をいれてくれてもOK、食べさせる訓練をさせるからという先生のお言葉で、野菜も少しづつ食べれるようになってきましたが、まだまだ食べれる野菜も数種類。

パニックになるかもな、と思ったのだけど、入れてみました。

彼にとってはこの冷めた嫌いな物が全て巻かれているお寿司は、ほとんど妖怪。大学が始まってから、お弁当を残さず食べれるようになるまで1カ月かかり、今は、残しません。本人も丁度自信がでてきたところだったので、そろそろだなぁ、と思い。

彼にとっては、

「嫌いなもの巻き」のこの太巻き。小さいひときれを弁当にいれてみた。渡は、今日も苦手な野菜も全て食べて、お弁当完食!と意気込んで開けたら、妖怪がでてきたわけだ。たった一切れの巻き寿司を残す事が、死ぬほどいやだったと見える。昼休みの時間、私の携帯は数分間、何度もなりっぱなしで息子の泣き声が入っていた。残さないといけない自分自身が悔しかった様です。職業訓練の先生もなれたもので、すぐにテキストをくださり、

「現在、無視してます。けど、きちんと見てるので、安心してください。」

とのこと。ありがたい。私は、

「10分もいらずおさまりますが、必要だったら、迎えにいきますので、お伝えください。」と返事。先生は

「大丈夫だよ!!」

こういう時に相手されるとよけいパニックになるので、無視していただけるとすぐに治ります。私も先生がせっかく協力してくださってるので、電話を無視。

こういう受け入れられない事も、自分で解決しないとならない。社会にでたら、誰も助けてはくれないし、誰も巻き寿司一切れを残す事がいやで、パニックになってるなんてなかなか理解してくれない。「残す判断」や「残す事の交渉する(できない事の交渉ですね)」ということを自分で考えて、行動にせねばならない。パニックになる前に、まずは自分の頭で考える、人に聞くなどの解決方法を学んで行かねばならない。自閉症でも、それは自分のレベルにあわせて、少しづつチャレンジしながら学ばないとね。渡!

やっと自分で精神的におちついてから、電話をかけ直して来たので、電話で2人で解決策を話し合いました。

どうにか理解したけど、怒りがさめやらない息子。たがが巻き寿司ですが、彼にとっては大きな学びの節分になりました。泣いてる息子の周りにいた皆様にはうるさくしてしまいご迷惑をかけましたが、作ってよかった巻き寿司でした。急がないでもね、ゆっくり成長してもいいんだよ。けど、チャレンジすること、努力することは大事だからね。

成人になる子どもを育ててわかってきたのだけど、しつけって、ただ厳しくこうしなさい。ああしなさいと指導するのではないんだと思う。しつけるというのは、自分の頭で考えて善悪や物事の判断をし、できないときは周りに交渉すること。人の気持ちを感じる心を持つ事。人の痛みを解ろうと努力すること。自分を大事にすること。(←自分を甘やかす事ではない)

そういう頭と丈夫で優しい心を育てる事が子どもをしつけるっていうことなんだなぁ。と渡を育てて思います。なかなか親業は難しい。