渡の歯科検診でした。今日はアメリカの学校も休み明けということもあって、がらがらだった歯医者さん。みんなのんびりです。渡が6歳の時に他の歯医者であばれて、歯医者探しで転々とした日々にみつかった歯医者さんでした。大好きな歯医者さんです。まだ看護婦さんもきていないのに、見てもらう気満々で、もう歯を見えやすくして構える渡。笑っちゃう。
初日のことを思い出した私。ナースのBさんは、自閉症にすごく慣れていて、渡の癖をすぐに見破った。渡は初めていく場所は、棚やクローゼットの全てを開けないと気がすまない。どこの歯医者でも個人宅でも棚から棚、全てあけてしまうので、すぐに退場。
ところがこのナースのBさん。渡がくるなり自己紹介をして、
「じゃ、ツアーしましょう。」
といって、一緒に歯医者の全ての戸棚をあけ始めた。渡もあけていいと言われたら、おもしろくないようで、途中でもういいっていう感じで投げ出しました。
そうすると、診察室に連れて行き、今度は小さなおもちゃをくれました。アメリカの小児歯科医は、歯医者が嫌いにならないように、日本で言う20円くらいのおもちゃをくれます。それを最初にくれました。視覚刺激が好きな渡に、小さな人形にパラシュートがついたおもちゃ。それをずーーーっと投げては拾い、投げては拾いと繰り返しやってくれました。ニコニコしだした渡の元にやっと歯医者さん登場。無事ににこやかに歯医者が終了。
今日はナースのBさんと初日の話で盛り上がり。他のスタッフの方もみんな渡をご存知なので、どんどんと渡の周りに集まり始めました。みんなでまるで井戸端会議のように渡の現状などを聞いてくれました。
私はお世話になってる方々に渡の現状を報告。
現在は大学に通いGPAも4.0をKeepできた事。一人でバスにのって大学に通っている事。人が大好きな事。今は仕事の訓練もしている事。
みんなまるで孫の話を聞くかのように聞いてくれています。話すたびにみんなが
「えっー!!!すごい!!」とか、
「渡、やったね!!」
とか褒めてくれるので、渡は天狗状態。またその天狗になってところが昔の渡を知ってる人たちは、笑える訳で。みんな悪かった頃の渡を知ってるからです。
なんだか、実家に帰ってみんなでお茶を飲みながら話しているような気分。
看護婦さんたちは、
「お母さん、よくがんばったねー。」
とか言ってくれたけど、いえいえ私はラッキーでした。途方にくれていたときに、ここの歯医者に会ったし、私が困っているときに助けてくれる大勢の人がいたし。
看護婦さん達と
「私は本当に幸せ者だと思う。」
と話しておりました。
なんだか、心暖まる日でした。
歯医者さんで、こんなに心が暖まるのも渡がいたからで。自閉の子育ては大変だけど、いいこともいっぱいあるよね。