自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自称「僕すごい」という息子

息子の体育はメインストリームのクラスでやっています。ようするに健常児のクラスですね。高校になると野球やバスケなど複雑なルールと作戦を要求されるチームスポーツもあります。渡はこれらは難しいのですが、見よう見まねでみんなの後ろについていったりして、なんとかその場にいる感じです。準備運動のランニングなどはついていけるのですが。体育は普通のクラスにするか、特別支援のクラスにするか迷ったのですが御本人のたっての希望で、普通クラスに。

ひともんちゃくありましたが、普通のクラスに参加することをなんとか学区に認めてもらいました。

そんな苦労は渡はどこ吹く風です。

楽しそうに2日に1回の体育に参加しています。

ところが!体育の授業で大きな課題ができました。

プレゼンテーションです。

アメリカの場合、子どもの宿題は親も手伝うという紙にサインをさせられるので、手伝わねばなりません。

けど、出た課題が

1。有酸酸素運動と、筋肉ができる仮定、仕組みについて。

2。上記のレポートを提出。筋肉が3ヶ所以上鍛えられるフィットネスマシンを作成。そのマシンの名前を決定しなさい。さらにパワーポイントでそれらの説明のプレゼンテーションをし、動かし方のデモストレーションをする。

というものです。もう最初の一行読んだだけで頭くらくら・・。渡も母ができない事は理解。ところが私はアイデアは出すのは好きなので、フィットネスマシンをつくるところに参加。

論文のようなレポートの方は、渡が開発リーダーに聞きに行く始末。

何時間もかけて渡のレポートが作られ、パワーポイントを使いながら、なんとか作成。

私は、渡がその場で簡単に組み立てられて、デモができるフィットネス製品を渡に提案してみた。

えらく渡は、お気に入りになり、名前も自分で

"Slim marble 2011"(2011年の最新痩せるビー玉、という意味らしい。)とつけた。

こういうしくみ。

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大きなバケツの丸い蓋をひっくりかえして、ビー玉をしきつめる。その上に小さい蓋をふたするように乗せると、ビー玉がその蓋をおしあげるので、くるくると回る。

足をあげ、上半身は右に下半身は左にと回すと足の筋肉、背筋、腹筋が鍛えられるという代物です。こんな感じ。

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これなら渡もいつでも組み立てられるし、簡単に持ち運びもできます。

さて問題のプレゼン。

これは複雑な課程です。

説明し、パワポを動かし、デモもする。という3つのこをとせねばなりません。もう何度も練習です。

しかしプレゼン自身は、渡が一人でできる課程ではないので、朝から学校の先生に相談となりました。ところが!渡が所属する特別支援クラスはこんな日に、ボーリングらしい・・。えっ?ということは、いつもの渡の助手の人はいない訳?大変だ!!

隣のクラスの助手の方がついて行ってくれる事になり、説明しました。渡はとにかく最新のフィットネスマシン(笑)を教室にもっていくのを忘れてはいけません。

さて、本番の時間がやってきました。もちろん私は見学できないのですが・・。

けど、帰宅第一声が

「僕、すごいんだ!!!」

だった。何がすごいだ?ときくと

「プレゼンはみんなが拍手した。先生が、”おめでとう、渡”って言った!!!」

英語で興奮して私に報告。もう全身に喜びがあふれています。

すごく自信をもったようです。渡の自信なんて人の3倍あってもすぐに崩れ去るので、荷物にもならないし、このまま持ってもらう事にしました。けど、先生の「おめでとう渡。」という言葉には、感動。

クラスのみんなも見ただけで障害があるとわかる渡に対しては、やさしかったようで、みんな静かに聞いて大拍手をくれたようです。

ありがとう、皆様。みなさんのおかげで今日は渡は自信としあわせな一日を頂きました。