自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

渡の学校が終わった&お弁当に思う事

渡の学校が終わりました。今日が最終日です。今年は、私の仕事が忙しくなったことや、花粉の季節に渡がとても苦しんだ事もあり、結構大変な通学になりました。がんばって1年を無事に終えた事はよかったな。と思います。

朝お弁当を入れながら思った事は、私ってこのお弁当を18年入れてるなーということです。娘が1歳から入れ始め、娘は10月で20歳になります。あしかけ19年、毎日弁当を入れた訳です。


2歳の時には保育園で「納豆の細巻きを食べたい」と言った香穂で、私がにおいとかもするので駄目なんじゃないの?といくら説得しても

「大丈夫」

といいはるので、担任の先生にも相談してみました。当時は今ほど日本食もブームでなく、お寿司なんて見たことない人が多々いる時代でした。先生に、「大丈夫」と言われたので、毎朝すし飯をつくり、納豆巻きを持たしていました。

ある日、その先生が産休に入り、スタンフォード大学を出たてのいかにも賢そうな女性が香穂の担任になりました。

優しい彼女が全員のお弁当を電子レンジにかけてくれるのです。香穂は

「かけないで!」

とお願いしたにもかかわらず先生は、

「そんなに遠慮しなくても」

と、香穂の納豆巻きを電子レンジにかけてしまった!香穂、めそめそと泣き出し、教室中はすっごい臭いが漂いました。さすがにスタンフォードの幼児教育科では、納豆を電子レンジにいれてはいけないとは習わないものね。

その日から香穂の弁当箱には、「暖めないで!!」とおおきな張り紙がされるようになりました。月日がたち香穂が年長さんになり、他人のお弁当も気にしはじめたので、

「そっかぁ。キャラクター弁当を作ればいいんだな。」

と日本人的に思った私。サンドイッチは食べたくないという彼女の為にキャラクター弁当をつくったのだけど、なんとなく元気がなくなってゆく。どうしたんだろう?と思い聞くと、すごく遠慮がちに

「悪いんだけど、普通のお弁当にしてくれない?」と言いだしました。どうしたの?と言うと、

「香穂のお弁当は、食べようと蓋をあけると先生達が寄って来て、それを先生たちが手にもって珍しがって回して見るので、私が食べる時には、もうみんな食べ終わって、私一人でお弁当をたべるんだ。遊ぶ時間が無くなっちゃうの。」

あぁぁー。そうか、みんな生のにんじんとピーナツバターのサンドイッチだもんね。

次の日から高校生のようなアイソのないお弁当にし、りんごだけウサギの形に切っていれたら、さらに元気がなくなっていく香穂。

「あのねー。悪いんだけど、うさぎのリンゴも辞めてくれる?私のリンゴだけ先生達が手にとって見てまわすので、私のところに戻って来た時は、茶色い色の変わった暖かーいりんごが戻ってくるの。」

びっくり。結局、日本のお弁当の本を香穂に見せ、どれだったらいいのか?を聞くと、

香穂がうれしそうに指差した弁当は

「体を動かす仕事をするお父さんの為のお弁当」

というもので、保育園児にして、工事現場のおじさんとおそろいのお弁当を持参して元気に通う香穂でした。

渡も1歳から特別支援教室に通っていたので、お弁当です。今も渡はお弁当。

けど、日本のお母さん、中にはお父さんもおられると思いますが、毎日お弁当を入れてすごいと思う。朝のあの忙しい時間に入れるお弁当は仕事をしてても思うのだけど、会社の仕事と比べても、弁当作りはそれなりに大変な作業です。それをしても誰も表彰状をくれる訳でもなく、お給料をもらえる訳でもなく、それでも多くの親たちが行うお弁当作り。やはり親ってすごいと思う。日本中のお弁当を作るお母さん、お父さん。おつかれさまです。子どもたちに代わってみなさんに「ありがとう」といいたいです。

私もまちがいなく、お弁当を作りをしなくていい日というのがやってきます。それまではあと少し渡の喜ぶ顔を想像しながらがんばって続けようと思う今朝のお弁当つくりでした。