自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症の渡の21歳の誕生日です。

本日、渡が21歳になりました。アメリカでは21歳になってやっと完璧な大人です。21歳からお酒も飲めますし。赤ちゃんの頃から重度のアレルギーと喘息もあり、3度ほど生死をさまよいました。

渡は1歳半の時に発達の遅れがあることを診断されて、2歳になってすぐに自閉症と診断されました。

私は心に決めたことがありました

とにかく、毎日、毎日を精一杯生きよう。まだ1歳の子供に将来の不安を抱くことはしない。お姉ちゃんの香穂にだってまだ1歳や2歳のときにどこの大学に入れるか?とか心配していないので、渡だけ心配するのは裏を返せば、渡を信用していないということだな。

と。そう自分に言いました。

将来は毎日毎日の積み重ね。日々を大事に、楽しく生きよう。毎日がたのしければその積み重ねの先にやってくるのが、21歳の成人の誕生日だから。もし、21歳のその時に、万が一渡が辛い思いをしていても、私は自信を持って、彼に聞けるようにしよう。

「あなた、今、大変かもしれれないけど、歩んできた21年の道は結構楽しかったんじゃない?」って。

その時に渡が「そうだよね。面白かったわ。」と答えられるように日々を大事に、毎日一度は笑えるように。そんなことを考えて育ててました。

現在、渡は、大好きなお仕事も見つかり、とにかく、自分のいままでの人生は楽しかったらしいし、これからも楽しいらしい...。と、なんの心配もしていないご本人。さすが楽天家の渡。

小さい頃は、人様の家で暴れたり、脱走したり、大声を出して迷惑をかけたり、水を撒きまくったり…迷惑をかけたことは、あげたらキリがありません。けど、その場その場でみなさんと一緒に考えて対処してゆけました。小さい時は病気がちでみなさんにもすごく心配もおかけしました。もう生きてるだけで丸儲けみたいな子でした。

そりゃ、社会的には、問題山積みです。渡のような成人が住む家が足りない。仕事だって、9割の自閉症が正社員になれていないというアメリカの現実。けど、この問題を渡にかぶせて、だからあなたは大変。というのはお門違いだと私は思います。問題はわたしたちにあるから。

そのためにも母は、もう一踏ん張りです。

21年前、自閉症と一緒に生まれてきた渡という大きなプレゼントを神様がくれたけど、その時は大きすぎて、よく良さがわからなかった。けど今になってしみじみと、こんな素敵なプレゼントをいただけたことに気がついているトロい母。渡、私は、あなたの母であることを誇りに思ってるからね。

本当に感謝、感謝です。このプレゼントが驚くほど素晴らしいと気がつくことができたのは、小さい時からもう数え切れない人たちの優しい、力強い助けがあったからです。この感謝は一生みなさんに伝えても伝わらないほどです。ありがとうございます。皆様、渡、無事に21歳になりました。成人です。

将来に夢と希望を持ちながら、(お姫様達も大好きなままで)元気で毎日楽しく生きております。渡、香穂、私から、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。