自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

驚くものを持って帰って来た自閉症の渡

息子の大学数学のテストが戻って来た。クラスが終わるまでにテストは数回あります。アメリカの場合、全てのテストと宿題が大きく成績に響く様になっているので、さぼると一気に成績が落ちます。

大学では、最初と2回目のテストで、大掛かりな首切りが行われる。基準は簡単。

60点未満を取った生徒は、もう最後まで残れる可能性はほとんどないので、このクラスから出て行き、一つ下のクラスを受けるように。60点未満の生徒は個別に話をするので、ぜひ教授室までくるように。

クラスから出された場合は、遅れて始まる長い時間をかけて行われる一つ下の数学のクラスを取る様に言われる。もちろん渡は、このグループに入ると思っておりました。

大学のカウンセラーの方からも、

「渡が小さい時から高校まで在籍していたプログラム(わりとシビアな子どもが通う自閉症専門のプログラム)からきて受かった生徒は、いまだかつて一人もおらず、軽度の自閉の生徒でもほとんどはこの数学は落とします。もちろん普通の生徒でも通る子は少ないです。それなのに、本当にこの数学取るの?」と言われておりました。けど本人は、

「取る。」と言い張るし。カウンセラーが説得モードに入ろうとすると、

「僕は数学が好きだから。数学を勉強するから。」の一点ばり。興奮しておりました。カウンセラーもやっかいになるので、とりあえず取っておとせばいいのでは?ということになりました。

私も、挑戦は大事だし、落とすという経験もするべきだと思い。いつも成功していたのでは、成功のありがたみや達成感も薄れてしまうし。

渡は今日は一人でバスにのり、2km以上の道を歩いて帰って来たので、ちょっと心配になり家に様子を見に来たら、非常に興奮しておりました。ニコニコです。

それもそのはず。

こんなもん持って帰って来てるし。

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慌てる私。実は落とすと思っていて、呼び出しは覚悟だったので、職業訓練の先生も教授とのお話に加わって、今後の渡の数学の勉強の進め方を伺うつもりでした。

ご機嫌な渡は、数学教えてもらう開発リーダーにもすぐに言うというので、報告しました。

開発リーダーは

よくやったね!さすがです。間違ったところは、一緒にやり直しましょう。がんばったね。

と褒めて頂きました。

ご本人、大喜び。

私は、一体なにがあったのか、わからず…。開発リーダーに

どうしちゃったの?

と聞いてみた。開発リーダーいわく、

テスト勉強の時に結構できていたんですよね。ずっとやってましたし。なので、これは結構いくなぁと思ってました。

けど、まだテスト中に集中力が欠ける時があるみたいですねぇ。できるところ、間違ってますし。けどね、ゆみさん、ここだけの話しですが次の単元は渡君が一番苦手なところです。たぶん、荒れますよ。わからないと彼は、わりとストレスになってしまうほうですから。次のテストの首切りはひっかかるかも...ですので、しっかりやらないといけません。どうしても彼が苦手な文章と理論の理解がたくさんありますから。

ということでした。えっー。それもめんどう。また数学しながら、高校の時のようにご本人は感情が高ぶって、悔し涙を流すのか?と思い。

そんな渡は、一日ご機嫌で夜に宿題をやりはじめた。

確かに、新しくはいった単元は彼は苦手。すごいフラストレーションでした。

やっとの思いで苦手な単元の宿題を終えた渡。どっと疲れた様子で、お風呂に入りました。お風呂でぼそぼそ言ってるのでなにか?と扉越しに耳を傾けると、ため息まじりにがっかりした声で、

教授は、ちょっと賢すぎるんだよ…。

吹いた。

いやーそうでしょう。大学の教授な訳で…。なんだか肩を落とす渡の姿も笑えるようになってきた母でした。