自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

幸せな時

渡と香穂で、裏庭のみかんをとってくれました。

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実は、香穂は高所恐怖症で、はしごが登れませんでした。

そんな彼女が舞台芸術学部を専攻したので、私は、とても心配しておりました。照明担当になると、照明をつり下げるCat Walkという舞台の上の部分に上らないといけないからです、Cat Walkにあがれない舞台芸術家なんて首でしょう。なので、このせいで香穂が大学をやめさされるのではないか?と思ったほどでした。


1年生の時は香穂だけが登れず、どうするのか?という感じでしたが、今年から2年生。

舞台芸術の世界はイギリスから入ってきているせいか、アメリカの大学にはめずらしく割と上下関係があります。

今回の担当だった劇は、3年生の先輩が総監督で非常に厳しく、言葉にだして怒る人だったそうです。彼女は1年生と組んでやっていたのですが、もちろんミスをすると総監督が全力で怒るので、1年生が泣き出しそうになるし泣いた子もいたそうです。怒られて舞台が嫌いになった。は、とてもいやだった香穂。なので、大変で嫌な部分を任せてしまって、失敗したら1年生がとてもかわいそうなので、香穂はむずかしくて皆がいやがる部分を進んで行うことにしたそうです。そうなるともちろんCat Walkにあがっての照明設定なども入ってきます。


けど、1年生を泣かせて自分が逃げる訳にいかないので、意を決して登ったら大丈夫だったそうです。よかったねー。

ということで、はしごは完全に克服。はしごの扱いにもなれて、足場をしっかり確保し、渡に声をかけながらみかんを取らせています。

みかんの木は棘があるので、手を引っ掻いたりするととても痛いので、渡の顔も険しくなります。

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そんな渡にかけ声をかけながら、みかんとりをうながし、袋いっぱい取ってくれました。


さてこれらのみかんは、ジャムにかわります。

3日とあけずにパンを焼く私の朝ご飯は、ジャムなしでは過ごせません。

灰汁抜きをして、皮もすべて食べますので捨てる部分は種ぐらいです。

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こんなにジャムができました。

けど、私がもっと楽しみなのは、これ。

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みかん酒です。


渡が小さい頃は、庭に出るとお隣の塀を超えて水を巻くので、ご近所の両隣と真後ろのお宅の庭は水浸し。庭仕事をされていたら、ご近所の方も水でぬれてしまいます。なので、渡が庭に出たらでたで、ハラハラするし、家にいたらいたで、いつ脱走するかでハラハラするし。もう私が落ち着いて料理ができる時間など、一生こないと思ったこともあったほどです。そんな渡がみかんをとってくれて、ママレード作りを手伝ってくれます。


心配していた香穂もはしごが上れるようになって、みかんをとるのを手伝ってくれていました。

おのおの心配していた子供たちが、大きくなって取ってくれたみかんで、作るお酒はどんな味でしょうか?

1ヶ月でできるのですが、たぶん

「どのお酒よりもほっとできるうれしいお酒」になるんだろうな。と思う私です。


二人ともありがとねー!本当に幸せだなと思った私のひとときです。