自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

香穂が大学に向います

大学が始まります。

香穂の大学は、8月30日開始です。渡の学校は9月の頭からなので、今年も香穂のお見送りに付いて行けます。

香穂は、数週間前に大学から正式なクラスの時間割と、自分の専門学部の方からは、今年の担当の発表がありました。8月30日からは、大学2年生です。

今年、香穂は、教授達と1時間以上話した末、通常は4年生からしか取れない「コスチュームデザイン」のクラスを教授推薦で取ることが決定。教授からは、スケッチブックを手渡され、香穂もそれなりに自分が期待されてるかも・・・。と思っていますが、気が弱い香穂は、これが結構プレッシャーです。


正式発表の前には、香穂は自ら学部長に、

「私はリーダーシップがある方ではありません。舞台総責任はやる気はありませんので、責任者関係のポジョンはまわさないでください」

とお願いしてあったようです。目立つのが好きなアメリカ人には、あまりいないタイプかもしれません。

ところが蓋を明けてみると年始の劇の副総責任者、照明監督をすることになっています。

もう緊張しまくりの香穂。


ディズニーのエマジニア(乗り物設計等の技術者です。ランディ・パウッシュがこの夢をかなえています。数千倍とも言われる倍率の職業です。)が夢の彼女としては、

「照明やらされるんだったら、ちょっと学校に行く前に再度World of colorを見たい。あれは絶対に大学で話題になるし・・。」

と言いだしました。

そりゃそうだろうな・・と思った私は、少し早めに出て、ディズニーに立ち寄って、大学に早めに入寮になりました。まーエマジニアは無理にしてもディズニーのどこかで働ければ彼女が幸せでしょう。



さて、今日やっとパッキングを開始した香穂。私は仕事が立て込み、なにも手伝えませんでした。家に戻るとパッキングは全て終わっておりました。

昨年度は私もパッキングを手伝ったので、

「母の心配」「母の不安」

という張り紙をしたほうがよさそうな内容物も多々あり、香穂が一人で、パッキングしたら、なんと荷物の量は昨年の半分。

結構足引っぱりの母ということは判明。母は子供がいくつになっても、こうやって心配するのでしょうねぇ・・ちょっと情けない私・・。


香穂の旅立ちで再度の問題は浮上したのは、渡の問題。

昨年度は、帰りの5時間の車の中でしゃべらないどころか、一言も口を聞かず、音も出さず、ただじーっと外の景色をみて、泣く事さえもできなかった渡です。


しかし渡も今年は智恵を使い、

”香穂が大学に行くのは、トイストーリー3と同じだ。”

と思ったようです。トイストーリー3はウッディの所有者であるアンディが大学に進学するという設定です。

渡はそのままアンディのお母さん台詞をまねて

「ねぇ、信じられる?香穂が大学にいくのよ!」

と言ってみたり、箱には、トイストーリーのように、大学の名前を書くように香穂に指示してみたり・・。それなりに智恵を使って、寂しさを紛らわせているようです。


「さぁ。車に荷物を乗せていいよー」

と言うと、はーい!

と声が聞こえたので、私はシャワーをあび、子どもたちを見てみるとなんと渡が荷物を運んでいない。

”女の子が重い荷物を持ってるのをじーっと見るような男にはなってもらいたくない”

が私の願いですので、私は思わず

「渡!なんで香穂に荷物持たせてるの!香穂は女の子・・」

って言いかけたら、香穂がぴしゃっと遮断して、

「ちがうよー。渡は今、トイストーリを再現してるんだよ。箱を持って車に詰め込んでいたのは、大学に行くアンディなので、私がアンディ役だから、箱を持たないといけないんだよ。もー。せっかくやってるのに・・。」

あーそういうことか・・。お姉ちゃんも必死に渡が悲しまないように合せてあげています。兄弟愛ってすごいね。またしても母は邪魔・・。すんません・・。