自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

畿央大学からのメール

今回の帰国で、私は畿央大学教育学部の先生から授業依頼がありましたので、行ってきました。

大学の先生から、学生さんのコメントがきちっとまとめられて、送られてきました。

実は、この大学。授業依頼があるまで、私は知らなかった。(ごめんねー!!畿央の皆さん!!)

奈良県にある大学です。その日は午後過ぎまで、大阪の大学で授業後、電車に揺られて奈良県へ。

「誰も聴講者が居なかったら、どうしよう。お茶でも飲んで帰ろう。」

と、ほんの少し疲れた体で大学に向いました。駅まで先生がお迎えに来てくださり、車が大学に到着して、大学に一歩踏み入れた私が驚いたことは!!

みんなが「こんにちは」と挨拶してくれる!


一瞬、なにが起こったかわからず、引率の先生にしてるのかな?私が挨拶したら、おかしいかな?と思っていたら、お手洗いに行った時も私と香穂と渡の3人で学内をうろちょろした時もみんなが挨拶をしてくださいます。

私の疲れは一気に吹っ飛び・・。

「すばらしい!こんな大学があるんだ。」

驚きました。

香穂曰く、

「なんだか私の通うペパーダイン大学に来たみたい。」

と言います。初めて来た香穂が、自分の学校に帰ったのか?いう錯覚に陥るくらいの皆さんの暖かい歓迎です。

俄然、授業も熱が入って来てしまいます。


授業は、学部生とお伺いしていたので、私が、学生時代に困ったことを思い出して行うことに。

特に、私の実習前に困ったことを思い出し、それは実践的なことを授業で習えなかったことなので、主に実践ですぐに使えることに的をあて、1時間半の授業をしました。

畿央大学のトップページ右端にあるブログから、授業の様子は見れます。


養護教員の希望者も多いとお伺いしたので、自閉症児をあまりみたことのない学生もいるだろうと思い、渡もプレゼンをさせてもらいました。

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私の思い込みで、自閉症に合ったこともないという生徒も多いだろうとおもったのですが、聞いてみると、なんと半数以上が

「ボランティアした。近所にいた。クラスにいた。」

とかで周知済み。すごい大学だ。

渡は1歳の時に医師から

「一生一言も話せない可能性がたかいので、覚悟して育てて下さい」

と言われたのですが、こういうプレゼンは大好きで、電車に乗っている時から、

「プレゼンする。」

とワクワクしておりました。

到着してみんなが優しくしてくれる上に、美人が多いので、渡が、いつも以上にプレゼンに力が入っているのがわかります。

いつもならプレゼンを終えて、すぐに出ていくのに、なかなか出ていかない。

出て行った後も、すぐにもどってきて、教室の一番前に座り、一緒に授業を聞いています。それくらい皆さんが優しく、渡の居心地もいい大学なのでしょう。


授業は、あまりに力が入りすぎて、時間をオーバーしたのですが、皆さん、集まってくれて、お話してくださったり質問してくださったり。ありがたい限りです。

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授業を終えてから、先生といろいろお話をしましたら、畿央大学教育学部は、まだ歴史が浅く昨年度初めて一期生を社会に送りだし、卒業生の8割が教員・保育士になっています。小学校の先生だけでも6割100%の学生が(講師を含む)教師になっているそうです。

具体的な統計はこちら


私も教育関係の学部を出たのでわかるのですが、教師になる。(講師を含んだとしても)ということは、とても難しいことです。就職口がなかったり、今のように子供の数が減ってしまっていては、就職難の職業です。先輩先生は一旦教師になったら、簡単にやめないので、空きも少ないです。

そんな時期に、これだけの教師を排出できる大学というのは、すごいと思います。


さらに私が、

「先生、進路もそうですが、あれだけ生徒に挨拶させる習慣をつけるのも、難しいでしょう?」

と言うと

「いえいえ、私も赴任した時は驚いたのですが、あれは、生徒は自発的にやっていることで、誰も教師は生徒に挨拶するように。とは言ってないし、指導もしてないのです。」

えっ。。恐るべし、畿央大学。ポシティブなパワーが渦めく大学には、ポジティブな結果がやってくるのですね。



授業を行っていても、思ったのは、学生の熱の入れ方が違います。みんな必死で話を聞いてくれます。筆記もすらすらと取っています。私も

「どうにか伝えられることを伝えねば・・。わかりやすいように授業をしなければ・・。」

と熱が入ってしまいます。

学生さんからの感想の一部を挙げておきます。1回生と3回生(1年と3年)では、微妙に意見がちがいます。1回生はまだ学生になって数ヶ月ですので、素直な目で授業内容を見ています。3回生は、すでに実習とかに行ってる学生さんもいるので、実地と平行しながら考えていますね。素晴らしい。

  • 自閉症の子がこんな症状があるなんて初めて知った。今回この授業をうけて結構興味や関心がもてて楽しかった。こういう授業の仕方もあるんだなーと思った。
  • その子にあった教育方法をすることで一生しゃべれないだろうと言われた子がしゃべれるようになったり,計算などある分野でものすごい才能を発揮したり,すごいなあと思った。また決めたことをきっちりこなすなどといった面はすばらしいと思う。普通学級の子とペアを組ませることで普通学級の子も成長することに驚いた。また,とても面白い教育現場だと思った。考えさせることがたくさんあり,とてもためになった。
  • IEPというものをしれて良かったです。このような指導スタイルがこれからの教育現場で必要だと強く感じた。
  • 障がいを持っているからこそ,周りに今まで見えなかったことを見せてくれたりするのかな,と思った。1つのことにこだわるということは,よく言うと,1つのことに集中して取り組めると言うことで,本当にすごいことだし,素敵なことだと思った。自閉症の人たちがいろんなことを学ぶ学び方は,私たちとは全然違うけど,私たちよりも精一杯全力で取り組もうとしているのが伝わってきたし,教える立場に立った時,今日学ばせていただいたことは,必ず自分の経験として,大きな力になるなあと感じた。すごくプラスになる講義でした。
  • 自閉症の子もまわりの人の教育の仕方によってこんなに違うのかということにすごく驚きました。自分の教えたいことだけを教えるのは教育じゃなく強制だ,ということにとても考えさせられました。知らなかったことをたくさん知ることができました。久保さんのお話を聞くことができて本当によかったです!!!ありがとうございました!!
  • 貴重な話が聞けて本当出席して良かったと思います。いろいろな授業で自閉症などについて勉強はするものの,会ったことは今までになかった。自閉症である人が思ってた以上に多いものであったし,これから自分が教育者となった時に関わることは増えていくと思う。でも勉強方法や内容で障害自体はどんどん良い方向へいくのだとわかったし,自分自身もっといろいろなことを勉強して学んでいきたい。
  • 実際の方の話は毎回いろいろなところで聞くのですが,いつもいつも話は面白く感じられます。いくら話を講義で聞くより体験した人,身近に接している人のい話というのはとても濃くて面白いもので,勉強になりました。いろいろな苦労,楽しいことあるかもしれませんが,この先も頑張って欲しいです。面白い話,本当にためになりました。
  • 久保さんの話を聞いて障害者の子供たちに対する接し方が少しわかりました。私も小学校の時に自閉症の子供と接する機会があり,その時は何をすればいいのかなんてわからなかったのですが,今は自閉症の子のことがわかりどういう接し方をすればいいのか,何をしてはいけないのかがわかりました。勉強になったと思います。
  • 実際に携わっている方のお話しを聞けて,本当に貴重な体験ができました。すごく興味の出たお話しだったし,実際に自分の目で見てみたいと思いました。個々に応じた計画が細かく考えられていて,驚きました。人に伝えるという方法はたくさんあって,その効果がどれほどのものなのか,映像や実際に使われているものが見れて良かったです。自閉症について,他の講義で学んでいるけど,講義とは違ったすごく濃いお話しだったし,とても自分のためになったと思います。受けて良かったと思いました。
  • とても興味深いお話しを聞かせて頂き,本当に良い勉強になりました。1回生の時から障害についての授業を受けてきましたが,未だに偏見や障害についての理解ができていない部分がありました。でも,今日の講義で久保さんのお話を聞き,初めて自閉症の子供を見て,学んだこと,感じたことが多くありました。できないからしない関わらないのではなく,どうすればできるか,どう関わったらいいか,考えて行動すると,お互いがわかり合えて,お互いが生活しやすい環境を作ることができるんだなと改めて感じました。ありがとうございました。
  • アメリカと日本での教育の違いが思っていたよりはっきりと見えたことにまず驚きました。日本の障害児の教育現場に入る機会が過去にあり,自分で見たことがあったのですが,アメリカでは個別の学習の時間がとても長いように思いました。視覚的にもスケジュールを出し,いつでもわかるようにする点では同じでしたが,書く・考えるを同時にしないということをしっかりと段階を踏んで行っていることは素晴らしいと思い,やはり大切なことだとわかりました。一人一人の言語ツールが何なのか。そのことをわかっていないとつながりもできなく,学ぶことができないのは当たり前だけど,わかりませんでした

皆さんそれぞれ得るものがあったみたいで、日本で授業してよかったです。

私が再度授業を行いたいリストに入れてある大学「畿央大学の講義」の話でした。

追記・・・やっぱり渡は、最後に、クラスで自分の好みの女の子をみつけては、握手しましょうとさそってました。どこに行ってもやっぱり渡でした・・。