自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

障がい者のサーフィンクラスに行ってきました

数年前から渡のサーフィンクラスを探していたのですが、見つからず・・。一つみつけたのでウェイティングに載せていたら、8日の日曜日にワトソンビルでサーフィンのレッスンをするので、こないか?と言われました。

この団体は、Association Of Amputee Surfersという団体で、シビアな障がいを持つ人たちにサーフィンを教えています。

数日前にメールをくれていたのですが、どうもスパム扱いになっていたようでした。

土曜日に突然電話があったので、

「行きます!行きます!」

と二つ返事で日曜日のスケジュールを全て変更して、参加。

私はサーフィンをするお兄ちゃん達のボランティア団体だと思っていたら、とんでもなかった。

実は教える方たちも障がいのある方たちがいらっしゃいます。すごい会です。

特にこの会のリーダーのDana Cummingsさんは、7年前で交通事故で右足をなくされました。

彼は、足をなくしてから、サーフィンやロッククライミングトライアスロンなどを開始し、それは、全て足をなくしてから始めたスポーツだそうです。サーフィンは、足をなくされてから4ヶ月練習し、大会で優勝されたそうです。


私はそんなことは、全く知らずに参加。行くと両手をなくされた方や、足をなくされた方が6名参加されてました。

現地まで連れてくる介護の方とボランティアで、60名くらいの人が集まり、7名がサーフィンをするために、たくさんの方々が、集まって来てくださっています。

みなさん本当にやさしくて、新しくきた私に次から次へと声をかけてくださいます。



なんだかこれだけでも感動。

ウェットも道具も全て貸していただき、さて、サーフィンです。

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参加する人たちは全員が成人で、ティーンは渡だけ。

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その人たちが輪になって、説明を聞くのですが、渡は自分の横に立ったジョンさんの両手がないことに気がつきました。

あると信じているものがないとなると、どうしても気になる自閉症です。渡はちょっと驚きながら

"His hands are gone."(両手がない!)

と言ってしまいました。

私、オロオロ・・・すると隣のジョンさんがにっこり笑って渡のところにきてくださり、

「僕の名前はジョンだ。君は?」と聞かれて

「渡」と答えます

「僕の手はスペシャルハンドなんだ」

と言って、握手してくださいます。渡はふしぎそうに両手をさわって、さて握手。握手したら納得した渡。

私は、この配慮に感動。

「この子、自閉症なんです。ごめんなさい。」

っていうと、

「あっ、僕とても自閉症には、慣れてるんだよ。」

とにっこり笑ってくれました。その笑顔が、すごく優しくて、人を包む込む笑顔でした。



さて岸で実地の練習です。サーフボードの上に寝てパドリングをするのですが、渡は説明が早くて、言語処理ができずちょっとフラストレーション。気がついたDanaさんが、渡の担当を買ってでてくださいました。Danaさんがご自分の息子さんに

「じゃ、お前も渡を手伝えよ。」

と2人のお手伝いが決定。

渡の横で、練習をみていた10歳のこの息子さんは、渡が言語を理解してないことをすぐに察知し、今度は自分で完全に実地でみせてくれました。

視覚情報ならOK!

渡はこの息子さんの実地の練習とDanaさんの説明ですべきことを完璧に理解。さて海へ入ります。




今日は波がすごく荒く、誰も乗っていません。波がうまく割れてない感じでとても乗りにくい波です。それでもDanaさんは、沖まで渡をつれてゆき、方向転換をして、ご自分で海の中を走って渡を波にのせてくださいます。


立てないけれどうまく波にのれた渡。

私はそのDanaさんの義足で走る姿と息子さんがかけ声を横でかけながら教えてくれている姿を見たこと、今日の現地にいらした皆さんの優しさも相まって、もう感無量になり泣き出してしまいました。私も過去にサーフィンをして渡をボードにのせて押したことがあるので、あの水圧の中で大きな渡をのせたボードを押すことが、どれだけ大変なことかもよくわかります。

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感動と嬉しさで、泣き始めたら止まらなくなった私。横にいたDanaさんの奥さんがすぐに気がついて大丈夫?と言ってくださって

「私、今日、最高に嬉しい日です。渡を産んで本当によかった。

こんなにいい人たちに会えて、渡があんなに楽しそうにサーフィンしてて私、すごく幸せです。」

って泣きながら話したら奥さんがHugして(抱きしめて)くださいました。

私が泣いて奥さんに抱きしめられてる姿を海から見ていたDanaさん。

なんか私が不安になったと思ったらしく、走って海から出てらっしゃいました。

「大丈夫?」

とすごく心配そうに聞いてくださって、奥さんが

「ちがうのよ。彼女、うれしくて泣いてるのよ。」

と説明してくださいました。

泣いてる私に周りのボランティアの方たちも気がついて、みんなが次から次へと私を抱きしめてくださって、

「よかった、よかった」

っておっしゃってくださいました。

私はこのサーフィンに参加しておもったのは、皆さん、たしかに足や手を事故やご病気、戦争でなくされたのでしょう。けど、それはなくしたんじゃなくて、なくなった足や手は、「優しさ」をさらに強くし「人間の器」をさらに大きくしたものに変化しただけなんじゃないか?と思いました。

本当に素晴らしい一日を過ごせました。

ありがとうございました。