自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

渡がいなかったら、私はグレてた!?

パパが久しぶりに家にいたので、香穂と2人でサンフランシスコまで髪の毛を切りに行きました。6ケ月ぶりに美容院にいったので、ふたりとも髪の毛はボウボウ。

香穂も私も髪の毛が異常に多く、アメリカのヘアーカットにいくと、すごく嫌がられます。

SFまでの車の中で、話していたのですが、内容は、香穂の学校の話になってきました。

ある程度、悪もいる香穂の学校は、ここらへんでは、お世辞にもレベルが高いといわれるような高校ではありません。グレているコもそれなりにいる。

高校は、日本のように受験がないので、住んでいる所で、通う高校が自然に決まります。

香穂は、おとといあった、G君の事件の話をいろいろしてくれました。G君は、軽い知的障害があるのですが、普通学級にいます。なぜか香穂とウマがあい、勉強がわからないときは、香穂が教えてあげるけど、運動が苦手な香穂は、体育で一緒のG君には、いつも助けてもらっているらしい。なので昼休みなんかもわりと一緒にいるけど、金曜日は、香穂が昼ごはんを食べる場所に遅刻した。そうすると遠くで、G君が大量の血を口からと鼻から出してたそうだ。香穂は、とても驚いたらしいけど、G君は、友達に羽交い絞めされてる状態だったそうだ。喧嘩したのかな?と思ってあわてて近くにいくと、そこへ、警察がやって来て、連れて行かれるG君。香穂は、ただただ驚いて、周りにいたコにどうしたの?と事情を聞くと、話してくれたそうです。それは、一人の不良の男のコがやってきて、

「お前、ムカつく。」

と突然、G君を殴ったそうだ。G君は、殴り返そうとしたらしいけど、友達が、ダメだ。やり返してはいけない。とG君を必死で押さえ込んだそうだ。香穂いわく、

「G君は、少し障害があるので、コイツなら負けないし、抵抗しないだろう。仲間の取り巻きのなんかも居ないし・・というので、殴ったのでは?」

といっていて、あまりに卑怯なやり口に私と香穂は、怒り心頭。G君が学校に出てきたら、詳しく聞いて、なんか、ヘンな容疑をG君にかけられたりして、内容がおかしかったら、目撃者みんなで、学校のディーン(生徒指導の先生)に訴えたほうがいいかもね。と話していました。

不良の話をひとしきりしたところで、香穂が突然、爆弾発言をした。

「私、渡がいなかったらグレてたと思う。」

「えっ・・?」

と思った。普通、逆だろう・・。手のかかる弟がいて、構って貰えないのでグレてやる・・みたいな構図を考えていた私。なので、

「まじめな香穂にしては、珍しい発言じゃない?」

というと

「そりゃ、私だって、タバコとか、悪いことには、少しは、興味があるよ。けどね。もし私がタバコを吸って、渡が煙を吸ったら、重度の喘息の渡は、死んでしまうかもしれないじゃない。ドラックだって、もし私が一度でもやって、渡がそれをみて覚えてしまったら、マネしてクセになったら、死んでしまうかもしれない。」

と言います。

「渡は、世界に一人しかいない、大事な弟なんだから、やっぱ元気でいてほしいよ。」

とボソッっと言います。

そうなんだ・・。渡がいたのでグレなかったんだ。こんなこともあるのね。と驚いた私でした。