自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

呼び出し

朝、ちょうど渡が学校につく時間にシンシア先生から、電話が入りました。渡のパンツとズボンが汚れているのでという話でした。彼は、ウ○チの後におしりが上手にふけないのです。

「すぐに着替えを持って伺います。」と言うと、

「ゆっくりでいいわよ」と言われました。

私は言葉どおりに(笑)近くのスーパーに立ち寄って、生徒たちにジュースと先生にサンドイッチを買って、学校に向かいました。すぐに、助手の先生が、私の服を受け取って、別部屋にいって着替えさせてくれました。その間、私はクラスで様子をみていました。夏休みなので、勉強の時間は、いつもより減ります。そのかわりOTや、スピーチ、社会性などに重点をおいたプログラムにかわっています。やっていたことは、粘土で自分の名前をアルファベットを作って並べて作ります。

子供によって発達がちがうので、丸ごと粘土を貰って、自分の字数に分けれる子供もいれば、

字数に区切った粘土の小さい玉をもらって、それを伸ばしている子供もいます。細く伸ばすのが苦手な子供もいて、そういう子供には、助手の先生がつくように、指示されます。その各自の発達をすべて頭にいれてるシンシア先生もすごい。渡は、昔よく行ったイタリアレストランが、ピザの生地を渡してくれて、それで散々遊んでから、その生地を焼いてくれるところだったので、この遊びは得意。1歳から、スペシャル(養護学級)にかよっているので、OT関係で粘土もよく使っています。なので、着替えにいって帰ってきてもまだ他の子供は、つくっていました。これができて、なぜ、お尻がふけない!どう考えてもお尻ふきのほうが簡単だ!と不思議だけど、まっ、これが、自閉症なんですよね。

全員が、無事に終わり、次のゲーム。これは、みんなが席に座っているところに、先生がやって来てくれて、どちらの手にコインが入っているのか?を当てるゲームです。何回やりたいか?をみなにシンシアが聞きます。各自5回当てたいか?10回当てたいか?ときくと、みんな10回やりたいということになり、ゲームが始まりました。これは、自閉症の子供には、ハードなゲームです。

まず自分の順番がくるまで、椅子に座って待たなければいけない。順番が来て、

「こっちにあると思う」と先生がコインを握っているであろう手を指差し、手のひらを見せてもらって、コインがないとパニックになりそうな子供がたくさんいます。それをパニックにならず、うけいれないといけません。彼らの場合「あるかなぁ・・」ではなくて、「あるはず」なってしまう場合が多いからです。

渡は、1回目は、このコインが問題で、先生は、茶色い1セントのコインを手に持ち、みなにあてるように指示しましたが、渡はあてたのにもかかわらず、シンシア先生は黒人なので、手の色とコインの色が同化してしまい、手の平のコインの存在がわからず、少しパニック前兆の態度を示しました。先生とみんなで大笑い。よく見ないとぉ。。とウケてました。

「渡、クリップにかえるわ。」といわれて代えてくださいました。ほんと、もう渡って、おっちょこちょい。

各自の所を回って、当てた子供には、「当たったわよ。ほら、喜こんでいいのよ」と言います。まず、わかりやすく喜べる子供に

喜んでいいといいます。で。よろこびを表現しにくい子供にそれとなく、その状態を見せます。

そうなると次に喜びの表現をしにくかった子供が、その子供と同じように、両手を上げて、あたったことを喜びます。それができるとそこにいる助手の先生や、私などが、

”エィエ~!”といって、一緒に喜ぶので、表現ができなかった子供は、もう満面の笑みに変わります。誰だって、自分の喜びをみんなで共有するのは、好きですものね。

渡は?というと。。先生に

”立っていい”といわれて、なんと、喜び踊り(渡作成)をして、席に座り、みんなから、大笑い。ウケたので、うれしそうです。彼は、エンターティナーという異名を学校の友達からは、貰っています。

結局、クラスのほかの男の子が、ほとんどすべてを当てて、賞品をもらうことになりました。

各自、

”おめでとうJ君”と声をかけて言うようにするのですが、渡はその宝箱の中の小さいストローがほしかったので、おめでとうJ君を言わない。何度も自分で、

「おめでとう。渡」といいます。先生は根気よく

「誰が一番?」と聞きなおし、結局最後に

「おめでとうJ君」といいました。

J君は、賞品をとると各自の座っているところにいって、

「ありがとう」と言って握手をせねばいけません。

握手って自閉症の子供の中には、難しいこどもがいます。感触の問題、力の入れかげん、などなどど・・。渡はJ君がありがとうと言うと、自分は宝箱のストローを欲しいから、事実をうけいれたくない。また、先生やJ君に

「渡おめでとうだよ」といわれて、納得して握手してました。

さて、最後になりましたが、なぜシンシアがゆっくり来ていいわよ。といったか?というと、9月から、新しいスピーチの先生が来るので、その先生が見学に来ていました。渡は、スピーチの延びが悪いので、シンシアは、その先生と話す機会を私にくれた訳です。シンシアは、こういうところもすごい。

けど、彼女スピーチなのに、私のアジアンイングリッシュがわからないらしい。ジャパニッシュだからだろう。まったく言葉が通じませんでした。9月が始まるまでに渡のスピーチでのトラブルとIEPで、どのような要求をするのか?を下書きして、前もって渡したほうが、よさそうです。計れる話は、またあさってあたりに。明日は、学校の帰りに港まで魚を仕入れにいくので・・。