自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症の渡よりも強者が出てきた。

渡は小さいときから問題行動の多い子でした。多動なので、おちつかないし。怒られる要素は山のようにあるけど、褒められる要素はほとんどない。なので、親の私だけでもひとつでもいいところを見つけて褒めてあげようと思っていました。

テンプルグラデンさんの母親も小さい時からあなたはスマート(賢い)と言って育ててたり、自閉症の人の成人期に活躍する人たちは、親が共通して「あなたは賢い」と言って育ててたと事だというのも息子が小さい時に知ったからです。

なので、渡には、スマートだね。といっておりました。けど、最近少しづつ言語も発するので、

「僕は賢い」と自分でいうのですが、まーこれも周りの人は微笑ましく思ってくださってるようなので、放置。とにかくアメリカは褒める文化ですから、知的障害の渡がいくら

「僕は賢い」と言ったところで、

「いや、あんたは賢くない」

と言う人は居ない訳で。皆さん、微笑ましく見てくださっています。たまに自分でもわかっていて、難しい問題に突き当たると呪文のように「僕は賢い」と言い聞かせて問題に挑戦しようとしていることもあり。

まーこんな事を言う子は、渡だけだから、周りが微笑ましくおもっているのだろうと。それはそれでおめでたい子供でいいんじゃないか?と思っていました。


そしたら大学の数学の授業見学で、渡より強者を見つけた。このクラスで知的障害は渡だけです。一人の男子生徒が、教授に

じゃこの方程式を解いて。

とあてられた。すぐに答えだけを述べた。いや、それは駄目だろ、方程式なんだから、真ん中の計算式を言わないと。思っていたら、すぐに教授が

じゃ、式も答えて。

といわれたのだけど、彼はすかさず、

あの、僕、賢いので、答えだけが出てきちゃったんです。

と答えた。えっ!!!!すごすぎる。渡より強者。クラスが笑ってうけた。たぶん、答えだけ隣の子に教えてもらって、彼はぼっとしていたのかも。それでもその機転、すごいよ。そしたら今度はその賢いという単語に渡が反応してしまい、手をあげた。私は、条件反射か?と焦ったのだけど、先生が

じゃ、渡。

といわれて、前にでて、その方程式を全て解き始めた。みんなで一つの問題を解けた感じになって、なんだかクラス中が、とてもなごやかな雰囲気になった。自分で自分を賢いと思う事もたまにはいいこともあるよ。