自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症の生きづらさ

息子は大学に通っているのだけど好きな科目(数学とか)を多く取ってるので、成績は非常にいい。さぼらないし、他の学生みたいに、デートもないので(笑)誘惑は少ない様です。けど、文章問題や、応用問題になるとけつまずくので、なかなか大変な努力は必要です。知的障害があるのによくぞここまでと思うのだけど、せっせと好きな数学してれば言い訳で。あんまりご本人は、周りほど驚いてない気がする。

先日、大学のカウンセラーからスカラーシップ(返金不要の奨学金)に申請するように言われました。

なので渡に聞いてみたら、スカラーシップにはまったく興味はなく、誕生日にきちんと「機関車トーマスを貰えるか?」に集中している。なんだかなー。

まー彼の社会性や思考は3歳くらいで、数学の知能だけは大学生と言う事でしょうか?

そう思ったら、すごく生き辛いなーと思った。もし自分が3歳の社会性で大学生活を楽しむとしたら???と考えたからです。自閉症ってアンバランスな発達をする障害だけど、一番不便だなと思っているのは、ご本人かも。

なので、数学が出来たからとか、成績がよかったからとか、就職が出来たから、自閉症を克服とか言うのは違うと思う。彼の不便さはやっぱり彼が努力してもまだまだ残るだろうし。

さらに人と競う気がないのと、社会性のレベルが幼いので、同年代の子供達と一緒に団体スポーツなんかはできない。誰かが徒競走でで遅くなるとどちらかというと、

"Are you O.K?"

と聞きに行ってしまうタイプです。私の夢はアメリカで子供を生んで、スポーツママ(子供の試合のためにあちこち行く)になる事だったのですが、今ではこれも叶わぬ夢です。

そーいえば、うちの娘は、かけっこが苦手。小学校低学年の時も、運動会で徒競走があって1番の子が靴が脱げてこけた。そこに2番3番4番が競っていたので玉突き衝突でみんなこけた。

一番最後の娘は競う気はさらさらないので、5番の子とともに、玉突き衝突を逃れた。生まれて初めての1番か?と思ったら、なんと玉突き衝突した子供達のところに駆け寄って助けようとしてる。観客席から

「走れー!!」

という大声が聞こえて、後ろを振り返り、ふりかえりし、泣きそうな顔でゴールイン。ぜんぜんうれしそうじゃない2等でした。5番の子はすごくうれしそうに1等で入賞してた。これを見たときに

「あぁ。この子は戦わないなぁ。」

とおもったけど、やっぱり「三つ子の魂百まで」とは良く言ったもので、大学もみんなで競うのではなく、みんなで力を会わせて作り出す舞台芸術に進んだ訳で。

私は小学校の頃は徒競走が常に1番だったので、子供達の勉強の成績が悪くても

「ふーーん..」なんだけど、徒競走で最後になるとちょっとむっとしていた母親でした。

競う気がない子供にモチベーションを持たせるのは、結構大変で、娘はゲームなどでモチベーションを持たせたりしていましたが、以外に簡単だったのは、渡の方。彼はかわいい子がなによりも好きなので、

「綺麗なお姉ちゃんに会える」

というとなんでもやります。(笑)これはこれで助かります。

たとえば数学のクラスで、放課後に残って勉強しないといけなくなると、スケジュールが崩れるの嫌がるのだけど、「かわいい女の子も来るよ」というとすぐに行く。

こういうところはやりやすいな。と思います。もうちょっと渡が不便なく生きれるようになればなぁと願ってしまう母の私です。