香穂の車の試験がありました。実は、住まいのある近くのDMV(運転免許を発行するDepartment of Motor Vehicles)で、何度か受けたのですが、彼女は車の運転にはまったく興味がない。なぜか?というと絵を描く事が大好きな彼女にとって、
出かける=絵を描く時間が減る
なのです。
ペーパーは毎回受かるものの、実技は嫌い。大嫌いな上に、なかなか厳しい試験官に当たったりしておりました。それでもなんとか練習をし、そろそろ受かるかなぁ。という段階になりました。
先日受けた時は、某○PSのトラックに突っ込まれ、
「危険回避ができない」
ということで、落ちる。とにかくツイてない感じでした。
次の試験を地元で受けようとしましたが、カリフォルニアの予算カットが響いてか、1ケ月先まで試験の予約が取れない。
しょうがないので、Santa Cruzの近くにあるCapitolaまで行くことになりました。この街はサーフボードや、ウエットスーツのO’neillの発祥の地です。海辺の都会だけどのんびりした街。私は大好きです。
ここに到着するとまず手続き。
人手不足なので、試験官が事務仕事もし、試験もするという慌ただしさ。
待つ事30分。香穂が当たった先生はなんだか、すごくフェアな感じの白人のお父さんのような先生です。
カリフォルニアの運転の実技試験は、自分で車を持っていき(そのときに運転免許を持つ大人が助手席にのることを義務づけられている。)、試験官に助手席を代わってもらって一般道を走ります。
香穂はまた毎回当たるロボのような冷たい教官なんだろなーと思ってたら、すごく優しい人だったそう。やはりシリコンバレーとは違い田舎の人情味あふれる町です。
その教官との会話。
教官:あれ?君、どっからきたの?(←日本人の彼女が珍しいらしい・・・。)
香穂:サンノゼです。
教官:えっ?そうなんだ。へー。ところで、君、英語以外も他の言語、話せるの?
香穂:日本語は 普通に話します。母が厳しく教えたもんで(←嘘だね。私、厳しくなんて教えてないよ:笑)
教官:へー!!じゃ、いいねぇ。
香穂:えっ・・けど、私、親族の中で初めて海外で育った子供なので、親族内では、なんだか疎外感があるんですよね。
教官:・・・・えっ・・・そういうことがあるんだ。そっかぁぁ・・。そりゃ、かわいそうだなぁ。けどね、僕、数カ国語話せるのだけど、DMVで働くとね、英語以外に、一カ国語多く話せるごとにお給料があがるんだよ。だから僕、給料高いんだ。僕は外国人の試験もするんだよ。君もきっといいことがあるよ。そうだ!せっかくだから、今日は日本語で試験をしようか?
香穂:あっ、それいいですね。じゃ、日本語でしましょう。
教官:じゃ、決まりだ、日本語だね。
・・・・・と、ここから日本語の会話が始まったそう・・・
なんだかヘン。香穂は英語のほうが得意。白人の先生も英語のほうが得意のはずなのだけど、日本語で試験なんて・・。
教官:君、ここにあまり来た事がなかったら、コースも考えようね。試験コースは綺麗なコースと普通のコース、どっちがいいかな?
香穂:そりゃ、綺麗なコースがいいですね。
教官:じゃ、綺麗な海沿いのコースに行こう!
それで香穂が指示されて運転し、着いたところは、道が広い海沿いのそれはそれは海も空も青くて素晴らしく綺麗なコースだったそう。そこをどんどん走って次から次へとテストは行われ。そうです。教官は、ガチガチに緊張した香穂のことをすぐに理解し、リラックスして運転できるようにしてくれたのです。優しいねぇ。
試験が終わり無事にDMVに戻って来た。
教官:おめでとう。合格だよ。
香穂:ありがとうございました。すごく楽しい試験でした。コースも綺麗だったし。
教官:ねっ。ここはいい所でしょう?車は楽しんで安全運転で乗ってね。語学もね。日本語話せたら、きっといい事があるからね。またここにも来てね。
香穂:ありがとうございます。楽しんで気をつけて運転します。また来ます。
ということで無事に終了。
そうだよね。たしかに試験するだけだったら、多くの試験管ができるでしょう。けど、この試験。香穂は一生忘れないだろうし、安全運転で楽しく。ということは、ずっと心に刻まれるでしょう。
こういう試験っていいと思う。一生、大事に楽しく車を運転できるから。
ほんとによかったね。
ということで来週大学に戻る前に滑り込みで免許を手にした香穂でした。
皆様、Capitolaには、数名の教官がいるようですが、こんないい人もいます。
どうぞ、シリコンバレーの運転試験が混んでいたらCapitolaへ。