自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

心暖まる日

きのうに引き続き、ラスベガスです。私たちは、RIOというホテルに泊まりました。

チェックインの時に、「なるべく景色のいいお部屋」とお願いしたので、17階の部屋を用意してくれました。景色もよく、夜景も綺麗で、大満足の私たち。ところが!

朝10時くらいにエレベーターにのった時のこと。ちょうど、チェックアウトの時間と重なり、10機あるエレベーターがどれも満杯。私たちは、滞在中何度もエレベーターに乗り、高速で1階まで降りていますが、この日の朝だけ、各階停止になりました。乗っている人は、みんな

「えっ~!各階止まりか・・・」

みたいな、失望感が漂っています。ところが15階で、3人組が乗ってきました。アジア系の男の人二人と、女性一人です。入ってくるなり、

「アジア人は、どこでも、潜り込むのだよね。ごめんねぇ~!」

と言いながら乗ってきました。女性のほうも

「皆さん、ごめんなさい。私たちは、4台のエレベーターを見送ったのだけど、これが、一番すいていたので。」

とみんなに謝りました。これで、エレベーター内は、氷がとけた感じになりました。

それから、このアジア人の男性は、

「次から、人が乗ってきたら乗れないように、背中向けて立っている僕が、ぎりぎり張り付いている格好するから」

と両手を上げて、壁につかまっている感じで、おどけた格好をします。みんな大笑い。

それから、彼らは、ずっとおもしろい話やジェスチャーなどをしていました。

エレベーターは、相変わらず各階に止まりつづけましたが、エレベーター内の雰囲気は、もう最高に明るい。

で、最後に1階に着いたときに

「わぁ~!1階だわ」

とお歳を召した女性が言ったとたん、

「違うよ。1階のAだよ。本当の1階は、次だよ。」

と、最後のギャグを言って、みんなを爆笑させていました。

降りる人たちは、そのアジア人の人たちに挨拶したり、お礼を言ってから、降りてゆきました。

私も彼らにあいさつをしたのだけど、なんとなく、このエレベーターって、発達に遅れをもった母親の気分に似ているなぁ・・・。と思ったのでした。というのも、発達の遅れた子どもの子育てって、

「こうなるはず。このスピードで成長するはず。」

というのを育児書などでよみ、スローに進む我が子にイライラしたり、心配したりするわけです。けど、遅いということだけに焦点をおかず、楽しむっていうことに焦点を合わせてゆけば、このエレベーターの中みたいに、育児の最中でも、暖かくって、おもしろい時間が過ごせるのだろうな。と思った日でした。あの学生らしきアジア人のグループの方々、ありがとう。おかげで一日、いえ、数日が楽しい気分で過ごせました。