自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

すごい映画を見た。

娘の香穂から勧められて、すごい映画をみた。"On the Basis Of Sex"

 

On the Basis of Sex (Original Motion Picture Soundtrack)

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邦題だとこちら。「ビリーブ 未来への大逆転」

 

ビリーブ 未来への大逆転 [Blu-ray]

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最後に、ぶわっーー!!と涙が出てきた。自分の自閉症の渡の療育と重なりました。


実話がベースになった映画です。IRS(国税)が親の介護の費用の控除を女性にしか認めない。男性が介護費用の$252を税金控除申請したのを却下された判決を女性弁護士が上訴することから、浮き彫りになる男女性差別に関しても語られて法律が変わっていく映画です。この判決が出たのは1970年。


この判決から約25年後の1995年の私のこと。私は、渡の発達の遅れがわかり、リージョナルセンターや学校の先生、言語療法士、臨床心理士とどのような計画で育てていくのか?どのようなサービスが受けれるか?自閉症の渡が受けれる教育、療育に関しての会議をした時の事を思い出した。同時は私は駐在員の妻で、VISAの関係で駐在の妻はアメリカで働く許可がなかったので働けず専業主婦をしていた。けど、リージョナルセンターの人が、「母親にも休む権利がある。働きたい、息抜きをするという自由がある」と言って、レスパイトケア(介護者の休憩時間)を与えようとしたときに、旦那が言った。
「彼女は専業主婦で仕事がないので、時間なんてどうにでもなるので大丈夫です。彼女は働いていないのですから。」
私はそのときは、専業主婦だったし、この発達の遅れがある息子(当時は自閉症の診断はまだおりていなかったが、自閉症だと私はすでに気がついていた)を育てるので、精一杯で、差別だなんて思わなかったし、私が法律上は働らけないこともわかっていたので、旦那の言葉より、もっと大事な息子の発達を、人生をどうしようか?ということに集中していたので、なんの発言もしなかった。
そのときに、言語療法士と臨床心理士の女性たちが烈火のごとく怒り、顔を真っ赤にして旦那に言った。
「ゆみには、ゆみの人生がある。由美だって一人の人間で渡の子育てだけに全てを注ぎ込むのはまちがっている。専業主婦だからとか、女性だからという理由で人生の100%の時間を渡の介護や子育てにつぎ込むというのは違う。育児は尊いことで、大変な仕事です。旦那さん、今のあなたの言葉は、すぐにここで却下してください。ゆみ、あなたは言いたいことはしっかり言うべきで、必要なものは必要だといわないと。」と、そこから彼女たちの主張がどんどん始まった。さらに、
「由美、渡を育てるのはあなた一人ではないのよ。社会でみんなで育てるのだからね」
当時の私は本当に渡が育てられるのか?どうしたら渡が毎日楽しく過ごせるのか?ということしか頭になかったので、彼女らがなぜこんなに怒っているのかという事までは考えられなかったし、旦那の発言に関しても、反応する余裕もなかった。ただ、みんなで渡を育てるというフレーズだけが頭に残った。


けど、渡を育てていくうちに彼女たちの怒りの意味がわかった。声を出せない人、話せない人の希望は、話せる人間が周りにきっちりと伝えないと、話せない人はいつまでたってもどんなに必要なものがあっても決して手には入らない。周りにつたわらないから。たとえそれがラーメン一杯であったとしても。
人間として生まれた限り、障害があろうが、性差があろうが、各自が幸せに暮らす権利はあるんだ。ということ。希望だって思いだって、物事を感じて心が動く感情だってある。


私はその会議の時は、結局そのレシパイトの時間を受けることを決めた。リージョナルセンターの人は、その時間を遊びに使って、気分を転換することをすすめてくれまました。けど、私はそのレシパイトの時間の多くをボランティア活動につぎ込むことにした。本格的なアメリカでのボランティアできるようになったのは、このレスパイトケアのおかげだった。カリフォルニア州認定の自閉症の親のPTAでも役員もさせてもらったし、シリコンバレーの技術者のヘルプなどもさせてもらった。リスースセンターでもボランティアができたし、障害の本人や家族のための寄付集めや活動もできた。個人的には、2人の時間がとれず、ゆっくりはなすこともできなかった娘の香穂とおめかしをして2人で、イギリス紅茶をのみにいくこともできた。小さい娘の話に、しっかりと耳を傾ける時間もこのレスパイトから貰いました。
この映画で20年以上の自分の子育てが走馬灯のように頭に浮かんで、泣けて泣けて。渡のことでファイルしたことも数回。これはすごい戦いだったなーとか。もう涙で、前が見えない。本日、両目がガッツ石松になっている私です。(ガッツ石松知ってる人はほとんどいないだろうな)