自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

3ヶ月ごとの成績がやってきた。ドキドキの開封

渡の成績が送られて来ました。現在取っている教科は3教科。英語、数学、体育です。これも私がIEPでインクルージョンしてくれるように、データとともに出し許可をもらって通級しているものです。英語は少しレベルを下げてもらって、下の学年に。

英語の担当の先生とも長ーーい時間話をして通級を決めました。どの教科も学区や郡からは反対されたし、通わないためのいろいろな理由をつけられましたが、それを遮るだけのデータ、データ、データで通えるようになったクラスです。親としては、成績はびりでもとにかくクラスのみんなの授業の妨害をすることなく、楽しく過ごしてほしい。と思う訳です。社会にでると自閉症の人ばかりが働くところで働くというのは、カフォルニアでは非常に難しい訳で、ここで優しい友達に助けてもらって人を信じる、人を好きになるのが一番だろうと思ったのです。

特に体育では非常に感動的なこともあり、クラスのみんなもやはり優しく、成績は楽しみだったのですが、3教科も全てAをとってきました。

実は、渡が大好きな数学が6週間目の成績では、B+だった。これは彼にとっては許せなかったようです。

この理由は、最初の週に実力テストがあり、先生が出した問題が難しすぎた。渡は47点をとり、それでもクラスでトップだったらしいのですが、やはりテストにはF (fail:落第点)と書かれる訳で。なので、すごくくやしかったようです。ここから渡の猛反撃が始まった様です。宿題は全て提出する。課題は締め切りより遥かには早く提出する。などの工夫をしていました。

ところが先生は励ましたり、ほめるのが上手いのです。先生は渡に対し、

「やる気があって数学が好き。渡は家でヒマしてるのでは?」

と取ったようで、どうも渡が欲しいと言う分だけ、みんなとはちがった別の難しい宿題を出していた。(最近判明。)

開発リーダーも

「ちょっとアメリカの高校生にしては難しいですねぇ。渡くんの場合は、やはり自閉症ですしねぇ。クラスで何人が理解してるんだろうか?」

と言っていましたが、やっぱそういうことだったのね。

えっー!!と思ったけれど・・・。

その難しい宿題も、会社に連れて行けと狂ったように言っては、開発リーダーを捕まえて、2時間半とか3時間かけてひどい時には、2日にわけてやることも・・。必死で解いていました。

泣きながらやることもあり、リーダーから

「勉強は泣きながらするものじゃないし、やめよう。」

と止められても絶対にやめない。私も

「やめようよぉ。できませんでしたって先生にメール書くからさ。心配しないでも大丈夫だよ。」と何度も促したけど、まったく止める気配はい・・・・。

「泣き止むから待て。」といって、リーダーを待たせて泣き止み、宿題を終える日もありました。

難しい宿題をやった時はどうもエキストラの点数が渡についていたようです。

テストでは渡はどうしても文章題が苦手なので、点数が低くなるので、ここで点数を稼いでいたみたいですね。

こういう敗者復活というか、言いかえれば、常に努力し万遍にできないと取れない仕組みというのはアメリカならではですね。これらも私が高校生の時のように、あとから先生が平均点を揃えるために・・とか、先生のご機嫌などでかわるのではなく、最初に配られた

「クラスでの成績をつける時の付け方ルール。成績判定基準。」

みたいな紙に書かれていて、たしかにエキストラの宿題をやった人は、点数加算とある。渡はそのために持って帰ってきてたよう・・。

やっぱ、勉強が解るとすごいのね。と思いきや、話を聞くと実は各クラスにお目当ての女の子がいるらしい。「各クラスに・・」というのが渡らしい。やっぱりかっこいい所を見せたくてがんばっているみたいです。小さいときから「美人」というとすぐにモチベーションがあがったけど、「三つ子の魂百まで」とはこのことですね。なんだか、すごく簡単にモチベーションがあがった渡でした。

開発リーダーも

「僕が今まで見た子供さんの中で一番やる気はありますが、がんばる理由も一番わかりやすいです。」

と言われてしまいました。まーとりあえず、渡は大喜びの一日で、感謝祭の連休には香穂に自慢するらしい。自慢するのが姉の香穂というところがやっぱり小市民な渡です。お目当ての子には恥ずかしくて言えないらしい。男の子だねぇ・・。