自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症児の大学数学への挑戦~数学の最終成績が出た!~

きのうファイナル(学期末試験)が終了。結果は24時間以内に生徒の各自のネットに出るということでしたので、今日、見てみました。ファイナルの点数が出ていて、さらに合計の点数がでていました。なんと、今学期の渡のトータルスコアは87.6% ということで、あと2.4%高ければ、Aという成績。すごー。

渡は、先日、テストの成績が悪かった&だんだん数学が難しくなってきて解らず、軽くパニックになったので、お姉ちゃんが作ってくれた

"Math king"(数学の王様)のバッチを自らお姉ちゃんに返納。お姉ちゃんにしばらく預かってもらう事になりました。

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涙声になりながら、軽くパニック状態になったのですが、お姉ちゃんに新たに

"Math kingになるための修行中"

のバッチをつくってもらいました。

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詳しい話はこちらをクリック→数学の王様

渡は、数学の成績を見るなり、飛び上がって喜び、

「香穂が帰って来たら、バッチを返してもらう!」

と嬉しそうです。

「(ディズニーランドの)お姫様達(が僕のことを)大好き。」

となども繰り返しておりました。

すぐに開発リーダーに知らせに行きました。開発リーダーも大喜びで、

よく頑張ったね!香穂ちゃんがもどったら、預かってもらっていたバッチを返してもらおうね。

となりました。開発リーダーの分析によると、あと2.4%高ければ、Aだったと。

シラバスをみて、計算すると、学年末試験であと5点高くとっていれば、Aでしたね。ここまで行けばすごいです。

ということでした。

開発リーダーには、渡がいないところで、私が

いやー、リーダーもよくここまでやったよ。

というと、

5年程前、僕が渡君に小学数学を教えていた頃は正直、「大学数学を教える事になる」とは思っていなかったですねぇ。よかったですねぇ。けど、これで大学数学終わっちゃいますから、たぶん、渡君、怒りますよ。絶対に来期も数学とるつもりですが、数学専科となるとプレゼンやグループワークがあります。今の渡君は、文章題が苦手ですし、文章も口頭では一文話すのがやっとですし。それでは、専科の数学は無理です。

とのこと。いやーそんなん、無理だろう。と思うし、渡もそこまでやる気はないんじゃないか?と思い、渡に軽く、

あのさー。来期は数学なしね。

というと、

Math!!! College Math!(数学!大学数学!!)

と言いながら泣き顔に。えっえっっっ?そんなに勉強したいの?ありえんわー。と驚く私。開発リーダーはすぐに私に、

ゆみさん、今、その話しちゃ駄目です。その話は、教授と渡君をいれてみんなで来月話しましょう。それから、きちんと渡君も納得できるショートゴールを決めましょう。まずは、今の数学のがんばりを喜ぶ事をしっかりさせてあげましょうよ。

ということでした。Facebookの私のコメントには、友達など多くの人から御祝いの言葉が寄せられ、その度に喜ぶ渡。よかったねぇ。自閉症児でも周りの応援とサポートでここまで来れた。ありがたい限りです。


3日前の最後の学年末テストの前夜は複雑な複利の応用問題がわからず。ほぼ泣き顔になり、軽いパニック状態におちいった渡。ネガティブになると「クリスマスプレゼントもないんだ。サンタクロースは、僕にはなにもくれない。」と言い張る。

その横でお姉ちゃんが、自分のiphoneにサンタクロースからフェークの電話がかかってくるアプリを購入。

こちらです。→Parents Calling Santa

これは、何秒後に電話がかかるか?をセットして、サンタククロースから電話がかかってきたかのようにするアプリです。プレゼントに関する報告がサンタからあるもので、3種類の解答から自分が聞かせたいものを選んでかかってくる時間をセットできます。

1,きちんと準備していて、トナカイも一緒に君の家に届けるのを楽しみにしているよ。いままどおりいい子で待っていてね。

2.いい子にしているかなぁ??ちょっとよく自分で考えてみてね。いい子にしている子供のところにしか僕はいかないから。

3、お前、ありえんし。すげー行動悪いから、もうお前の名前は消した。トナカイもあきれて行かない。クリスマスまで、あと数日あるから心を入れ替えていい行動をすれば、チャンスはあるかも?

というものです。お姉ちゃんは、1番をセットして、渡の勉強している机に置いた。私は、

「まちがって3番にしたら、大パニックがおこるからね。」と話しました。お姉ちゃんも

「それは私が困るからしない。パニックおさめるの私だし。」と笑って言ってました。

電話がかかってくると大喜びで取った渡。

Hi!Santa!

といいながら手をふっている。いやー電話だから、見えんだろう。(笑)

それから気を持ち直して勉強しておりました。ほっ。周りもなかなか大変です。


しかし、このクラス、最初にIEPメンバーから全力で拒否されて、メンバーの拒否理由は、

渡が高校の時にいたプログラムから来た子供でこの数学に通った生徒はいません。他のもっとレベルの高いプログラムから来たA君、B君(←アスペルガーで超高機能の生徒達。クラスのみんなの旅行の計画をして、ホテルの交渉までしてしまうみていて、なにが問題かわからないような生徒達) も受かっていません。A君は、もう2回も落としています。それで、どれくらい大変かわかると思うのだけど。渡は、もっともっと重度ですから。

と反対されました。ただ、職業訓練の先生お一人は、「挑戦してみてもいいのでは?」と言っていました。

開発リーダーは

他の生徒の成績がなぜ渡君に関係あるんでしょうか?彼らの成績が、渡君の成績に影響を及ぼすわけではないでしょう。渡くんの成績と彼等の成績が合算されることもないですし。意味がわからないのですが。渡君がやりたいと言っている事を根拠なく、やめさる理由はどこにもありませんし。誰だって挑戦する権利もありますし、他の大人が渡君が夢を持って前に進む事を止める必要がどこにあるんでしょうか?

と、ブレない開発リーダー。

ということで、相変わらず数学の解らないところは開発リーダーに教えてもらうという体制で3が月半前に今学期がはじまりました。あぁ!終わった!!750ページの教科書を3ヶ月半で終了しました。よくやったねぇと親ばかだけど思います。

さてさて、来年頭には、数学の計画を練りましょう。とりあえず、ほっとした年の瀬です。

本当に多くの助けてくれたり、応援してくださった皆様に感謝、感謝です。