自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

ペパーダイン大学(Pepperdine University)のすごさ

さて、香穂の授業が始まりました。9月1日が授業の初日になります。大学といえば、大講堂で生徒がぎゅーぎゅーになって座っているイメージがありますが、Pepperdineの場合はどうも違うようです。

香穂が取った科目は5教科。これは、1年生にしては厳しいスケジュールらしいのですが、香穂としては、早く一般教養をおえて、専門の舞台芸術に入りたいということろでしょう。

5科目のうち、生徒100人で受ける授業があるのは、たった1科目。他の4教科は、全て15人以下だそうです。

一番すくない生徒数は、5名。すごい!100名以上の教科はないときいていたのですが、どうも初年度は、1教科はあるようです。


もっと香穂が驚いたことは

香穂の名前です。

香穂の名前を英語で書くと"Kaho"となり、ケホと発音されます。香穂は、これになれていて、いつも

「先生、タホ湖と同じように読み、カホと発音します。」

と訂正します。

カリフォルニアには、北のほうにLake Tahoというのがありたぶん、スペイン語読みでタホとよみます。

香穂は、授業初日は、この訂正をしないといけないので、全ての教科での訂正を覚悟していました。

ところが、どの先生も初日から、香穂の名前をきちんと「かほ」と読みます。

どうしたんだ!いったいなにが起っているんだ!と思っていたら、1科目の先生だけが、

突然

「タホ・クボ」

といったそうで、香穂はびっくり!

「タホ湖って・・・。それ私の台詞じゃん!!」と思ったそうだ

先生に

「すみません。タホと同じ読み方ですが、かほと読みます」

と訂正を入れたら、先生にすごく謝られて、

「ごめんね。担当の先生にきいたら、”タホ湖って読むのよ。”

といわれたので、本当にタホと読むんだと思ったんだ。」

と、とのこと。

担当の教授にきいた???どういうことだ?

と思い詳しく説明してもらうとことのいきさつは、こうです。


ペパーダイン大学では全ての教授は初日になるべく担当生徒の名前と顔を覚えるというのがあるそうです。

名簿が配られて、覚えられない生徒や名前が読めない生徒(香穂のように英語名でない名前)は面接官や専攻科目の学科の教授に問い合わせて聞くようです。初日前までには、担当の先生がその生徒に会ってるので、正しい読み方を知っているからです。そーいえば、香穂の担当教授には、私は試験の時等、数回会いましたが、普通のアメリカ人のように

”ケホ”

と言わなかった。そういうことだったのか!最初に香穂に会った時にきちんと読み方をメモするなりしていたんだ。だから読み方に気をつけてので間違えなかったんだ。


グリークファミリー制度*1のこの大学は、やはり教授陣が初日に全ての生徒(子供になるわけで)を覚えるように最善の方法で努力する訳です。

すごい大学です。大学に入って、担当教科の生徒を全て覚えている教授ってどこまでいるでしょうか?本当に生徒主体の生徒を大事にする大学だということがわかりました。

教授陣がすごいと思っていたら、生徒もすごかった・・・。

私が一番心配していたのは、5日間に渡るオリエンテーションは親も参加できます。香穂いわく、

「白人の親が残る親は多いけど、私の学校は白人が多いので、結構親は残ってるなー。中国人もいるけど、その親は残っていないけど、中国人系で固まっている」

と言っていました。

アジア人の中国系は固まっていると聞くと、親もおやずたった1人の日本人の香穂はぽつんとオリエンテーションをうけてるっていう図を考えていた私は、

「さぞかし寂しかっただろう」

と思ったのですが、そういうところもきちんと配慮がされています。

5日間のオリエンテーションが行われていることは学校にいる生徒全員が知っています。多くの生徒が敷地内のドーム(寮)やアパートに住んでいますので、みかけない顔は1年生だとすぐにわかります。



夜のイベントは遊びの雰囲気があり、映画をみるとかパーティだとか、そういうことがあります。

香穂は映画も題名が隠されていて、わからなかったので、(サプライズのようだった)ご飯たべたら寮に帰ろう!と思っていたら、突然男子生徒が香穂に話しかけてきたそうです。

映画が始まるまで、

「何を専攻したのか?」とかの質問で、いろいろ話をしてくれて

「そっか、舞台芸術か。俺の友達が、香穂と同じ専攻してていまディズニーに行ってるぜ」

というので、香穂は

「エッー私もディズニーで働きたいんだ」

「そうだろうな。」

っていわれたので、なんでわかったんだろう?ときくと

「だって、お前のクロックスのサンダルにディズニーのアクセサリーがついてるじゃん」

と言われたそうだ。

香穂は、運動靴を車からおろしわすれて、オリエンテーションの間、シャワーを浴びる時用に持参したクロックスを履いて生活していたのです。

よくみてるなー。

とおもったそうで。映画がはじまるまで30分以上もずっと話し相手になってくれたそうです。

みるはずじゃなかった映画は、香穂が見逃したディズニーの

"UP"

「よかったよー。UPなんて、今、映画館で上映してるものを見せてくれるだったら、最初っから題名いってくれれば良かったのに。あの先輩がいなかったら、見逃すところだったよ」

と言っておりました。けど、現在封切り中の映画を学校で上映するとなると費用もかかると思うのですが、なにかツテでもあったのでしょうか?野外で夕日がおちるのを待って上映されたそうです。

夕日はこんな感じでおちてゆくそうです。

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この

「先輩から声をかけられる」

というのは、どこでも起るらしく、どうも親が残っていない生徒は、先輩が見つけると声をかけて話してくれる様になっているっていう感じです。なんて優しいんだろう・・・。

このおかげでたった5日で随分香穂が学校になじんでいるようです。あの引っ込み思案の香穂を5日でなじめるようにしている大学ってすごすぎる。


最終日には、スカラーシップをもらった生徒が集まっての説明会で専攻学科に別れて行われ、先輩も出てきます。ここで香穂は、ツアーをしてくれたR先輩に会います。このR先輩、渡がもうほれまくった人で,香穂が

自閉症の弟が、あなたの事が大好きで」

って言うと

「かわいすぎる。」

ってすごく喜んでくれたそうです。

香穂の話を聞いていると留学に来る人や、控えめの日本人には、向いている学校のようです。

結束も固いので、卒業後も付き合いがある人が多く一生の友だちが見つかる大学ではないでしょうか。


卒業後の進路もここなら相談に乗ってくれる人がゴマンといそうで、安心です。

*1ギリシャの家族は数が多くみんなが結束が固いので、その方式を用いてるということ