自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症のお仕事

渡は現在会計の助手のようなお仕事を望んでいます。数字が好きだというのがあります。あとはコンピューターを触っててもご機嫌がいいし。障がい者のカウンセリングをされてる方に、2時間かけて会いに行き、アドバイス頂き、渡もすっかりその気になりました。

なので、税金などの関係をされている弁護士さんにも

「こういう道を考えているのだけど、どう思われますか?」

と話したら、

「あぁ!それはいいですね。渡君には合っているでしょう。」と言われておりました。

ところが、IEPなどでは、

「ゴールが高すぎる。」とか、

「夢物語りを語ってないで、現実を見ましょう。」

とか、同じ自閉症のお母さんにも

「会計助手のライセンスをとっても、仕事はないわよ。」

ということを言われて、だんだん不安になってきた私。

無理なのかも。本当はお仕事なんてないのかも。と思い始めた。

カリフォルニアは障がいのある人用の施設などで働かせるというのはないので、健常の人と同じ場所で働く事になります。アップルにいってもGoogleにいっても車いすの人を必ず見かけますし、そういうものなのでしょう。けど、自閉症のフルタイムの就労率は5%という低さです。

やっぱり夢うつつなのか?と思ったのですが、ここで先生や自閉のママの話だけであきらめるのは、なんだか、納得がいかない。けど、私の不安は消せない訳で。

そうだ!香穂の進路の時だって、香穂は、いろいろな大学に行って、その学科で学ぶ多くの人の話を聞いていた。渡だって、そうすべきだ!!だけど、彼は話せないので、私が本当の会計士さんに話を聞いてみよう!!と思い、このあたりで20年以上会計士をされてる方にアポイントメントを取ってお話を伺ってみました。

その方に

  • 渡は言葉が話せない事
  • 大学で数学を学びたいといっていること
  • お小遣帳は10年近く記載していること
  • お金を数えるのが好きな事
  • コンピューターが好きな事
  • 文章は読んでも理解はしない事
  • 視線があいにくく、タイミングよく笑えないこと
  • 重度の知的障害があること
  • 数値に関する事は大好きなこと

などなどを話しました。だけど渡の希望は、会計のお手伝いが助手がしたいと。

ずっと話を聞いてくださったのですが、会計士さん曰く

いいところに目をつけられましたね。会計というお仕事の一番大事なことは、数字が好きかどうか?です。大学で会計士のコースを取ると最初の一番簡単なクラスに50名いたら20名はやめます。これは数字が嫌いなんですね。なので、大学に進むというのは、数字が好きかどうか?も見れますし、彼のスキルアップにもなるので、非常に正しい進路だと思うしお勧めします。

さらに、私や私の周りの人が会計士という職業を選んだのは、言葉はあまり関係しないからです。数値は世界共通。だけど、言語は各国によって違います。なので言語に依存した職業につくと、他の国に行ったときに働けない場合があるかもしれない。なので、会計士だったんです。

という答え。えっーー!言語はあまり関係しない。すごいな。

で、私が

けど渡は愛想がないし、お金数えるとシリアスな顔になっちゃうし、普通に雑談できないし。数字に対する集中力はあるんですが。

という問いには、

会計の助手のお仕事は、単調なものが結構あります。そうなるとどうしてもミスが多くなる。やってる側が他のことを考えたりするからですね。渡の場合は集中力が高いので、すごく向いてると思います。さらに、会計はぺちゃくちゃおしゃべりしたりするとよくないので、話せないというのはいいかも。レストランでの机ふきや注文取りは、笑顔を絶やさず働かねばなりません。けど、会計士は真面目にカウントするのがいいので、非常に向いているんじゃないでしょうか?

シリアスかぁ。お得意だ。お金や数値を見てるときは、いつも真面目だし。

さらに

今、お母さんが言われた事よりももっといろいろ仕事のアイデアはあります。本当にいろいろな仕事があるのが会計士ですので、ぜひ大学にいかれて、助手の勉強をされて、それで渡君が好きで学ぼうと思ったら、万々歳。お手伝いしますので、ぜひぜひ御連絡ください。

とのこと。私はいやー渡はあと5年は学びますので、6年とか10年先の目標です。

というと、にっこり笑われて

はい。ゆっくりやってくださいね。よかったですね。数字が好きで。世界中どこでも働けますよ。数字は世界共通です。

すごい!!小さいときから厳しいIEPメンバーには、

「どこに行っても社会性がないから、働けないのが自閉症。母はそれを自覚して、教育よりも身辺自立。」と言われて、身辺自立のみをさせようとしていた人たちも複数いたりして。

生まれて初めて、

「どこにいっても働ける。」なんて言われた。

やっぱり、その道のプロっていうのは、いろいろ隙間的な仕事や人の特性を生かした上での専門分野での仕事の区分というかそういうのをご存知です。すごい!

障がい児の進路を考えるとき、その道の専門家で複数の人から話を聞くのが当たりの様です。それもなるべくポジティブで笑顔を絶やさないような方。

はー、なんだか、すっきりと前を向ける準備ができた日でした!よし!渡。ふらついたママが間違ってたよ。ちゃんとあなたの目標通りがんばろうね。できなくっても絶対に得るものは、いっぱいあるよ。もちろんできても得る物があるよね。