自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

渡の次のステップ

渡の次のステップ。職業がだんだん絞られてきたので、プロとして働くための訓練もして貰えるところを探しております。

福祉のセンターのようなところから、リストをもらって予約を取って、見学に行くように、といわれました。

渡の職業についてはまだ1年先の話ですが、IEPでも見学をすることを宣言し、担任の先生が夏休み中に休みを返納して私と一緒に回ってくれることが決定。いい先生に当たると本当に助かる。

さて、見学前からいろいろ情報をかき集めて、もうほぼここかなーと思っていたところを一番に見学。

香穂も渡も参加です。

玄関先に到着すると入る前から漂うダメダメ感....。

というのも、

「現在、職員募集中」という綺麗な看板が前に立てられている。日本でも同じですが、今の時代、自分の会社の入り口に「社員募集中」の看板を立てるところって人の入れ替わりが激しく、本当に人材に困ってるところ。あっちゃー。

けど、一時的なものかもしれない.....。と思い、中へ。入り口で、担任の先生には、

私も質問するけど、いろいろ聞き忘れることもあるので、あなたも遠慮なく、思いっきり質問してね。

先生も

「それは分かった!」

ということで、建物の中に入りました。

約束の時間から待たされること20分...。えっ?時間にルーズなの?こういう場合は、受付の人に、

「僕が遅れたときは、ちゃんと客人に対応してくださいね。ごめんなさいね。ということを伝えるてね」という指導はしてないの?とも思うけど....。待たされる人の中には、自閉症の人もいるので、パニックなどが起こる可能性もあるのでは?

やっと係の人がやってきた。

私たち一人一人に挨拶して、さて、話し合い。

相手の人が、施設の紹介を5分くらいしてくれて、さて、質疑応答。私からの質問は、山のように出る出る。

そのうちの一部と回答。

質問:自宅から、ここまで送迎があるから安心とおっしゃってましたが、うちの息子はバスで通わせたいのですが、それは可能ですか?

答え: いやー僕たちのプログラムは、朝、ここで集合したら、すぐに訓練できるところに行くから、一人だけバスでくるのはねぇ...。

質問:では、訓練の場所までバスで行かせてそこで待つようにします。それは大丈夫ですか?

答え:僕、入ったばかりだかからわからないんだよね。(←じゃ、上の人に聞いてくるとか、あとでメールするとか、名刺もわたしてるんだから、回答できるよね?)

質問:渡していただいたスケジュールを拝見すると、息子の仕事としてしたいことがないのですが、息子にあったプログラムのリクエストできますか?

答え:いやー。これは、プログラムの一例だから、他にもいろいろあるから。渡と話し合って、プログラムを組むから。

質問:渡は、すでにしたい仕事もあるので、その訓練強化をしたいので、スケジュールを作るときに法的後見人は、通う場所や住む場所を決定できるので、法的後見人もスケジュールを組むときに参加させてもらえますよね?

答え:それはダメだ。僕と渡で決める。

もう担任の先生は、横でニタって笑いながら携帯を触り始めた。

なんだか、会話が噛み合わない。

質問:現在、すでにボランティアとして通っているところがあります。そこに週2回、通いたいのですが、それは大丈夫ですか?

答え;僕、入ったばかりだから...(←入ったばかりにしては、いただいたあなたの名刺がちょっと焼けてるね。と思う私)

質問:息子は飲食店の手伝いは嫌いですし、その職業はつくことはありません。そいう場合、ここにあるプログラムの「飲食店の手伝い」は彼には、参加する意味がありませんが、他のプログラムや現在彼がインターンをしている仕事の訓練はできませんか?

答え:いや、そのレストランで働ける人たちは本当に長い間努力して、努力して、その職業についたから、渡はまだなにもここではしてないから。(問題の意味がわかってない...)

わけわからん。イラつく娘。担任の先生は、たまにあきれた顔でニコっとしている。

ということで噛み合わない会話は続き、鋭く突っ込むと、必ず「僕、ここに入ってまだ新しいから」という答えが返ってくる。

やる気あるの?

と答えたくなる私は、じっと我慢。

このまま時間を無駄に過ごしても先生にも申し訳わけないので、30分程度で完了。

挨拶して出て来ました。

いやー相手ももっと私に聴くことがあったはず。そういう質問もなく。

さらに絶対にここは無理と思ったのは、渡と話し合ってプログラムを決めるといっているわりに、係の人は渡には、ひとことも質問しなかった。うちの渡。さっきから、ひとことも口聞いてないのに、どうやって渡と2人でコミュニケーションとるつもりなんだろう??謎。どうして渡とコミュニケーションをとって、プログラムを決めれるって断言できるんだろう??

終わってから、担任の先生と渡と娘と私とでカフェへ。

すぐに先生が感想を述べ始めて、渡の携帯にメールしたというので、見てみると、なんとさきほどの会話のメモがすべて綺麗に取られていた。すごい!!それで携帯を触っていたのね。

私たち家族と先生で一致した意見は、

完全に逆戻りしちゃうね。

ということでした。

なんのために数年かけて、バスの乗り降りを学んだのか?なんのために仕事を見つけてきたのか?

どうやってあの人はうちの渡とコミュニケーションを取れるというのか?

いやーもうがっくり...。

こんな私に先生は、一生懸命励ましてくれて、

「どんどん次に行きましょう。」

ということになりました。

あとは先生とだ話をしてて、

先生はさー。すごく子供を伸ばすのがうまいんだけど、一番苦労するのは何?

って聞いたら。答えが驚くものだった。

親が子供のぐんぐんと伸びる成長を信じてくれないこと。50%で満足しちゃうこと。

だそうだ。これはどういうことか?というと、うちの先生は、必ず、ゴールを100%メットしましょうという勢いで、ゴール設定をされます。ところが多くの先生は、50%くらいできればいいという感じで、ゴールを低く設定し、それが100%メットしたように見せかけるというもの。

けど、僕は、もっと子供は伸びると思っているので、力を出し切れるゴールの設定というと必ず親のほうから

「そんなことは、うちの子はできない。」

と否定してくること。この親に

「いえ、あなたの子供さんはできます。」

と言って説得するのが一番大変。

だそうです。彼は、

僕は、ゆみに最初いろいろ提案したけど、ゆみは「それはできないかあ、しないでいい」ということは一度も言わず、すべて、「できるようになるんだったらうれしいので、ゴールにしましょう!」とすべてうけいれてくれた、こういう場合は、ほんとうにやりやすいし、子供も伸びる。

といわれた。たしかにやってくれるのは先生だし、先生ができるというのなら出来る限り挑戦して欲しい私。

先生は、

子供のできないところばかりを言って、ゴールの設定を低くするのは、本当にもったいない。

とのこと。

僕がゆみが渡のお母さんでラッキーだったとおもったのは、Yumiからは、一度も「それは渡はできない」と言われてないこと。

だそうだ。先生それは、私も同じだよ。私が提案したゴールについて、先生からは、一度も

それはできない。

とは言われていない。

いいチームメンバーがいるうちに、次の見学予約を取って、どんどん前に進もう!