自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

大学の数学のクラス分けテストを受ける渡

先日書いたように、渡が進むであろう大学のカウンセラーの人はあまり数学のクラスを渡にとってもらいたくない、もしくは、渡の数学のLevelがわからないということもあって、いまいちの話し方だった。けど、渡の夢は大学で数学を勉強することなので、話せない渡にかわって代弁せねばなりません。話していると、相手もめんどうになったのか、クラス分けテストをうけるように指示されました。まー理由もなく断れないでしょうし。

けど、これは、大講堂で行われる普通の生徒達のテスト。カウンセラーの人からは、渡は障がい児なので、テストの30分延長の許可書を発行されました。いやー、これはたぶん必要ない。わからないことをじっくり考えて解く性格じゃないし。けど、なにも貰わないっていうのも会場で説明しにくいので、頂く事に。

さてテストの当日。渡は、高校を早退して試験を受けに行きました。100名はいるであろう大講堂でのテストです。

「ずーっとペンをまわしつづけるような人がいたらどうしよう。」(視覚を刺激されると声を出して興奮してしまう息子。

「紙の束をペンでたたき続ける人がいたらどうしよう。その音は渡が苦手とする音で、その音を消すために叫んでしまうし。」(聴覚過敏症と訳せばいいのだろうか?)

これらの問題行動は今はあまりみかけませんが、新しい場所、人ごみ、テストという苦手3連発が重なると昔のことを思い出したりもして、さすがに私も心配になってきました。


とりあえず息子より私が遥かに緊張して会場に到着。会場が大きいので、さらに怯える私。

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障がいがあるから、30分早めに行きなさいというカウンセラーの言葉を信じて早くいったけど、会場が使用中の為、音が響くロビーで待たされる事に。聴覚過敏の息子は耳が痛いらしい。まいったな。やっぱりカウンセラーはあまり自閉症を詳しく知らないんだろうなぁ。

ご本人は

「テストをうけたら僕は家で、醤油ラーメン食べるから!!」

とテストよりも学校でお弁当を食べれなかった事のほうが、重大な問題の様子。

さて時間きっちりに会場の扉が開きました。担当の方が外まで出てくれて、解答用紙をくばってくれていたので、事情を説明。延長許可書を見せながら、

「彼は、自閉症で特別支援クラスにいました。模試を受けた事がないので、マークシートで自分の名前をいれる事は彼にとっては難しいので、名前や学籍番号、住所などを入れるところだけは、私が教えるか、もしくはあなたが教えてほしい。」という話をしたら

「そうなんだー。どうぞ、一緒に入って教えてあげてください。」と言われて、ほっ。優しい人でよかった。

案の定、なれてない渡は綴りを数値でいれるのが難しい。

無事にできたので、私は退席。

さてテスト開始です。

会場の重く、分厚い大きな扉が

ギーーーー、バッタン

という音と共にしっかりと閉じられました。さてこれから1時間のテストです。

なんだか、外にいる私のほうが緊張。入社試験の時でも入試の時でもここまで緊張しなかった私。中でパニックを起こされたらすぐにキャンパス ポリス(大学内の設置された警察)が来てしまいます。とにかくテストの点数よりも無事にテストを終えてもらいたい。

あまりに緊張するので、会場前のカフェで、コーヒを買って飲んだけど、あまり味がわからない(笑)

しばらくすると、無事に100人近くがうけたテストで渡がでてきたのは3番目。やっぱり延長はいらなかった。けど、できた訳じゃない。すぐにあきらめる渡は苦手な文章題が多かったので、とっとと出して出てきた模様。彼に必要なのは、静かな部屋で受ける権利だなぁ。

たががクラス分けテストですが、自閉症となるとこれだけの心配事があります。普通の人には普通のテストでも渡がうけけるとなるとなかなか大変。かなり不便とでもいいましょうか。けど、警察のお世話になることもなく、テストが終わってよかったね。1時間も苦手な大講堂ではりつめた空気の中で、きちんとテストをうけれた君を私は誇りに思うよ。よかったね。