自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

だいすき!!読破

だいすき!!という漫画を12巻読破しました。

だいすき!! ゆずの子育て日記(11) (BELOVEKC)

だいすき!! ゆずの子育て日記(11) (BELOVEKC)

結局1日で読んでしまった・・。けど、そういう感じの本です。

例によって感想。

普通全巻ものは、途中どこかで中だるみがあるので、そこで休憩して、読むのを止めやすいのですが、中だるみがない。休めない・・。(笑)

例によって感想。

1.「障害児の兄弟」について、の心理、鮮明な心の動きをよくぞここまで描けたなと思いました。私が兄弟児のことが心配でいろいろ調べていた頃に心理の現場の方から言われた問題を思い出した。兄弟児が社会にでて一番多い問題は、障害児がいる家の中で育つと、

「断れない。助けを求めるのが苦手である。人に甘えるのが苦手。」

だそうです。なので、会社でも、

「○○ちゃん、これ、お願いね。」

なんて言われちゃうと、自分の仕事が一杯でも断れない。

「しょーがない。」

と思うそうです。自分の仕事が手いっぱいになっても、

「みんな忙しいんだし。しょーがない。」

と助けを求めることができない。うちの香穂の場合は、迷子になる香穂のところに如実にその事実がでています。申し訳なくて、聞けない。みんな忙しいにちがいない。私が他人様に迷惑かけれない・・。なんです。

これは、毎日「自閉症の症状」に振り回される母に、「私がこれ以上、聞けない。言えない、お願いできない・・。」がでているのだと思います。


そうなると社会にでた時に、半端ない量の仕事も断れないので、頼まれた仕事は一人ができる量じゃないので、結局は仕事が終わってないという問題が露呈した時に、大問題になったりするそうです。こういう問題が多いね。と伺った事があります。後半では、この兄弟児がお姉ちゃんの幸せ、家族の幸せを考えて、自分の幸せを考えるようになったところの心の描写が素晴らしいなぁ。と思いました。

2.この漫画の盛り上がりは、11巻ではないでしょうか?子供がお母さんの障害を認知するところです。これは、実際、障害のある子供を抱えたお母さんがお医者さんで

「あなたのお子さんは、障害があります。」

と言われた時の親の認知の仮定と大差ない気もします。普通の障害児の本等では、親からみた子供の障害の受容を書かれている場合があります。けど、子供からの方がむずかしい。

「こうやって乗り切る。」と子供でも出来ているところが、すごい。(というより、実は子供のほうがすごかったりするんですよね。こういう時。)不幸が突然襲った気がしますが実は、すごーい不幸ではなかったりします。受容ということを人間ができたりするので、違ったりします。障害があることが不幸ではなく、受容が出来ないことが辛いことなんですね。道は必ず開けますから。


3.大学生の教育劇について

 この漫画の中には、障害について学んでいる学生が障害はなにか?というのを子どもたちに劇で教える場面(とういより、共に考える)があります。これは、ぜひ日本でももっと普及してもらいたいですね。こういう活動をしてる大学に対して、政府から、別予算枠で教育費の予算を与えて大学に

振り分ける政策が大事ですね。私が小さ頃は、障害に対しての教育の一環として、映画の上映がありました。エレファントマンとか、そういう映画を見ました。けど、映画はあまりにも一方的で、全てを子供が一人で考えないといけません。そういう一方的な情報は、

「やっぱ障害児はかわいそうなんだ。社会では行きて行くのは、難しいんだ」

という結論で終わってしまいます。小学生に障害に対して、映画だけで学ぶことはできません。私がエレファントマンを見た時の感想は、ただひたすら怖かった。子供だったので、全編理解はできません。大人だって、映画数本見て、障害のある人に対しての理解が深まるというは難しいと思います。

たぶん、予算野関係で映画でも見せておけ、となったのかもしれませんが、この漫画にあるようなディスカッションや体験が、子供たちには、なによりも大事ですね。

まだまだ感想はありますが、あまりにかくと、私のブログが感想文のブログになるので、ここで止めておきます。あとあまり書きすぎるとネタバレになってしまうし。

うちの会社の開発リーダーは30台の独身男性です。彼の感想。

「よく描けていますね。描写がうまいことと、本当に時間をかけて丁寧に調べてあると思います。

その時、その時に回りの人たちの心の動きや不安と葛藤をきちんと理解し、描いているので、僕のように、子供がいなくてもわかりやすいですねぇ。その上に、読んでてこの漫画、相当面白いですよ。大阪の人が描いたというのもあるかもしれませんが、この作者自身、笑いのツボを知っている。笑えます。」

と言っておりました。

<ネタバレしちゃいけないんだけど、それでも、ちょっとネタバレ>

12巻では、主人公(柚子)が、福祉サービスの担当の方と一緒に一人の男性に会うというシーンがあります。

私はちょっとうきうきして読んでいました。ところが、うちの開発は、理系なので、隅々まで漫画を読みます。

開発リーダーが

「これ、親も子供もこのゆずのデートに付いて行ってるんですね。こういうところの描写がうまいですね。」

と言っていたのですが、私は

「エッー行ってないよ。この漫画に娘さんが<お昼はおばあちゃんちで食べて、今日はさくらちゃんちに行くからね。>っていってるじゃん。付いて行ったのは、福祉サービスの人だよ」

と言うと

「違いますよ、いるじゃないですか!」

といわれて、指差された漫画をみると小さく、そのデートシーンの隅に柚子のお父さんと娘が、レストランの椅子に隠れて、小さくなりデートのシーンを聞いているという描写があります。

これ、すごーーーく、障害のある親とその子供の心理を描いていると思う。

そうそう、なにをしてもいくつになっても、心配するのが親の仕事なんだよね。子供も親を心配するだろうし。

こんな隅にまで、配慮して書かれたこの漫画、おもしろかったです。