渡を産んでからの私の人生っていうのはたぶん、世間の人から大変な人生などと思われるものなんだろうなーと。たしかに、自閉症の子育ては大変でございました。眠れないし、息子は体も弱かったので、病院につれていっても入院しても多動が出たり、話せないので、今の辛い状況が詳細には、わからなかったり。
子供の言いたいことやりたいことが推測でしかわからないというのは、なかなか大変な人生だったな、と。
そんな渡が、昼休みに静かに公文の数学の宿題をやっていて、私はそれをお昼ご飯を食べながら見ておりました。結構、難しい問題を説いていて、
「難しい、難しい」と言っているのだけど、渡は自分がママの数学のレベルを越したことを知っているので、私には、
「どうやって解くの?」とは聞かない。聞いてもママが答えられないことを知っているから。
「成長したなぁ...偉くなったな」と思って見ていたのだけど、どうしても解けない数学の問題を前に、ご本人は、眉毛を8時20分にして、私をじっと見つめた。
「もうちょっと賢いママだったら、この数学を教えてくれるのに.....」
と目が訴えている。無理だよーーん。ママは、そんなの解けないよぉーーん。
そんな私をジーっと見つめたまま、渡がたった一言。
"Life is too hard." (人生って、すげー大変)
いや、あんたのセリフじゃないと思うが....。一本取られた気分になった母でした。