自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

~動物園編Part1~

渡が3歳のころの話です。

うちの渡は動物が好きです。昔は、生き物にも人間にもまったく興味がなかったのですが・・。

香穂(上の姉)が乗馬を習い始めたので、その乗馬練習場にいつもついて行っていた渡は、馬に一番になれました。けど、大きな馬には、まだ小さい渡(3歳)は、乗せてもらえません。ポニーならOKなのですが、

どうもそれは、渡のプライドが許さないようで、お姉ちゃんと同じサイズの馬に乗りたい。しょうがないので、渡は、そこでは、馬に草などのえさをあげたりして、いつも仲良く馬と遊んでいました。そういう子供ですから、動物園は大好きです。

先日も、動物園に連れてゆき、渡が一番のお気に入りである「触れる動物園」に入りました。

そこは、オリの中にヤギがいて、そのオリに子供も一緒に入ってエサをあげられる仕組みになっています。渡も喜びいさんで、エサを持ってヤギの檻にはいりました。入るなり、ヤギに抱きつき、檻の中から

「迷惑なのだけどぉ!この子。けど、えさをもっているしなぁ・・。ちょっと、抱きつかないでよ!触る程度にしてもらいたいのだけどぉぉ。」と思わずヤギの声が聞こえそうな光景が、目の前に繰り広げられています。

エサをもっている渡は、一匹のヤギを選びだし、そのヤギにエサをあたえながら、ただただ無心にヤギを押して、押して、押しまくっています。ついにヤギは後ずさりできなくなり、ふと気がつくとコーナーに追い詰められています。もう一歩も動けません。これには、ヤギも驚いたようで、少し頭をもたげたのですが、渡が、{グイッ}とエサを押さえつけるので、

「あぁ。そうだそうだ。私は、えさを食べているのだった。少々の不自由は仕方がないわよね。」と、思い出したようにまた必死でエサを食べつづけています。うごけなくなり、油断しているやぎに、渡は、なんと横から飛び乗ってしまった・・。ヤギの上で狂喜する渡。乗られたほうは、一瞬なにがおこったのかわからず、鳩がマメ鉄砲を食らったような顔をしていましたが、ふと我に返って、ことのすべてを理解したヤギ。その顔には、

「なにぃ?この子!迷惑・・。だけど、私って、もしかしたら馬だったのかしら???」という、とまどいは隠しきれません。ヤギのほうもあまりのことに振り落とす勇気もなく、ただただ呆然と立ちすくんでいました。すると突然、渡が

“Go~!!!Go~!!!Go~!!!”

とヤギに命令しています。見ていた私は、

「そんなぁ。馬じゃないのだから、前に進むわけがないでしょ。降りなさい!」と怒鳴っていたのです。ところがヤギも怖くなったのか、そのまま、そろりそろりと歩きはじめました。動物園のヤギを乗馬用のヤギに仕立てたのは、たぶん渡くらいでしょう。渡ってやっぱりやることがでかい!