自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

なんて幸せなんだろう!

さてディズニーランドです。

朝からディズニーランド(DL)を歩いて、乗り物に乗りまくり、午後になり人が増えて来たらホテルに戻り、のんびり食事をしたりして、夜にまた人が減ってくる時間にDLに行くのが私たちの遊び方です。

というのも、娘は和食が好きなので、ホテルで食べたいものを作ってあげれるし。私は私で飲みたいし。(カリフォルニアアドベンチャー内は、お酒を売っているので呑めますが、DLは呑めない)なのでキッチンつきのホテルに泊まります。

さてこの日の夜は、娘のリクエストで鍋。まずは土鍋でご飯を炊き、おひつに保存。

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娘は土鍋で炊く我が家のご飯が大好きなのです。

それから鍋を作ります。

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渡は久しぶりにお姉ちゃんに会えて気分がいいらしく、ご機嫌です。

私は鍋の準備をし、頂いた日本酒で鍋をつつきます。

いつ終わるとも知れない娘の大学での話を聞きながら、あたたかい鍋をつつき、渡は横で鼻歌を歌っています。彼は嬉しいと鼻歌を歌う。

尽きない娘の話を聞きながら、なんだか涙ぐんできた私。

小さいとき、娘の学校の話を聞きたくても、聞けなかった。

1秒でも目を話すと渡が脱走するからです。小さいときから自閉症の子どもは外食の習慣をつけておかないと、大きくなってから外食できない人もいる。というのを聞き、おちつきがない渡をレストランに連れて行った事も数えられません。

行動のセラピストの人にお願いして、職場や学校のカフェのスタイルに近いレストランをえらび渡が少しでも長く座れるように練習してもらったりもしました。

香穂と3人で行く時は、必ず私か香穂のどちらかが、渡をみていないとすぐに席を立ってしまって店の外に出ます。出てしまったら追いかけないといけないのですが、お支払いをしないでおいかけると食い逃げと思われてしまいます。

何度、口の中に食べ物を入れ、飲み込む余裕もないまま店を出た事でしょう。

家でも食べてる最中、人間は一番気がぬけるので、その瞬間を知っている多動の彼は、脱走します。(こういうところだけは頭がいい。鍵をかけてもそれを開けるのも彼は大得意。)

捕まえるとパニックになるので、その後も大変です。

何度、立ったまま掻き込んむようにして夕飯を食べたでしょう・・。

何度、追いかけた事でしょう。

日本語で言う

「食卓を囲む」

という事は、いつもできる事ではなく、家族誰かが病気したり、重い障害があったりすると難しいことです。家族になにかあって、初めてなにげなく囲んでいた食卓のありがたさがわかるのかもしれません。

子ども2人と座って話ながらご飯をゆっくり食べれる日が来るなんて、ずーっと先の事。と思っていた私。

渡の成長課程では、学校の先生も随分助けてくれました。お友達も香穂と2人の時間ができるようにと渡を預かってくれる事もありました。

渡が人に慣れるように、と多くの人たちが我が家に遊びに来てくれました。

母と話ができない香穂も、いつ小学校や中学校からもどってきても、多くの私の友達が家にいてくれていました。

渡も挨拶をするのも普通の子どもが5回でできても渡は何度も何度もいろんな人と練習しないとタイミングよくはできません。

なので、みんなで挨拶をしてくれたりしました。

だんだんみんなの笑顔が見たくなった渡はタイミングよく挨拶するようになってきました。

10歳を越えた頃から急に落ち着きだした渡。

今はのんびり鼻歌を歌って、心からお姉ちゃんがいる幸せを噛み締めています。会話は成立しなくても、お姉ちゃんの話をなんとなく聞きながら幸せそうにしてる。

こんな日が来た、と言う事が私にはとても嬉しい。

これも小さいときから周りの人たちが諦めずに助けてくれたり、我が家を訪れて来てくれたおかげである事は言うまでもありません。

本当にありがたいな、と思うと涙がこみ上げてきた。

今、私は香穂の話をいくらでも聞けます。好きなだけ会話も落ち着いてできます。

渡もご機嫌です。

あぁ、なんて幸せなんでしょう。私たちは今、娘の好きなご飯を食べながら、笑顔で「食卓を囲んで」います。

本当にみなさんありがとう!これからも渡ともどもよろしく。と思った今日の夕飯の時間でした。