書類を取りに1時間電車に揺られて郊外の街にやってきました。渡のお姉ちゃんは、友達に会いに行くために、朝から別れて行動です。
私と渡とで電車に1時間揺られて、タクシーに乗って役所等で書類集めです。
なんの文句も言わず、本当に静かにしっかり私と一緒に行動してくれました。お昼は美味しいものを食べたいなーと思っていたのですが、渡がまたガストを見つけてしまい。ガストで食べたいという。日本に友達がいない渡は、母についてくるしかないので、付き合ってくれているわけなので、私もお礼にと思い、ガストに付き合いました。けど、こんなのどかな昼下がりでも、母はこんな物も見つけてしまう。二人でニコニコと笑いながら食べるお昼は、ファミレスでもどこでもすごく幸せだ。
さて、次の街に行く前に。
ちょうど駅前に銀行があったので、そうだそうだ!と思い、 ATMに行きました。郊外にしては大きめのその銀行の中にズラーっと並んだATMの部屋は、激混みで、多くの人たちが次々とATMを使っていて、大行列が波打っている。その機械の横の壁に沿ったところには、次の人にすぐにATMを譲りなさいと言わんばかりに、簡易のポータブルテーブルがありました。そこでお金などをカバンの中にしまいなさいということだと思う。私も渡がいるとついつい慌ててしまって、財布をきちんと閉めないでカバンに入れたりするので、しっかりと、カバンに大事なものを入れてから、銀行を出よう!と思い、ATMを使い終わって、カバンをテーブルの上に置いたら、なんだか、カバンの下に銀行の封筒がある。銀行に入ってきた時はなかった。私、視力は、裸眼で1.5はあるので(ジャングルで生きてたのかよ!という感じ)、入り口の遠くからでもこのテーブルに何もなかったのは見ている。あれ?銀行の封筒、厚みがある。空の銀行の封筒ではない。
えっ?と思い見た瞬間に「あっ、20万円以上は入ってる」とすぐにわかった。
私は今日は、お金をおろしていないので私のではない。
「大変だ。大変だ。誰かが忘れた。中身は大金だ!!」
私のお金じゃないのに、パニクる私。
今、私がここで、大きな声を出して「どなたか忘れてませんか?」と言うのも銀行強盗と間違われれも怖いし、正しい人に渡せるかどうか?もわからないので、とにかく急がねばと、慌てて小走りで銀行員の方に持って行きました。
「あの机の上にあったのですが、どなたか忘れたと思うのです」
というと、受け取った行員の方は、ただただ封筒を見つめて「あぁ....ああ...。」と言ったまま動かない。
「えっ?早くしてよ。ここに誰か落とした人がいるかもよ。銀行の行員の方って、お客様がお金お忘れたときにどうするか?の教育は受けているでしょう?早くしないと忘れた方が帰ってしまうよー」
袋を見つめて、動かない行員に苛立つ私....どうしよう....。
「あの、すみません。その封筒、そのテーブルで拾ったんですが」と再度いうと、やっと
「ちょっと待っててください」と言ったまま、今度は行員さんが、とつぜん銀行のカウンターの内側に歩いていった。待っていろというので待っていたのですが、行員さんは戻ってきて、何をいうかと思ったら、私を銀行で用紙などを書く机と椅子があるところに連れて行き、
「こちらに座ってください。とにかくちょっと待っててください」と言われた。座るところまで指定された。それから全然ちょっとじゃなく、長ーい間待たされた。
渡もなんか、緊急だなと思ったようで文句もいわず、静かに立って待っている。
あまりに待たされるので、私も暇になってきて、そういえば、日本に来てからきちんとニュース見てないなーと思って携帯でニュースを見ていたら、
「銀行の貸金庫から大金が盗まれた」
というニュースが流れ、なんか、だんだん不安になってきた。
待ちくたびれたら、さっきの行員さんの方がやってきたが、もう手には封筒はなかった。
それで小さいポストイットを差し出されて、
「すみません。ここにお名前と住所、電話番号を書いてください。電話番号は自宅と携帯、2つ書いてください」と言ってその小さいポストイットを差し出されました。全部、入らないじゃん。こんな小さいところに..と思ったけど、しょうがない。必死で書き込む私。
ここでもなんか、不安...普通拾い主の住所を書かすんだったら、ここは銀行なんだから、
遺失物申告書?報告書?みたいなフォームのものがあるはず。そこに住所を書いて、名前書くと思うのだけど、なぜ、ここでこんな小さいポストイットに私の個人情報を書くの??無くさないの?大丈夫? ないわー。と、どんどん不安が増していく...。
だけど私があまり不安になりすぎると渡に伝わるので、冷静を装う。とにかく、まずは私が何を拾ったのか?を明確にしないといけない。と思い、そのポストイットに記入した紙を銀行員の方に渡しながら、聞いてみた。
「あの、入っていたのは、お金だと思うのですが、おいくら入っていましたか?」私が聞いてみた。そしたら、その行員の人が
「それはお答えできません!!!」
えっ?なんで?私は何を拾ったかわからないままじゃん。広告の紙だって後から言われてもなんの証拠もないじゃん、と思い。不安MAX。
それでさらに聞かれたのが、
「あの、権利は主張しますか?」
はぁ?権利?なんだ?って思ったけど、どうもこの拾った物の権利というか所有権を主張するか?ということだと理解した。子供の頃もお祭りでお金を拾ったことがあり、警察に行ったことがある。その時のことを思い出した。もちろんその頃拾ったお金は、1000円くらいだったと思う。お札だったので驚いたのを思い出したわけだ。
行員の方は、壊れたレコーダーのように、「権利は主張しますか?本当にしますか?」と何度も聞くので、余計不安になる私...あの自分の携帯で、貸金庫の盗難のニュースを見ていなければ、そんなに不安にならなかったのになぁ...
このような対応を受けてなければ、「いいです。権利はいらないです」っていうけど、なんだか、本当に持ち主に届くのかな?とか、お金はいくら入っていたのかな?きちんと落とした方に届いたのかを知る手段はないのか?と考えてしまったので、
「主張します!」とはっきりと答えておりました。
「主張されるんですね?」と再度聞かれてさらに不安になる。だってするって言ってるじゃん..。今、私が話した言葉は日本語だったよね?なんで何回も聞き直されるの?と思っていたら、行員の方から。
「それでは住所も頂いたので、お帰りください」と言われました。えっー...小さいポストイットに住所書いて、身分証明も見せなかったし、それで帰っていいんだ???
と、なんだか変なので、すぐに私の兄弟にもテキストをうち、今、XXという銀行で、お金拾ったと伝えました。これが今の時間の証拠になるし、後から見直せるし。
なんかモヤモヤとしたものを心の中に持ちながら、次の行くべき場所へ電車に揺られながら、渡にも「なんだかさー。すっきりしないね」
と言っても、彼はアメリカ人なので、遺失物報告書なども知る由もなし。けどママがなんか雰囲気違うなと思っていたようで、さらに静かないい子になっている。
そんなこんなで、やっと用事も終わり、日も傾いてきたので、モヤモヤとしながら夕方の娘との待ち合わせの場所に向かう。
今日は夕方から娘が渡を連れて、渡が行きたいおもちゃ屋さんやDVD屋さんに連れていくということになっていた。なので、秋葉原の駅で、待ち合わせでした。夕方6時前。秋葉原の超うるさい改札口で私の携帯が突然なりだし。娘が見えたので、携帯に答えながら娘に手を振ると、すぐに渡の手を取って、私にバイバーイと手を振りながら秋葉原の雑踏に消えていってしまった。
私はそのまま電話の応対をすると、
「XX警察のものです。久保さんの携帯ですか?」と聞かれる。
「はい!!そうです」というと、
「本日拾っていただいたお金の権利を主張するということで、今から説明いたします。本日、銀行より、久保様が拾った封筒に入った現金を受け取りました。3ヶ月後に誰も取りにこなければ、久保さんに権利が発生します。これからの流れをお知らせをいたしますので...」となんだか説明してくれているのだけど、秋葉原はうるさすぎてほとんど聞こえない。
けど、受領番号があるということがわかったことと、かかっていた番号は携帯に電話番号の履歴も残るし、もう警察に行ったんだったら、私が受け取らなくてもいいなーと思ったので、あまり聞くことを必死でしていなかった。
けど、問題は本当に中身が正しかったかどうか?だ。私はそこが引っかかってるんだった!
私の感触では20万円は確実にあった。けど警察に届いたお金が1万とかだったら絶対におかしい。
なので、
「すみません。あの...中身はおいくらでしたか?」と聞いてみた。
「あれ?銀行で聞いてないのですか?」と言われて、
「銀行の方には伺ったんですが、それは教えられません。と言って、教えてくださいませんでした。」と答えると、
「あー、そうですか。36万円です。」と言われました。
あー。大変だ。
年老いた方が2ヶ月に一度の年金の振り込みを全額出したのかな?何かの支払いだったのかな?とか、この半端な金額に色々考えを巡らせる。
警察との電話が終わって、ふと思いついた。
「あっ!大変だ!警察からの電話が父のところにかかってしまったら、父は私が事件か事故に巻き込まれたかと思って、ガチで心配してしまう。心臓発作などを起こしたら大変だ!」
と思い、慌てて父に連絡をしたら父の返しが最高。
「お金を拾ったそうですね。XX警察からは、すでに電話を受けました。娘はここにいませんので、娘の携帯をご存知でしたら、そちらにかけてください」と言ってくれたそう。そうかーすでに家にかけてたか。けど、さすがでございます。余計なことは一切話さない父。
間違いなく警察に届いたということで、ほっとした私は、急にお腹が減ってきた。とにかく、東京駅に行こう!東京駅で乗り換えてホテルに戻らねば。そうだ、娘がくれた貴重な日本での一人の時間だ。食べたいものを食べよう。ガストが私の食べたかったものではない!と思い。東京駅構内で食べたいものを探す私。けど、飲兵衛は鼻が聞くので速攻で、どんなところに行っても、すぐに地酒を出す店を探し出す。
ふふっ。この辺りが匂う。
ほぉらね。
やった。見つけた。
疲れた1日だったなー渡も頑張ったなー。お姉ちゃんに色々連れていってもらって、今ごろ幸せだろうなと思っておりました。
大好きな蕎麦も食べたので、ホテルで子供達帰りを待っていたら、遅くに帰ってきた。娘曰く
「渡がさー、もう疲れ果てて、自分が何を言っているか?がわかってないの。なので、いうこと聞かなかった。疲れたよ。渡は眠いと訳がわからなくなるからさ。本当に眠いんだと思うよー。」といわれました。渡は慌ててお風呂に入りベットに潜り込んだら、あっという間に夢の中。
娘は、
「日本最後の夜が疲れ果てて訳がわからなくなった、わがまま渡の面倒で終わるの絶対に嫌だ」ということで、連れて帰ってきてくれた娘の労をねぎらいながら、ホテルの部屋でコンビニ調達の女子会。
娘は夕飯を食べてなかったそうで。
娘からも今日の話を聞いて、私も今日の36万円事件の話をする。娘も慌てたそぶりも見せず慣れたもんで、
「やっぱさ。なんか、事件に巻き込まれるよね。」と言われてしまった。長々と話して、さて、明日は、夕方の飛行機だから、パッキングだよーと言って眠りについた日でした。
長い長い1日でした。あー忙しかった....。