自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

自閉症の渡が仕事をするということ

3月も終わりです。渡はこの月は、データ入力ということをしています。データの入力は、数字が好き、お金が好きな渡にとっては、非常に楽しい仕事の模様。3月の決算期にはこのお仕事が舞い込んでくるので、彼が1年で一番嬉しい月のようです。どれくらいうれしか?というと、いつもはバス停から2kmの道のりをぶらぶらとなまけものが見たら、「負けた」と感じるくらいの速度と態度で、歩いて帰ってくるのですが、最近は、データ入力のある日は、バスをおりるなり、走って帰宅。小さい頃から脱走で早く走ることがあっても、用事があって走る事はない。バックバック(リックサック)を背中でぴょんぴょんと上下にゆらしながら、ものすごい勢いで帰ってきます。帰ってくるなりあわててバックパックを下ろして、手を洗って、速攻でコンピューターにむかいます。

どんどんデータを入力していきます。けど3月は行事も多く、放課後に仕事ができない日が大量にありました。やっと月末が近くになり、学校行事もおちついて自分の時間が持てるようになりました。そんな中、おちついてデータ入力をしていきます。

もう楽しくて仕方がないらしい。見ていて思ったのだけど、数字が好きだからというその理由だけて渡はこの入力作業を好んでやっていません。数字だけの問題だったら、普通に数学の問題集を解いていればいいわけで…。よく見ていると彼がこの仕事が好きな理由は、どうも

1.自分は人様の役に立っている。

2.自分はプロフェッショナルなことをしている。

3.この入力をすることによってみんながすごいと驚いてくれる(←もちろん母がお友達に頼み、「渡はエクセル触れるようになったら、褒めてあげてくれない?」と越後屋よろしく、お友達に頼んでいます)

ということが一番の彼のモチベーションのような感じがします。

大学数学を取る時も、

自閉症が大学なんて、大変なんだから、自分の趣味ですればいいじゃん。」という人もいましたが、ちがうんです。渡がしたいのは、自閉症であってもみんなと授業をうけれ、難しい問題が解けたときなど、みんなとその喜びを分かち合いたいんですね。

やっぱりこれは、渡の周りの人が、みんなが一丸となって褒めたり、お礼を言ってくれたり、してくださったからだ。怒るのも褒めるのも、やっぱり家族以外の人も参加してくれると効果は全く違います。ありがたい限り。これは、自閉症だって人さまの役に立てば、嬉しいっていうこと。

こんな渡が、3月の月末を迎えてしまって、入力するものがなくなってしまった…。終了を迎えたわけですね。渡がぼそっと、片言の言葉で私に言った。

すごく楽しかった。けど、寂しい…。

とつぶやいておりました。そんな渡は、寂しさを紛らわすために、レストランの待ち時間まで公文をしている。

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楽しいことが見つかってよかったね。渡も人様の役に立ってよかったね、とただひたすら思う母でした。