自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

ピクサーの堤大介さんのこと ~スケッチトラベル~

我が家はピクサー&ディズニーで子育てしました。と名言できるほど私は、ディズニー&ピクサーの映画が好きです。トイストーリー3は香穂は5回、渡は6回映画館でみて、DVDの見た回数は数えられない。渡も香穂も大好きなシーンの箇所は台詞を覚えてるくらいです。

私は、ドナルドダックの誕生日は間違えないが、娘の誕生日は間違えた事があるほど。

香穂は絵の世界に進むと思ったときに、多くの人から

「絵では食べれない。」

と言われたこともあって、随分大学の進路に悩みを持っていました。香穂に

「どうして絵なの?」と聞いたら

「好きだから。」

という答え。

シンプル。けど、ここ数年ほどの間に香穂の絵の目標が、だんだん見えてきました。大学に入ってからも、トンネルの中から少し明かりが見えてきた感じになりつつあります。絵で楽しい気持ちになったり、幸せな気持ちになったり、みんなで楽しめれば最高。それが人の役にたったら、もう嬉しい。ということです。

これが香穂の口頭で言われる様になったのは最近。けど行動は、昔から彼女のこの考えに基づいてたかも。というのは、渡は小さい時はセラピー(療法とでも訳しますか?)が毎日のように入っていて、1日に200kmとか300kmと運転する私の車に同乗します。カリフォルニアでは、10歳以下の子供を一人で家に留守番させれないからです。車中では漫画を読んでいました。日本語を声に出して読み、発音を私が訂正することで日本語を覚えました。

セラピーに到着すると順番が来るまで待ち合いで待つのですが、その待ち合い室は多動の自閉の子供たちも居て、叫び声と暴れまくる子供ですごい事になります。鼓膜が、破れるんじゃないか?という中、彼女は黙々と絵を書き続けていると、一人、また一人と香穂の絵の周りに集まります。

子供たちから

「トーマスを描いて」や

「ブルースクルーズを描いて」

とリクエストが出ます。知らない時や、描けない時は、子供たちは叫んで怒る訳で。すっごく厳しい環境です。大人になって働いてると、できなかったときや間違った時はお客様や上司から言葉で「怒られる」ことはあります。この時、多くの人がへこむと思いますが、香穂の場合は、たがが8歳~ティーネージャーの時代でお金ももらってないのに、描けけない絵があるとパニックと雄叫びとひっくり返るでという手段で文句を言われる訳です。

セラピーが終わり、ご飯を食べて夜の10時に帰宅すると、描けなかった絵は調べたりして再度練習しておりました。けど絵はやめなかった。

描けたときの喜びと笑わない子供たちが、うれしそうにすること。暴れてた子が香穂の絵に静かに集中するその瞬間も好きだったようです。彼らのお母様たちが、すごく喜ぶ事などがあったからです。絵を描いて他の子供が喜ぶのならいいのかなぁ?と。

そんな我が家の私の一日の終わりの仕事は、ベッドに入っても描き続ける彼女のシャーペンをとり上げること。ペンを持ったままノートの上に寝てしまうので、握りしめたまま寝ている彼女のシャーペンを取り上げて電気を消すのが、子供にできる一日の最後の仕事です。ペンで目を刺すと危ないから。これが終われば私の一日も終わり。これは香穂が帰ってきた時も、今だにやっています。(笑)

そんな香穂が数年前に見つけて楽しみにしていたサイトがあります。スケッチトラベルのブログ

あっ、増えた、とかぼそぼそと言っていましたが、私はあまり気にしてなかったのですが、香穂いわく、

「絵は人が見て、ほっくりしたり、にっこりしたり幸せを感じたり感動できる。」ので、チェックしてたようです。

ある日、香穂が英語発音で

Mr.Daisuke Tsutsumi.って知ってる?スケッチトラベルやってるんだけど。

と言いました。

知ってるさ。堤大介さん。だって、彼は日本人でピクサーでしょ?

というと、

えっ?あっ?彼は日本人かぁ....。

というと日本語発音で名字を最初にもって繰り返し、

「つつみ だいすけさん」あっ!本当だ。日本の名前だ!そっかぁ。彼の活動ってすごいんだよ。

と私に話りだした。私も感動。すごい!これって動く美術館です。香穂のかいつまんだ話より、やっぱ糸井重里さんのほうが質問などがうまく、あとは大介さんのご本人の声なので、ここにリンクはります。

このスケッチトラベルのすっごい話。ほぼ日→スケッチトラベル

日本語の公式ブログサイトはこちら→スケッチトラベル

実は先日ひょんなことから、この堤さんとお会いできました。世界は狭い。お話するときは、口から心臓がでるんじゃないか?と思うくらい緊張しましたが、なんとか押さえて、心臓はまだ体の中にあります。ほっ。

常に真摯にもの事に向かわれて物事を感じる方です。気持ちがすごく広くて深くてすばらしい方でした。彼のこのプロジェクトであるスケッチトラベルは、ジェラルド・ゲルレと一緒にすすめられていました。なんとこのすばらしい美術館が私たちでも数日後に手に入ります。

日本のほうが8月11日と発売が早いです。いいなぁ。けど、在庫なくなったりしないのだろうか?結構話題の本だし。日本に注文しようか?と思ったけど、注文しても届くのはアメリカの発売日でしょう。(笑)

アメリカは8月15日なので、すでに私たちは先行予約。送られてくるのが楽しみです。私たちに送る前にアマゾンの在庫が無くなりませんように!!と願うばかりです。

これからお子さんをもたれる方、こんな絵を見せながら子育てできたらすっごいよねぇ。と思います。だって、これって持ち運べる美術館です。巨匠たちの綺麗な無垢な心が閉じ込められています。そんな絵と心を伝えながらする子育てっていいなぁ。この本いいなぁ。と思いました。なので、今日はブログで紹介です。


まったく話はずれますが、「絵は親も盛り上がる。」で香穂がした体験。

大学でやった劇。Following Wendyの宣伝ポスター。

各俳優の子たちの特徴をつかみ、同じ大学の子たちにも見てもらえるようにFacebookにのせていた内輪の絵です。ちょっとした絵のつもりだったらしい。

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ところがこれを友達がFacebook上でシェアしたため、親たちが絵を見れるようになり、親たちの知るところになりました。

劇の楽日。

全米から多くの親が我が子の劇を見るためにやってきました。香穂は舞台芸術なので裏方。けど、アジア人は香穂しかいないので、すぐに親たちに

「あの子が絵を描いたKahoよ。息子がアジアの子って言ってたもの。」

とバレて、当日に大勢の親たちに取り囲まれたそう。Facebookの申請をうけるように言われたり、家にポスターとして貼りたいからもう少し解像度の高いのにしてほしい、などなどのリクエストが入ったそう。友達の親のFacebookの申請をうけるのも勇気いるよなぁ...と思っていたそう。プライベートも全部ばれるし、中には、ハリウッドの俳優の方もいるしで。

なので、香穂は劇が終わってヘタリ。だったのだけど、再度アップロードして親御さんたちに配ったそうです。劇に出た友達は実家に帰るとリビングに

「Follwong Wendyのポスターあるぜ!!」

と香穂に知らせてくるそうです。そっかぁ。

「大変だったねぇ」と私が言うと、香穂いわく

「我が子を描いた絵を下さい。っていうのは、小学校の時から同じだから。あの時はセラピーの待ち時間内で描きあげないといけなかったけど、今は寮で描けるから。まだいいかな。」

あっ、そうか!そうだったのか。親の愛は何年たっても普遍なのね。