嬉しかった出来事 - 自閉症渡の宝箱

自閉症の渡は、一人で行う事は複数の人で行う事よりもまだできます。たとえば、数学の計算や、機械操作、タイプ打ちは得意です。けど普通の人には簡単に思える事でも渡が苦手なことは、いいタイミングで言語を使って返事をしたり、タイミングを合せて口頭会話を成立させる事です。

ですので、買い物というと数年前は専用機器を使っておりました。こんな感じの物です。

機械の操作だと練習すると、タイミングよく返事ができるようになったからです。しかしこれは重い上にかさばりますし、お店の人の前に出したり、マックのカウンターにボンと置くとバイトの子がすごく驚いたりします。体を後ろにひく感じです。これには渡は結構傷ついておりました。みなさんあまり見慣れないからです。

「自分が嫌われたのか？機械が嫌われたのか？」の違いがわからないので、自分が嫌われたと思っているようです。

Voice4uに変わってからは、お店でも使う様になりました。下のニュース番組のような方法で、買い物をしておりました。この動画、いつも行くお店ですが、店の人のほうが撮影というので緊張してしまい、言葉がでなくなっております（笑）渡は日常の通りなんですが・・。

お店のお姉ちゃんの緊張ぶりにどちらが言葉が苦手かわからなくなっていますが・・。Voice4uが必要だったのは、撮影時の店のお姉ちゃんかも・・。（笑）

iPadだと誰でも喜んで見てくれるし、他の店の人もかっこいい！と言ってくれるので、渡も前の専用機の時のように嫌われると思わなくて言い分、結構喜んで使っておりました。

そんなこんなで、買い物ということを補助をいれながらも一人で出来るようになっておりましたが、今日は彼は量販店で買い物というのに、iPadもiPod touchも自宅に忘れるという事態に。お金はしっかりと握りしめております。

渡としては、いまさら家に帰ってipadを取りに行く訳にはいかない。早く欲しいものを買いたい訳で。

「一人でいける」

というので、（どうも購入したいものが、子どもっぽかったので、恥ずかしかったようです。最近、こういう子ども向けのものを買うのが恥ずかしいとわかり始めてきました）

「じゃ、ママはお店の外で待っているね。購入したら戻って来て。」

と伝えました。お金も持っているし、なんとなかるだろう。と思いお店の外でまっておりましたが、入ったお店は大型量販店なので、迷子になりそうなお店です。

今回の彼の挑戦は結構大変。

エスカレーターに乗り２階まで行き、欲しいものをもって1階のレジに進みます。

ここからが大変です。私たちが普通になんなくすることですが、購入という作業は実は多くのステップがあります。

1.列に並んで順番が来るまで待つ。

2.順番がきたら、レジの方から、「買いたいものは全てみつかりましたか？」とか、「元気？」とか、マニュアル通りに働かないカリフォルニア人により、（笑）多くの質問がなされます。聞かれる事は人によって違いますが、これに答えねばなりません。「はい、これで全てです。」とか「こんにちは。僕は元気ですが、あなたは？」みたいな感じの会話もせねばなりません。これもタイミングよく答えるのはなかなか難しい。上手くいかない時はご本人はすごくがっかりしています。けど、このあたりまでは一つの作業なので最近は成功率もあがっておりました。

3.言われた金額を払う。

4.彼が一番難しいのはこの4番目の行動。「おつりとレシートをもらいながら相手の目をみてありがとう、ということ。」です。これはおつりとレシートをもらう。目を見る、お礼を言うという3つのことを一度にせねばなりません。

今までは、最後の手順である3つの作業を同時に。が、どうしても難しかったのです。お礼を忘れるのが嫌な彼はお礼を言えないかったことを時間がたってから、結構気に病んでしまうのです。

外で待つ事15分。遠くの出口から、見慣れた姿が出て来たけど、すごい勢いで走ってる・・・。えっ？またなんかしでかしたか？と心配したら、ぐんぐん近づく彼の体は上下にジャンプして踊っています。