自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

迷子になる香穂と渡

東京での取材&仕事がビッチリ入った今日。

東京到着後、銀座にあるホテルに荷物を置き、アポイントが入っている六本木ヒルズへ。

香穂達も付いて来て、彼女達は、観光のために六本木ヒルズの展望台へ。

渡は自閉症なので、展望台は障がい児と、付き添い(香穂)は半額だったそうです。

香穂は、

「銀座のホテルには、2人で帰れるので、そのまま仕事に行ってねー!!」

と言うので、香穂に渡を託し、仕事へ。


ヒルズ見学を終えた香穂と渡は2人で、地下鉄に乗り銀座へ。

電車はなんとか乗れたものの、下車して、地上にあがるところまでは出来ました。ところが上がり口を間違えた!!東京の地下の出口を間違うと、もう命取り(笑)


前もって、ホテルに荷物を置きに行った時に見た風景が、どこにも見当たらない・・。しょーがないと思い、えんえんと歩き続けたそうです。私は、

「日本はみんな優しいので、道に迷ったら、人に聞きなさいね。」

と言ってあったのですが、どうも大量のスーツ姿の男性が怖かった香穂。

さらに、制服姿のOLがどんどん増え・・・。あの制服というのは、アメリカ生まれの香穂にとっては、とても変わったように映る習慣で、違う人間なのに、同じ服を全員が着るというのが、怖いようです。軍隊のようなところは、制服なのでよけいに、そういうイメージがあるのかも・・。


しょーがないので、私服の女性に出会うまで、歩き続けたようです。

ところが歩けば、歩くほど、制服はどんどんと増え始め・・。

香穂は

「この人たちは、仕事中に違いない。勤務中の人に迷子の私が手を煩わせるようなことを聞くと、会社で怒られるかもしれない。日本の会社は厳しいって言ってたし・・」

と思い、さらに歩くと・・。

もっとすごいことが・・どうも学校の下校時間と重なったのか、今度は、高校生の制服を来た団体が増えて来た・・。

香穂の恐怖は絶頂に。

もうしっかり「田舎からでてきた外国人の迷子。」です。

するとやっと前から、私服のオバちゃんが参上!

すがるように

「すみません。銀座日航ホテルはどちらか知りませんか?」

おばちゃんの答えは・・

「・・・・・さぁ・・・・・。」

もっともだ。銀座の日航ホテルは、安いだけあって、町のはずれにあり、豪華ホテルというより、ビジネスホテルに近く、おばちゃんが好きそうな綺麗で高級なレストランもないホテルです。

さらに歩くとインフォメーションセンターが見つかり、やっとのことで案内を聞けた香穂。

インフォメーションセンターの人に優しく、丁寧に、

「まったく逆の方向に歩いてきていますよ。」

と教えてもらったそうです。英語のパンフと日本語のパンフ、地図を頂き、重いなーと思いながら、また来た道を逆もどりして歩きます。

何kmも歩いていたようで、大雨の中、歩くとやっとホテルにたどり着いたそうです。渡はどうしてたの?と聞くとしっかり自閉症していて、ホテルで借りたビニール傘にはねる雨がとても気になったらしく、ずっと上むいて傘を見ていた。そうです。渡なりに迷っていることはわかっていたが、パニックにならないように自分の世界に入るという工夫をしていたのかもしれません。


私が夜に仕事を終えて戻ってくると香穂が私に言った言葉は、

「日本ってコスチュームが好きねぇ・・。」

「・・・・・香穂、それ、制服っていうんだよ!!」

って返した私。まだまだ日本に慣れない香穂です。