自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

出産し、子供を育てるということ

id:michikaifuさんのブログに、妊娠も育児も家事も、フツーに仕事じゃんか

というのがありました。

いろいろ意見があるようですが、私が自分の出産を振り返って思うことは、妊娠・出産をなめてはいけないってことです。

私は、

「健康体で、元気でスポーツ大好き。脳みそも筋肉じゃないの?将来お産したら絶対安産だよね。」

といわれ続けていました。現在も血圧もなにも問題なく、血液検査をしても眼科検診に行っても

「健康体の教科書」

にできそうな数値をはじき出します。

私も

「そうだろ、そうだろう。子供を生む時は、安産だろう。」と思っていたのですが、

実は、長女が難産で仮死で生まれ、私も死にかけるという目に遭いました。安産なんてとんでもないことでした。



お産はアメリカでしましたので、苦しい中で言葉もわからず自分の身の上になにが起こっているのか、わかりませんでした。お産が進むにつれて、周りが騒ぎだし、最後には、私をストレッチャーにのせて、看護士さんたちとお医者さんが叫びながら、

「走れ、走ーれ!」と、走ってオペ室に向ったことを覚えています。だけど、

お産は初めてだったので、

「こういうふうにするんだな」

と思っていました。さらに、ストレッチャーって走って押すと結構早いんだな。と、のほほんと思っていました。

あのまま死んでいたら、自分が死んだ理由がわからずに病院あたりをさまよっていたかもしれません。




あとで、これがわかったのは、医療関係の友だちにカルテを読んでもらって、

「これは、1000件に1件程度起る死亡に至るケースで、ふせげない事故なのでたぶん訴えても勝てないよ」

と言われました。



お産は、女性の方でされる方も多いですが、事故もあります。仕事でも事故もあります。

その認識をもって産後、子育てをするのとしないのでは、人生に対する構えかたもちがうと思います。

仕事だってそうです。


お子さんがいる方は、

「今、この目の前にいる子供は、がんばって生まれてきたのだ。」

という認識を常にもって育てていると見えるものも違う気がします。

「いて当たり前。生きてて当たり前。」

っていう認識を拭うということです。

いろいろな事情や事故にして生まれない子供もいますし、生まれた後に事故に遭う子供もいます。

早くして亡くなる方もいます。


私が難病のお子さんを見ていた頃は、そのお子さんの家族を思いやる気持ちは、すごいものがありました。

「僕は大丈夫なんだけど、お母さんがね」

って6歳で言うのです。

そういう子供さん達もここまで生きて来たという彼らの人生の事実がありますし、

親に対して教えてくれることってあります。彼らも一生懸命生きているのです。


人間、1人で生まれて、たった1人で生きていくこともないですし、うまれた時は裸で、だれかがミルクや母乳をあたえ、育てるので成長します。



私自身は、娘の出産の経験から、彼女から学んだことは、全力だして生きようよ(別に無理をする訳じゃなくて、大事に生きるっていうことです。)ということだと思います。



そんな彼女が無事に育ってすでに家を出ましたが、彼女が私に教えてくれたことは大きなことでした。弟を愛するっていうこと。親を思いやること。自分に与えられたことを一生懸命するっていうこと。命を大事にすること。人を思いやること。生まれた時に消えそうだった小さかった命から、我が家でそだった17年間にたくさんのことを私も学びました。



妊娠出産、育児、家事も仕事なんだけど、認識の仕方によっては、もっとすごいものを得ることもあります。リスクもあります。

ただ、なんにも考えずに日々をすごしてしまうと見落とすことがいろいろあると思います。

私もたくさん見落としているんだとも思います。



自閉症の渡だって、見落とさないでいろいろな物を見ながら、生きているのに、私が見落としてることだってたくさんあります。ほんの小さなひとつのことでも・・です。最近もそれを感じました。


先日、渡と公園の散歩道を歩いていたら、相変わらず斜め歩きをして、右端に左端にといくので、

「困ったな。まっすぐ歩けばいいのに。他の人がいたら迷惑じゃん。」

とお腹の中で、怒っていて、そろそろ注意するか・・・。と思ったのですが、

彼の口から出た言葉は

「ママ、秋が来た。葉っぱの色が代わったよ。綺麗だね。」

でした。彼は、ふらふらしながらでもちゃんと木々の成長、自然のすごさを感じていました。

ただまっすぐ歩いてなんにも気がついていなかった私とは、雲泥の差でした。


さて、渡が言うように秋がきました。

これらかも大事に生きていきましょう。