自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

公共交通

シリコンバレーで一番発達していないものといえば、「公共交通網」です。電車は昼間になると1時間に1本しかないし、バス停は家から、1km以上歩かないといけないし・・。けど、渡が公共交通網に乗るのは、とても大事なことです。自分で好きな場所に行けるようになるからです。

今日の私は、仕事も用事も入らず、時間があったので、バスで、早く授業が終わる渡をお迎えに。10時半に自宅を出ました。バス停までテクテク歩いて、$1.75を支払い、乗車。20分乗ったところで、乗り換えです。しばらく待って、渡の学校の近くのバス停がある所に着く バスに乗り換えました。また$1.75支払って、乗車。寒かったのに、上着1枚で出てきた自分がバカだと思いましたが、昼になるとお日様出ると天気予報でいっていたので、朝と昼の温度が15度は違うサンノゼでは、お日様は、とても強い味方です。

さて、このバスですが日本ように、社内アナウンスはありません。

景色を見て、自分が降りる場所を判断して、紐をひっぱって、ベルを鳴らし運転手に知らせて、降りるわけです。私は降りる場所を判断して降りるというのが苦手なので、乗るときに運転手さんに

「65番のバスに乗り換えたい。Leighという道のところで降りたいのだけど。」

と紙に書いて見せます。なぜ紙か?というと、私もバスの運転手さんも英語が母国語ではなく、私のLの発音は怪しいので、乗り過ごしを避けるために、紙に書きました。運転手さんに見せれば、もう安心。どんなに本に没頭していても、寝ていても、必ずそのバス停が来れば、おろしてくれます。

そんなバスを乗り継いで、12時に渡のクラスに着きました。家から渡の学校まで公共交通網で1時間半かかります。

帰りは、渡のoutreachという身障者用のパスがあるので、介護者と本人は、無料です。このOutreachというシステムは、電話をすれば、自宅から、目的地までタクシーのような車がきてくれて、バスのお金と同等の金額で身障者や、老人を送り届けてくれるシステムです。タクシーのような車を使わない場合(バスを使う場合)は無料で乗れます。

シンシア先生は、

「渡は、バスで帰れることを知っているのか?」

と聞かれましたが、

「サプライズだ」

と答えると

"Waaaaaata, You are so lucky!"(aが伸びるときは、自分になにかあるのを渡は、知っている)

と言って、バスで帰れることを説明してくれています。

渡はこのパスをみたとたん、ニッコリと笑いました。

彼はバスが大好き。夏は、バスや電車に乗る訓練を散々するのですが、春、秋、冬はお姉ちゃんのお迎えに間に合わないので、なかなか乗れません。シンシアが

「遠かったでしょう?大丈夫?けど渡は喜ぶわ」

と言ってくれました。

渡は鼻歌交じりでバスに乗りました。

バスにのっていつも思うのは、車椅子の人が、必ずといっていいほど、1台は、どこかのバス停から乗ってくる。公共交通機関の利用率から考えるとすごい確立です。お客さんもなれたもので、バスの高さが下がって、車椅子が乗ってくるとわかると、車椅子が入る場所の座席シートを上げて、車椅子がバス内の指定の位置に止まれるように準備します。

それに、自閉の人がバスに一人でのってるパターンも多い。

結構面白いです。公共のバス。土日に乗せてあげたいのだけど、半分近くの路線は土日は、休みか、平日の3分の1くらいの本数しか走っていないので、なかなか大変なシリコンバレーの公共交通網です。