自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

三味線に引き続き、香穂の音楽

きのうの話の続きです。三味線の演奏会が終わって、すぐに自宅に帰り香穂の御迎えです。

香穂は今日、自分の高校で、フットボールの大きな試合があるので、ご飯を食べて、すぐに出動です。彼女は、フットボールの応援のためにバンドでトロンボーンを吹くのと、ハーフタイムに

マーチングバンドとして出場します。そのために、ここのところ、ずっと練習で学校に残ったりしていました。最近、首が痛い、首が痛いという香穂に私が

「寝違えたの?」

と聞くとヘンな顔をされた。話をよく聞くと、マーチングバンドという軍隊のようなバンドの練習をしている時に香穂は先生によく注意をされるという。

「えっ?なんで?あなた、マジメにやってないの?」と聞くと、

「ちがうよっ!だってね。マーチングバンドって、トロンボーンなどは、まったく同じ高さに持たないといけないんだよ。けどね。トロンボーンが私を含めて、4人いるんだけど、みんな私より背が高いので、<香穂!上向いて吹け!おまえのその位置で吹くと、同じ高さの場所から音がでないので、トロンボーン音が割れる!>と注意されるんだよ」

なので、身長が低い香穂は、毎日太陽をみるような格好で、マーチングバンドの練習をしていたそうだ。香穂は、二時間以上前から、学校入り。私と渡は、お留守番です。けど、私は、フットボールが見たい・・。香穂のハーフタイムの演奏も見たい・・。けどあの音は渡は苦手だろうな・・。

今日はベビシッターもいないし・・。で、渡を説得にかかった私。

「ねぇ・・渡ぅ。お出かけしない?」

渡は、警戒しています。いつもは夜にプールにいくので、

無視していた渡も、もう一度私が

「ねぇねぇ・・車でお出かけしない?」というと、すかさず

「プール?」と聞いてきました。

「いや・・それは・・。ちがうんだけど・・さぁ・・。」

「ノー!!!!」

「・・・・・」

「あっ、渡!チアーリーダーの綺麗なお姉ちゃんが見れるよ!」というと速攻で

「レッツゴー。ママ」なんだ綺麗な、おねーちゃんでOKか・・。結局このコも男の子でした。

無事会場についた私は、ちょうどハーフタイムの準備で香穂のバンドが控えているのが見えた。

すかさず、遠くに見える電光掲示板に目をやりました。視力2.0の私。こういう時は便利です。すると、22対0の数字が・・・。

あっ。また完敗・・と思ってその22の上に目をやると、うちの高校の名前が。おっ!

勝ってる。で、チアーリーダの披露が始まりました。渡はとてもいいコです。うっとり見ていたけれど、チアーリーダがおわると

「さっ、おうち帰ろ。お風呂入ろ。」という始末。渡に

「ほら、香穂、あそこにいるよ。ほら、今からトロンボーン吹くよ」と言うと、

「香穂~!バイバ~~イ!」

えっ・・いや・・・違う・・・渡。

そんなこんなで、香穂の演奏がスタートする。遠くに歩いていったマーチングバンドが整列した!なんと、遠くに整列したトロンボーンを吹いてる中に小人が・・。えっ、違う。香穂だ!香穂だ!周りのトロンボーンの生徒は、190cmに手が届きそうな生徒3人。香穂は、156cm。隣のトロンボーンを吹く生徒の肩にとどくかどうか、なのです。そりゃ首が痛くなるわ。私が張り切って手を振っていると、隣のお母さんが、「すごいわね。このバンド。」と話し掛けてきた。子供がいるの?と聞くので、

「そうなの。あの小さいの。あれが私の子供よ。」

「すごいじゃない!がんばってるわね。」

いや・・トロンボーン吹いてるだけなんだけど、あまりの身長差に、がんばっているように見える香穂。無事に演奏がおわり、ほっとして、渡を連れて帰宅しました。身長の伸びがとまった香穂ですが、これから、もっと周りの男の子は伸びるでしょう。特に香穂のバンドは白人の子が多いので、どうしてもチビは目立つ。小学校の時は、クラスで一番大きかったのにね。面白いモンです。成長って。