自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

渡、リサイクルセンターに行き、すごい人たちに会う

渡は、高校生の時にリサイクルということを学び、やっと理解して以来、家での水のペットボトルは、リサイクルに出していました。我が家の近くにはちょっと高級な感じのスーパーがあったので、そこで出していました。おやつ代程度のお金が得られます。そのお店が閉店になりました。なので家に、どんどんたまる水のペットボトル。早く換金したいと言う渡。母は調べて、わりと評判がいい本格的なリサイクルセンターに渡と行ってきました。ペットボトルを8袋のビニールに詰めて、車に乗せて現地に到着。

現地は巨大ゴミ処理場のような感じです。すごいゴミの匂いと、ジュースの糖分が溶けて地面に染み込んでいるので、歩くと靴がネチャッネチャッという感じで地面にひっつきます。けど、そこはオイルも落ちているので、つるつるになっているとところもあり、歩くのも注意せねばなりません。ホームレスと思われる人たちが、たくさんのペットボトルを搬入していたりもします。私は、専門的収集にしているのじゃないか?と思われる人の多さとその場で働く人たちの真剣さと換金する人たちの本気に圧倒されて、入るのをためらってしまった。ところが渡は現地を見るなりどんどん中へ。渡は意外に、安全なところと安全じゃないところなどを見極めるのが上手いので、

「あぁ、一般の人が来てもいいところなんだ」

と理解する私。

けど入ったものの、どこに何をもっていけばいいかがわからない。もともとのリサイクルの意味を理解している渡は、すぐにペットボトルの専門の計量の列に並んだ。本当にここでいいのか?と思ったけど、並んでいる人の手を見とみなさん”人が何人か入っているのでは?”と思われるほど大量のペットボトルが入った袋を持ってるので、正解。すごい長い列だなーと思っていたら、すぐに係の人が、渡のほうをゆびさして、スペイン語で遠くにいる他の人に大声で話しかけている。

あっ...やっぱり入るのには許可証がいったのか?と恐れ多おののく私。ところが、遠くからスパニッシュを話しながら、近寄ってくる人が近寄ってきました。

スペイン語でその人を呼んだおじさんが今度は渡にむかって英語で

お前が持っている袋、やつが数えてくれるから、そっちに持って行って。えらいな。こんなに持ってきて。

と褒めてくれました。まわりを見渡すと、みなさん、すごい量を持ってきていて、さらにトラックやフォークリフトがたくさんがくるくると走り回っています。結構真面目な工場という感じ。小さい家庭用ゴミをもってきているのは、渡だけ。働いてる方達の判断で、渡は障がい者で、落ち着きがないので列を前にしてくださった模様。たしかに、この本気のリサイクルセンターにお母さんと一緒にやってくる成人男性は他にはいません。大きな機械が、渡の持参したペットボトルを数えている間、係の方が、「頑張ったね。たくさん集めたね」と労ってくれています。全然たくさんじゃないのだけど、なんとなく渡が必死で家でためていたことはわかるのでしょう。褒められたら、すぐにご機嫌になる渡。

それから、測った数量を紙に書いてくださって、その紙をキャッシャーへ持って行けとのこと。

紙を持ってキャッシャーに並ぶと、後ろのおじさんが声をかけてきた。

おまえ、ポケットから、イヤフォンが出て床についてるぞ。汚いぞ。こんなところの床にイヤフォンをつけたら...。病気になるぞ!!

ときちんと理由を述べて注意してくださった。渡は理由がわかれば、嬉しいので、

ありがとう。僕、お姉ちゃんのところに行くんだ。

と突然会話し出しました。わけわからん...。おじちゃんも渡の突拍子もない言葉を真剣に聞いてくれて、

あぁ、お前、ペットボトル持ってきて、お金ためて、そのお金でお姉ちゃんに会いに行くのか!

と気がついてくれた。おじちゃん、にっこり笑って。

がんばれよー!!いっぱい持ってきたら、すぐにお姉ちゃんのところに行けるぞ!

と励ましてくれた。渡、大喜び。

Yes!

と答えてました。なんだか、すごい匂いの中での作業でしたが、朝から番までこの中で働いている人もいて、こういう人たちがリサイクルをしっかり守ってゴミを減らしてくれてるんだと思うと私もしっかりゴミの区分をして、ペットボトルは渡とここに持って来ようと決めた日でした。

やっと渡の順番がきて集めたペットボトル代金の$6をもらってご満悦。$6 かー。まだまだお姉ちゃんの家は遠いなー。がんばれ、渡!