自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

周りから反対されたけど、自閉症の息子に教えておいて良かったなと思う3つの事

アメリカには、発達の遅れがわかると、504Planか、IEP(個別教育計画)で教育に対するサポートを受けることができます。これらの違いは、別の機会に述べるとして…。

我が家の渡はIEPだったのだけど、私以外の全員一致で反対された事がいろいろあります。その中で、息子が成人になった今、反対する人たちを必死で説得して、やって良かったなーと思った3つ。

1.日本語を学ぶこと

賛否両論ありますが、渡は小さい時に言語をひとつに絞ることと言われましたが、我が家はバイリンガルです。

それは、日本語話せれば便利だし、祖父母の限りない愛情を日本語というものを通して受けれれば、祖父母も楽だし、伝わりやすいだろうなというのがありました。

結果、やはり、息子は、嬉しいことがあれば、祖父母に日本語で手紙を書くし、日本にいっても日本語で伝わるし、なにより、仕事を受けやすいです。日本語ができ、英語も出来るデータ好きというのは、多くはないのでニッチな部門を狙いやすい。これはやらせて良かったと思います。人が集まって日本語でみんなが話していても、疎外感はゼロです。

渡はいまは漢字の練習が大好きで、練習して読んでは大喜びしています。漫画もみれるしねー。

2.数学を諦めず学び続けた事

数学をやらせたことはよかったなーと。途中で学校のほうから何度も「行動が悪いので、数学のクラスに入れないから、数学はやめるように。」といわれましたが、それはおかしい。数学ができていないので、もうここで終わりのほうがまだ通る。行動を直せば学べるということなのに行動を治す努力をせずにできていることをやめさせるというのは、教育とは言えないのでは?と思いました。ということは、普通の行動ができるようにすれば、数学の勉強は続けていいんだなと思い、いろいろな工夫をして周りの生徒に迷惑をかからないように数学を受け続けました。これが仕事にもつながったし、自分の自信にもつながりました。大学の時に高校のかわいい同窓生が教室の外で待っていてくれるようなお友達も出来ました。いまだに計算だけは早いので、嬉しそうにドヤ顔する渡です。

3.自転車に乗る事を教える事。

IEPチーム、IPPチームとも、渡には脱走壁があった事から、自転車の乗り方などを教えたら、どこまででも逃げてしまい危ないので、教える事はしない。という意見。私は男の子として生まれたのなら、思春期になれば、母親と一緒じゃないと、どこにも行けないというのは嫌だろうと思っていました。一人で風を切って好きなところには行きたいでしょうということを考えておりました。さらに母の私はもともと自転車で信州の山に登ったり、九州を縦断していたり、日本海を走ったり、四国をVの字に走ったりしていたため、自転車に乗せないという選択肢がなかった。

渡といろいろなルールを決めて自転車の練習をして乗れるようになりました。お姉ちゃんより乗れるようになるのは早かった気がします。自転車に乗れるようになると、わざわざ足で逃げなくてもと思うのか、脱走壁がぐんと減りました。

で、大人になった現在。この自転車のおかげでまた嬉しいことが一つ。

いまの夏のプログラムは、6km家から離れていて、さらに交通の便があまりよくない。2kmだけ途中でバスに乗れます。障害者用のタクシーを使うという選択肢もあったのですが、やっと公共交通機関の乗り方を学んできている渡はこのタクシーに乗るのは嫌がりました。待ち時間も長いしね。自力で通うことに喜びも感じているみたいなので、ここで元の介護タクシーに戻すのは、渡も嫌だろうなぁと私でもわかりました。なので、2kmだけバスにのり、4km歩くという提案を渡にしてみました。ところが、彼のチョイスは、「全行程、自転車で通うこと。」でした。

えっ?6kmって、往復12kmだよ。結構遠いよぉぉと思ったのですが、私も学生時代に片道50km弱ほど離れていた大学に自転車で通っていた時期があるので、あまり反対できない。とりあえずやってみましょうとなりました。

まずは約束ごとから。渡がどのような運転で通うか私がわからないので、最初の1週間は母と一緒にいくという条件を飲む事で渡の希望を受け入れました。

私は渡の朝とお昼のお迎えの2回往復するので、1日24km自転車に乗らねばなりません。

けど、やってみると頭もすっきりするし、背中は痛くならないし、早く出勤できるし。いいことづくめでした。

渡も自力で通えることが相当うれしい模様。こんな笑顔でニコニコしながら自転車をこいでおります。

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やっぱり男の子だもん。行きたい時に行ける所に自分の力で行けるというのは、嬉しいよね。

けど、母は久しぶりの自転車でお尻が痛いよぉ。昔は琵琶湖一周180km runとか出ていたのにね。昔取った杵柄とはなりませんでした。