自閉症 渡の宝箱

自閉症の渡が、日々起こす騒動や療育についてとシリコンバレーでの起業、生活を綴っています。

口頭ですぐに返事をしないことは、失礼なことといい放たれる自閉症の渡

香穂と自閉症の渡(どちらも成人)は、夏休みに入って、近くのシェルター(保健所のようなところ)の分室に通っています。いまは、子猫が増えるシーズンです。捨て猫や飼えなくなった猫がいっぱいいます。ただ猫を眺めたり、さわっていい猫をさわったりしているのですが、いい子(猫)がいたらママにお願いしようという隠れた魂胆は知っている母www。

ところが、今日はちょっと違うことが起こったらしい。入るなり、一人のおばあさんのボランティアの人に、渡が話しかけられた。

「何しに来たの?」

つよい語調で嫌な予感がした娘は飛んでいったらしい。

「何しに来たのって聞いてるのに、なんで答えないの?」と言われたそうだ。いや、答えられないんだってば....。娘はすぐに

「弟は自閉症で、口頭での会話が不自由で答えられない。」というと、相手の人から

「答えられないの?なんて失礼なの!!」と怒られたらしい。しばらくしたら、

「子猫の里親の人がこの部屋で会いたがっているので、あなたたちは出て行って。」と言われたらしい。娘はすぐに出てきたらしい。仕事中の私にメッセで報告してきたのだが、私は

「すぐにシェルターにもどって、失礼だと言った人の名前を聞いて、なぜ障害があって話せないことが失礼なのか?と、聞いてきなさい。」と伝えた。

そしたら、

「今昼休みだから、しまっている。」とのこと。昼休みがおわって、再度シェルターに向かった子供達。ところが、おばあちゃんボランティアはいなくなっていたそう。午前中も来ているので、他のボランティアのスタッフたちが、にこやかに話しかけてきてくれたらしい。

「ねぇ。この子(渡のこと)は、すごいよね。」と突然、渡のことを褒め始めたらしい。

理由は、子猫を触るためには、いろいろなルールがあるからということらしい。具体的には、

1.同じケージの子猫はそのままでいいけど、違うケージの子猫を触るときは、万が一、感染症が移ってはいけないので、ケージが変われば、必ずケージがかわるごとに手を消毒すること。(子猫まだ小さくて抵抗力がないので)

2.まだ予防接種をうけてない子猫は床においてはいけない。

3.出していい子猫と出してはいけない子猫があって、マークでわけられていること。

4.扉を叩いたり、驚かしたり、無理に起こさないこと。

などがあります。スタッフの話によると、子猫を見たり触ったりしているうちに、人間のほうが興奮してきて、この単純なルールを守れないことが多いらしい。けど、スタッフの人たちは、よく来る娘たちを覚えていて、(渡は目立つし)渡がそのことを一度も間違ったことがないことまでしっかり観察しています。将来、里親になるかもしれない人たちのことは、スタッフもよく観察している模様です。娘は、

渡が自閉症で、12年猫を育て上げたこと。

今の猫もすごく大事にしていること。

猫のしつけも頑張ってしていること

を話していたらしい。スタッフの人たちは、「あぁ。わかるわー」となったらしい。

で、なんでまた戻ってきたの?というので、こういうことがあって、母が、

「なぜ、話せない渡が失礼なのか理由を聞いてきてくれ。」

って言われた。と話したそうだ。

スタッフ唖然。その他のスタッフも大勢つれてきて、こんなことが今日あったと説明。みんな驚いて、

「なんで!ありえない!!」と言われたらしい。スタッフの人たちは、

「渡は一番猫にきちんと接してる。すごく紳士だ。」となったそうだ。そうだそうだ!!となり渡は一気に幸せに。

スタッフの人から

「今日のことは、帰ってしまったおばあちゃんスタッフにもきちんと話しておくから安心してまた来てね。」と言われたらしい。なんやかやと、結局はシェルターのスタッフの人たちとお友達のように仲良くなった子供達。

香穂は、みんなが渡のことを知っていることのほうがびびったそうだけど。

とりあえず、一番傷ついてちょっとむかついている香穂と、なんだか拒否された感はある渡は、楽しんでもどってきた。

ただ、悲しむだけでけではダメだなぁ。冷静になって再度、話してみるというのも手だなぁ。けど、大概、もう一度、不愉快なことをした場所にもどるといいかも。不愉快な対応をした人が一人だった場合は、再度戻って話し合えば、うまく行くことが多い。不愉快な態度の人が、複数いて、みんなが同じ対応をした時が一番問題。たった一人の対応が悪いときは、その個人にもなにか問題がある可能性だってあるわけだよね。みんながみんな渡の相手を平等にできるほと毎日精神が穏やかで、平和主義であるわけじゃないから、社会は問題があるんだし。